第二章四話 冬景色
「月桂ちゃん、ちょっとお話があるのだけど」
「冬香ちゃん、うんいいよ何」
「此処だとちょっと、都合が悪いのよね」
「分かったわ、じゃあ何処に行く」
「そうね、無難に屋上なんてどうかしら」
「屋上、ね。いいけど、どうやって行くの。普段屋上は施錠されているわよね」
「じゃーん、これなんだ」
私はこれ見よがしに鍵をちらつかせる。
「屋上の鍵」
「正解。じゃあ行こうか」
月桂を連れて屋上に上がる。そこには一面ソーラーパネルが並んでおり、アニメなどからイメージする華やかな屋上の景色はなかった。
「何だか興冷めよね、こうも人工物だらけだとさ。雰囲気も何もないじゃないね」
「そうね、もう少し花壇を作るとかしてほしいわね。まぁ普段だれも立ち寄らないし、これが合理的ではあるわね」
そんなつまらない同調は求めていないのだけど。
「ほんと貴女って賢いわよね、賢い。だけどバカ」
「ねぇ、私貴女に何かしたかな。心当たりがまるでないのだけど」
「う~~ん強いて言うなら私に話し掛けた」
「そう、つまり私達は生理的に合わないってことか」
そういうところが嫌いなんだ。
「そういうこと、でもないのよ。ちょっと貴女が自重してくれればいいだけなの」
「自重、ね。分かった、今後気をつけるわ。今まで不快な思いをさせてしまってごめんなさい」
そういうところだバカ。
「貴女のね、そういう潔いところ好きよ。好きだけど、嫌い」
私の右ストレートは見事に彼女の腹へとめり込んだ。そのまま拳を右、左へとねじる。月桂はあまりに痛いのか、言葉になっていない言葉を吐き捨てている。
「ははは、そんなカハカハ言っても痛みは変わらないわよ」
拳を離すと月桂は座り込んでしまった。
「私もね、ここまでする気は無かったのよ。でもね、ある人が貴女のために私に意見してきたの。だからね、その人を分からせるためにもこうするしかなかったの。だから恨むならその人を恨んでね」
そう喋り終え、座り込んだ彼女の顳顬に蹴りを一発入れて私は屋上を跡にした。
次回、秋の変化




