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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆孤独な王子①6/8発売
第三章

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99.兄ちゃん、勘違いをする

「庁舎に帰るぞ!」

「帰るぞ!」


 合体家事魔法の実験をそこそこに、僕はエアリオスさんとアクエリオスさんに引きつられて、青翼騎士団の庁舎に帰ることになった。


「お二人は僕がコンラッド団長のところに泊まるのは聞いてましたか?」

「「いや? 知らないぞ」」


 どうやら裏で話が進んでいたのかもしれない。

 詳しい話はコンラッド団長に聞かないとわからないね。


「でもなんでコンラッド団長なんだろう……」


 それこそ貴族ならエリオットさんの自宅とかゼノさんの自宅でも良かったはず。

 わざわざ所属が違う青翼騎士団のコンラッド団長に頼む理由があったのだろうか。


「エリオットさんはコンラッド団長の甥っ子だからな」

「だからな」


 その言葉を聞いて、僕は立ち止まった。


「……えっ!? そうなんですか?」

「コンラッド団長の弟がバリーさんとコンラッドさんの父親だぞ」


 元々青翼騎士団に所属していたから、エリオットさんと距離が近いと思っていた。

 それがまさか伯父と甥っ子の関係だとは――。


「だからバリーさんが悪いことをしても追い出せないのか……」

「「何か言った?」」


 二人は歩みを止め、振り返った。


「ううん、大丈夫です!」


 僕は二人の手を掴むように歩いていく。

 ここは貴族街だ。

 ぼんやり歩いていると、何が起こるかわからないからね。

 ただ、貴族街でも二人は警戒されているのか、お店の中からこっちを見ている人たちが多かった。

 ひょっとしたら青翼騎士団って問題児を預かる保育園みたいなのかも……。

 今も僕と手を繋いで、楽しそうに振り回しているからね。

 僕の腕が取れちゃいそうだ。


 しばらく歩くと、青翼騎士団の庁舎が見えてきた。

 黒翼騎士団の庁舎からだと結構遠かったが、やはり貴族街の縁にある青翼騎士団の庁舎だと城から近い。


「しばらくお世話に……って汚っ!?」


 青翼騎士団の庁舎に行くと、中は洗濯物やゴミで溢れかえっていた。

 キッシュさんに料理を教えてから、孤児院に行く予定もあったから、ここに来るのも久しぶりだ。

 ただ、あまりにも足の踏み場のないほどの散らかりように、僕は驚いてしまった。


「おっ、ソウタがこっちに来るのは珍しいな!」

「あっ、バリーさん――」


 遠くの方からバリーさんが走ってきた。

 僕がどこにいるかわかるセンサーでもついているのだろうか。


「てめぇ、また仕事サボるとはどういうことだ!」

「やべっ!?」


 ただ、その後ろからコンラッド団長がすぐに追いかけてきていた。

 今日は朝からバリーさんに怒られていると聞いたが、また抜け出したのが見つかったのだろう。


「コンラッド団長、こんにちは!」

「あっ……ああ、もう来ていたのか」


 コンラッド団長は崩れた髪を整えると、姿勢を正した。

 コンラッド団長といえば、紳士的なイメージだったけど、きっと今の姿が普通なんだろう。


「くくく、コンラッド団長も人間味がありますね」

「恥ずかしいところを見せたな。ほら、バリーは戻るぞ」

「くっ……」


 バリーさんの襟元を掴むと、そのまま部屋に戻っていく。


「ソウタ、また遊ぼうぜー!」


 バリーさんはこの状況が気にならないのか、手を振っていた。

 あとでコンラッド団長にまた怒られそうだな……。


「あれってよくあるんですか?」

「あれが、青翼騎士団の日常だよな?」

「ああ、ソウタがいた時は自重していたけど」


 どうやら僕が見ていた青翼騎士団は仮の姿のようだ。

 コンラッド団長がしっかりしているだけで、青翼騎士団も黒翼騎士団と全く変わらないね。


「さあ、せっかく覚えた合体家事魔法で素早く洗濯をしましょうか!」

「「まかせろ!」」


 洗濯は二人に任せて、僕は庁舎の中を拭き掃除していく。

 あまりにもゴミが転がっているから、初めて黒翼騎士団に行った時のことを思い出す。

 あの当時のみんなは、部屋が汚いのがダメな理由も知らなかったからね。

 そもそも汚いという認識がなかったぐらいだ。

 そう思うと、朝から掃除をしていた今日の姿は幻覚のような気がしてた。


「はぁー、寂しくなってきたな……」


 やはりふと思い出すのは黒翼騎士団の騎士たちだ。

 一日離れるだけなのに、こんなに寂しくなるとは思わなかった。


「ソウタ、エリオットからは話を聞いているか?」


 そんな僕に戻ってきたコンラッド団長が声をかけてきた。


「はい。礼儀作法を学ぶ一環として、一人で城に行くことがあるからですよね」

「……そうだな」


 コンラッド団長は少しだけ間を開けて返事をした。


「今日から俺と一緒に過ごすことになるが、気を使わなくいい」


 僕が居心地悪くないように配慮してくれているのだろう。


「ありがとうございます。でも、黒翼騎士団とやることは変わらないですからね」


 部屋の汚れ方を見ていると、僕の仕事は青翼騎士団にもありそうだ。

 それに料理を作ることはよくあったから、ただ青翼騎士団の庁舎にお泊まりに来ている感覚に近い。


「そういえば、コンラッド団長のご自宅ってここです……よね?」


 エリオットさんがコンラッド団長の自宅と言っていたのが気になっていた。

 自宅なら青翼騎士団の庁舎って言うだろうし。


「いや、俺たちは自分の屋敷に帰っている」


 まさかコンラッド団長の屋敷にホームステイするとは思わなかった。

 コンラッド団長の話では、夜勤の人のみ青翼騎士団の庁舎にいるらしい。

 どうやら黒翼騎士団は一緒にいるのが当たり前だったが、青翼騎士団はそうではないようだ。

 まあ、普通に考えたら、庁舎に個人の部屋があるのはおかしいもんね。

 たまにバリーさんを見かけなかったのは、休みで出かけていたのではなく、自宅に帰っていたのだろう。


「一日だけですが、よろしくお願いします」

「あっ……ああ」


 コンラッド団長からは、また歯切れの悪い返事がきた。

 その理由を、この時の僕はまだ知らなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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