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本丸

「静かすぎる……。なにか胸が落ち着かん。」


一方、王宮内のペルジェ国王の私室。


書類の山に囲まれながら、筆を止めて窓の曇り空を見つめてきた。


「当たり前ですわ、陛下。広場では殿下が決闘中ですのよ?」


「何!?私はそんなもの許しておらっ……!」


どこからともなく聞こえてきた声に、王はぎくりと肩を震わせた。


「誰だ!?曲者!!衛兵!!捕まえんか!!」


「王宮の兵は皆広場に行ってしまいましたわ。

……もっとも、それもこちらの采配ですが。」


どこからともなく、ふわりと揺れたカーテンの影からサブリナが現れる。


「サブリナ嬢!いつ入り込んだ!?」


「私はこの前まで殿下の婚約者でしたのよ?王宮のことでしたらネズミの抜け穴まで知ってますわ。

それより、今はご自分の身を心配なさったら?陛下、あなたの命は今、私の手の上ですのよ。」


サブリナが挑発すると、王はわなわなと震える。


「貴様!!国家反逆罪だぞ!!誰か!!誰かおらぬか!!この者を死刑にしろ!!」


「お黙りなさい。」


サブリナがぴしゃりと言い放つ。


「王たるもの、交渉には応じるものですわよ。」


「…………、何が目的だ?」


王は顔を真っ赤にしながらも、しぶしぶと椅子に座り直す。


「王都流通商会、知らないはずがありませんわね?独占権を廃止してくださいませ。税制の見直しも。貴族からも税をお取りなさいな。」


「何を馬鹿なことを!?貴族の機嫌を損なえば王族は立ちいかん!!あいつらは金の卵だ!!商会は我が国のために使い倒すのだ!!」


「そのために国民が飢え、命を落とすことになっても?」


王はぐっと黙る。


「保身に走るのは分かりますわ。自分の立場を守ろうとするのも。ならば、そんなもの捨てておしまいなさい。

後は若い方々に任せればいいではありませんか。」


「なっ、アレンにはまだ無理だ!あの青二才に国は守れん!」


サブリナはすっと目を細める。


「殿下を舐めないことですわ、陛下。

あの方はついぞ自分の立場から逃げなかった。今では知恵も武もあります。

殿下が王座についたあかつきには、このポリニャック家とド・ギーシュ家が全力で支援を。」


「できるものか!」


「できるかではありません、やるのです。陛下、自分のご子息を血で汚すおつもり?」


王は黙った。

針が時を刻む音だけが鳴り響く。

どれだけの時が経ったか、王はふう、と口を開いた。


「お前が……今でもアレンのそばに居てくれたら……。」


「……殿下には、もう私は必要ありませんわ。」


私兵と一緒に王を連れ出すサブリナ。


その笑顔は、どこか寂しげだった。


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