武道大会の開催
ダンジョンランドが完成してから、しばらく経った。
アレンはマスタールームから、ダンジョンランドの利用状況を確認していた。
「王妃様、温泉とサウナをよく利用するようになったな」
アレンは王妃に招待券とは別に、いつでもダンジョンランドを利用できるフリーパス券を渡していた。
そのフリーパス券を使って、王妃は頻繁に温泉やサウナを利用している。
そして王妃が誰かを招待すると、その客もダンジョンランドへやって来る。
「王妃様の招待客はご令嬢が多いんだよな」
ダンジョンランドを楽しそうに歩く令嬢たちを眺める。
「目の保養にはなるから最高なんだけど……」
アレンは少し考えた。
「男性の利用者も欲しいな」
女性客だけでなく、男性客も増やしたい。
そう考えたアレンは、王妃へ書状を送った。
王妃が書状を開く。
『ダンジョンランド内でイベントを開催してほしい』
今回も書かれているのは、それだけだった。
「イベントですか……」
王妃は少し考える。
そこで思いついた。
「それなら、学園の武道大会をこちらで開催してみてはいかがでしょう」
学園では毎年、武道大会が開催されている。
生徒たちが日頃の鍛錬の成果を競い合う行事だ。
それをダンジョンランドで開催する。
王妃から話を聞いた学園側も、最初は驚いた。
しかし、ダンジョンランドで開催できるなら設備を整える必要も少なく、観客も楽しめる。
こうして、今年の武道大会はダンジョンランドで開催されることになった。
大会当日。
ダンジョンランドには、いつもとは違う客が集まっていた。
「今日は武道大会を見に来たんだ」
「せっかくだから施設も見ていこう」
生徒たちだけではない。
今回は生徒の親も招待されていた。
父親たちの姿も多い。
母親たちもいる。
さらに兄弟や友人まで訪れている。
いつもの貴族令嬢中心のお茶会とは、明らかに客層が違った。
「随分と人が来たな」
アレンはマスタールームから様子を眺める。
武道大会が始まる。
生徒たちが次々と試合を行っていく。
「頑張れ!」
「そこだ!」
「負けるな!」
観客席から声援が飛ぶ。
普段のダンジョンとはまったく違う熱気に包まれていた。
大会が終わると、今度は観客たちがダンジョンランドの施設へ向かっていく。
「ジェットコースターに乗ってみよう」
「私は観覧車がいいわ」
「ボーリングもあるらしいぞ」
「温泉まであるのか」
親子で施設を回る者もいれば、友人同士で遊ぶ者もいる。
武道大会を見るだけのつもりだった人間まで、ダンジョンランドを体験していった。
帰り際には、こんな声も聞こえてくる。
「今日は楽しかったな」
「武道大会も面白かったけど、あの乗り物も面白かった」
「また来たいな」
「次は家族全員で来よう」
アレンはその声を聞いて、満足そうに頷いた。
「また来たいと思ってくれる人が増えてきたな」
一度来て終わりではない。
もう一度来たいと思ってもらえる。
それがアレンの狙いだった。
武道大会によって男性客も増えた。
さらに親まで一緒に来てくれたことで、ダンジョンランドを知る人間も一気に増えた。
「いい傾向だ」
アレンは今日増えたポイントを確認する。
「しかも、かなり稼げたな」
人が来ればポイントが増える。
施設を利用して楽しんでもらえば、また来たいと思ってくれる。
そして次は、その人たちが誰かを連れてくるかもしれない。
「ダンジョンランド、もっと人を呼べそうだな」
アレンは次のイベントを考え始めた。
ダンジョン攻略とは関係のない場所から、少しずつ人が集まり始めていた。




