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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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ダンジョンランド

アレンはマスタールームでダンジョン内の様子を眺めながら考えていた。


「この世界って、観光って文化が根づいてないよな」


 冒険者はダンジョンを攻略するためにやって来る。


 商人は商売のためにやって来る。


 騎士や軍人は訓練や調査のためにやって来る。


 だが、特に目的もなく遊びに来る人間はほとんどいない。


「観光客が訪れたら、ダンジョンに来る人も増えるんじゃないか?」


 ダンジョンに来る理由が、攻略だけである必要はない。


 遊びに来てもいい。


 観光に来てもいい。


「そこでダンジョンランドの出番だ」


 アレンはさっそく施設を作り始めた。


 定番のジェットコースター。


 ゆっくり景色を楽しめる観覧車。


 ボーリング。


 ダーツ。


 ビリヤード。


 そして温泉。


 さらにサウナも用意した。


「男も女も楽しめる施設を作ったぞ」


 遊園地だけではなく、体を休められる場所まで用意してある。


 アレンは完成したダンジョンランドを眺めた。


「さて、どうやって広めるかな」


 そこで一人の人物を思い浮かべる。


「王妃様に広めさせよう」


 王妃はすでにダンジョンに住んでいる。


 わざわざ遠くから呼び寄せる必要もない。


 アレンは王妃のもとへ書状を届けた。


 王妃は届いた書状を開く。


 差出人はダンジョンマスターだった。


 書かれていた内容は短かった。


『ダンジョンランドを作った』


『実際に体験して、広めてくれ』


「……相変わらず簡潔ですわね」


 王妃は書状を畳んだ。


「では、体験させてもらいましょう」


 王妃は近衛兵を連れてダンジョンランドへ向かった。


 ダンジョン内を進んでいくと、これまで見たことのない施設が姿を現す。


「まあ……」


 巨大なジェットコースター。


 大きな観覧車。


 そしていくつもの建物。


 王妃はしばらく眺めていた。


「本当に、遊ぶための場所なのですわね」


 今日は貸し切りになっている。


 王妃と近衛兵たちは、まずジェットコースターへ向かった。


 乗り込んでしばらくすると、車両がゆっくりと上昇していく。


 カタン、カタン、カタン。


 どんどん高くなっていく。


「随分と高くまで上がりますわね」


 そして頂上へ到達した瞬間――。


 一気に落下した。


「――――!」


 猛烈な勢いで車両が走り出す。


 上昇し、下降し、急旋回する。


 近衛兵たちから驚きの声が上がる。


 しかし王妃は楽しそうに周囲を見ていた。


 やがて車両が停止する。


「これは面白いですわね」


 王妃は気に入ったようだった。


 次は観覧車。


 ゆっくりと上昇しながら、ダンジョンランド全体を見渡す。


「こうして見ると、かなり広いですわね」


 その後はボーリング。


「これはどうやって遊ぶのです?」


 説明を受けた王妃はボールを持つ。


「それっ」


 ボールが転がり、ピンを倒していく。


「まあ!」


 王妃は楽しそうに笑った。


 近衛兵たちも挑戦する。


「もう少し真っ直ぐです」


「力を入れすぎです!」


 気がつけば、護衛のはずの近衛兵まで夢中になっていた。


 続いてダーツ。


 ビリヤード。


 どちらも王妃にとって初めての遊びだった。


 しかしルールを覚えると、楽しそうに何度も挑戦する。


 そして温泉へ向かう。


「温泉……」


 王妃は湯船に浸かる。


「これは……良いですわね」


 ゆっくりと温泉を楽しむ。


 続いてサウナも体験する。


「こちらはかなり暑いですわね」


 最初は驚いていた王妃だったが、休憩を挟みながらサウナも楽しんでいく。


 アレンはマスタールームからその様子を見ていた。


「初体験のサウナや温泉も楽しんでくれてるな」


 そして最後はお化け屋敷だった。


 王妃と近衛兵たちは暗い通路を進んでいく。


 突然、人影が現れる。


「うわっ!」


 近衛兵が驚く。


 しかし王妃は、


「まあ」


 と少し驚いただけだった。


 悲鳴は上げない。


「エンシェントドラゴンと対峙して悲鳴をあげなかっただけあって、お化け屋敷でも悲鳴をあげないか」


 王妃はそのまま最後まで進み、出口へ到着した。


「なかなか楽しめましたわ」


 王妃は満足そうだった。


 アレンはその様子を確認すると、さらに考える。


「この施設は招待券を持った人だけ来られるようにしよう」


 誰でも自由に来られる場所ではなく、招待券を持っている人だけが入れる。


 それなら特別感も出る。


 アレンは王妃のもとへ招待券を百枚届けた。


『好きな人に配ってくれ』


 王妃は百枚の招待券を眺める。


「まあ、こんなに」


 これなら知人や貴族たちにも渡せる。


 そしてアレンは、さらに別の使い道を思いついた。


「宝くじ箱の景品にするのもいいな」


 宝石や酒だけではなく、ダンジョンランドの招待券も景品にする。


 宝くじに当たった人がダンジョンランドを訪れる。


 そこで遊んだ人が、今度は家族や友人に話す。


「これなら観光客を増やせそうだな」


 アレンは満足そうにダンジョンランドを眺めた。


 これまでダンジョンに来る目的は、冒険や攻略が中心だった。


 しかしこれからは違う。


 遊ぶためにダンジョンへ来る人間も増えていく。


 アレンのダンジョンは、少しずつ観光地としての顔も持ち始めていた。

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