魔王軍に同情
アレンは、マスタールームから勇者パーティーとエンシェントドラゴンの戦いを見ていた。
「まさか、ここまでやるとはな」
エンシェントドラゴンとまともに戦える相手がいるとは思っていなかった。
エンシェントドラゴンを勝たせることはできる。
なにしろ、まだレベル1なのだ。
それでも、下手な魔王より強い。
そんなエンシェントドラゴンを、勇者パーティーは倒してしまった。
「勇者って、こんなに強いのかよ」
アレンは戦いを見ながら呟く。
勇者パーティーが魔王軍と戦ったら、どうなるのだろう。
「魔王軍、勝てないだろうな……」
アレンは魔王軍に少し同情した。
しかし、アレンには別の感情もあった。
最初はエンシェントドラゴンの存在を邪魔だと思っていた。
60階層に置いたままでは、ダンジョン攻略の邪魔になる。
「誰か倒してくれないかな」
そんなことを考えていた時期もあった。
だが、長い間ダンジョンを見守っているうちに、エンシェントドラゴンに愛着が湧いていた。
今ではペットのような存在だ。
「……倒されると、ちょっと寂しいな」
アレンはボス部屋を見る。
だが、すぐに気づく。
ダンジョンボスは、倒されても復活する。
「まあ、すぐ復活するんだったな」
それなら心配する必要もない。
勇者パーティーとの戦いでエンシェントドラゴンは倒された。
しかし、ダンジョンのボスとして、また復活する。
そして今回の戦いは、アレンにとって思わぬ収穫もあった。
「ポイントが凄いことになってるな」
エンシェントドラゴンと勇者の激しい戦闘によって、ダンジョンにはとんでもない量のポイントが入っていた。
「こんなに稼げるのか……」
アレンは増えていくポイントを眺める。
エンシェントドラゴンは倒された。
勇者パーティーは帰っていった。
それでもダンジョンには、戦いによって大量のポイントが残った。
「エンシェントドラゴン、よく頑張ったな」
アレンはそう呟いた。
そして、ボス部屋を見ながら笑った。
「復活したら、またよろしくな」




