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ダンジョンでニート生活始めます ~冒険者を集め、町を発展させ、経済を動かし、世界に影響を与えるダンジョン経営~  作者: まゆな


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70階層のダンジョン

アレンは焦っていた。


「まずい……」


 ダンジョンコアに表示された冒険者たちの位置を確認して、アレンは思わず頭を抱える。


 冒険者が、いつの間にか59階層まで到達していた。


「なんでだよ……」


 アレンは37階層の攻略状況を見ていた。


 37階層で冒険者たちが長期間足止めされている。


 それを見てアレンは、


「これなら、しばらく先の階層まで来る冒険者はいないな」


 そう考えていた。


 ところが、実際には37階層を突破した冒険者たちが、その後も着実に攻略を続けていた。


 しかも――


「50階層のボス部屋、順番待ちになってるじゃん!」


 攻略を目指す冒険者が増えすぎて、50階層のボス部屋には挑戦者の列までできていた。


 アレンは完全に想定を外していた。


「まずいまずいまずい!」


 このままでは、60階層に置いてあるエンシェントドラゴンまで到達される。


 エンシェントドラゴンは、本来ならまだしばらく隠しておくつもりだった。


 だが、こうなったら仕方がない。


「移動させよう」


 アレンはすぐにダンジョンコアへ指示を出した。


 60階層の構造を変更する。


 さらに70階層まで新たな階層を作成。


 そして――


「エンシェントドラゴンを70階層へ」


 60階層にいたエンシェントドラゴンが、ダンジョンの奥へ移動する。


 代わりに60階層へ配置するのは――


「Sランクボスでいいか」


 アレンが用意していたSランクボスだった。


 これなら、60階層に到達した冒険者たちも簡単には突破できない。


「よし。これで時間は稼げる」


 アレンは一息ついた。


 だが、ここで問題が一つ。


「……でも、冒険者に知らせないと誰も来ないよな」


 突然60階層の内容が変わっても、冒険者には分からない。


 そこでアレンは、宝くじ箱の横に新しい掲示板を設置した。


 そこには大きく文字が書かれている。


『リニューアルオープンのお知らせ』


『60階層が新しくなりました』


『新たなボスが冒険者の挑戦をお待ちしています』


「これでいいだろ」


 アレンは満足してマスタールームへ戻った。


 翌日。


 掲示板の前には、さっそく冒険者たちが集まっていた。


「60階層が新しくなった?」


「ボスが変わったらしいぞ」


「どんな奴なんだ?」


 多くの冒険者が興味を示していた。


 その中に、Sランク冒険者の姿もあった。


「60階層か……」


 掲示板を眺めながら、男は少し考える。


 自分たちなら攻略できるかもしれない。


 しかし、無理に攻略する必要もない。


「まあ、ボスの顔くらい拝みに行くか」


 ちょうど新しいボスが配置されたばかりだ。


 Sランク冒険者にとっては、どれほどの相手なのか確認するだけでも価値がある。


「行ってみようぜ」


 仲間たちも頷いた。


 こうして、Sランク冒険者たちは60階層へ向かうことになった。


 一方その頃。


 マスタールームではアレンが冒険者たちの動きを見ていた。


「お、さっそくSランクが来た」


 アレンは少し安心する。


「まあ、60階層のボスなら、さすがに簡単には倒せないだろ」


 アレンはまだ知らなかった。


 このSランク冒険者たちは、攻略するつもりなどほとんどない。


 ただ――


「新しいボスの顔を見に行く」


 その程度の気持ちで60階層へ向かっているだけだった。

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