表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆孤独な王子①6/8発売
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/103

95.兄ちゃん、双子を教育する

「エアリオスさんとアクエリオスさんでしたっけ?」


 僕は服を洗っている二人に詰め寄る。

 隣でエリオットさんがため息をついているから、僕がやろうとしていることに気づいているのだろう。


「「なんだ……?」」


 僕はニヤニヤしていたのか、二人とも少しずつしゃがんだまま遠ざかっていく。

 それでも立っている僕から逃げることはできない。


「家事魔法を覚えませんか!」

「「家事……魔法?」」


 二人して首を傾げている。

 僕は泡で汚れている手を握ると、お互いに目を見合わせて頷いた。


「「仕方ないな」」


 逃げないように手を握ったけど、どうやら説得されていると思ったのかな。

 頼られて嬉しそうな顔をしていた。


「じゃあ、水魔法を使うのは――」

「あっ、俺だ!」


 紺の髪色をした男性が立ち上がった。

 どうやら彼はアクエリオスさんのようだ。

 見た目が似ているから、中々判別しにくい。


「チッ!」


 一方、深緑の髪色の男性は呼ばれず舌打ちをしていた。

 彼はもう一人の双子エアリオスさんの方だろう。

 ただ、舌打ちする感じがバリーさんに似ているから、本当に似た者同士なんだろうね。


「エアリオスさんにはドライヤー魔法を教えるので、少し待っててくださいね」

「ふん……仕方ないな」


 自分にも教えてもらえるとわかったからか、腕を組んでチラチラと僕の顔を見ていた。

 この人も素直じゃないね。


「じゃあ、まず洗濯魔法ですけど……エリオットさん、お願いします」

「わかりました」


 エリオットさんは目をつぶって集中する。


「クルクル……洗濯魔法!」


 魔法を発動すると、大きな水球が浮かび上がった。


「よーく中を見ててくださいね」


 水球の中に小さな流れが生まれる。

 それが重なりやがて一つの大きな渦になった。


「ここに服を入れて、綺麗に洗うのが洗濯魔法なんです!」


 僕は一枚服を手に取り、中に入れると、クルクルと服が水球の中で回り出す。

 真っ黒な服から汚れが浮かび上がり、段々と服も白さを取り戻していく。


「おぉー、魔法はすごいな!」

「エリにいすごいね!」


 カイやルカも魔法に興味津々に見ている。

 平民は中々近くで魔法を見ることがないから、子どもたちはエリオットさんの回りに集まっていた。


「魔法をそうやって使うのか……」

「あれで俺たちも人気者だぞ」


 どうやら彼らはチヤホヤされたいらしい。

 アクエリオスさんはエリオットさんをマネするように水球を手のひらに浮かべた。


「んー、エリオットさんが8キログラムサイズなら、アクエリオスさんは一人暮らしにピッタリな5キログラムサイズってかんじですね」


 比較すると何回りかエリオットさんの水球の方が大きい。

 ただ、プカプカ浮かんでいるのは変わらないようだ。


「それはなんですか……?」

「「なんだそれ?」」


 さすがに洗濯機のサイズを言われてもわからないよね。

 僕はエリオットさんとアクエリオスさんの水球に指をさす。


「サイズ……大きさが違うなーって思ったので!」

「クスッ!」

「ムッ……」


 エリオットさんは誇らしげに笑うと、アクエリオスさんはどこか悔しそうだ。


「ソウタ、魔法は魔力の量やコントロールでかなり差が出るんです」

「ってことは……この大きさの違いも魔力の量が関係しているってことですか?」

「はい。やはりソウタは優秀ですね」


 エリオットさんは洗濯魔法を操作しながら、嬉しそうに頷いた。

 一方、アクエリオスさんは徐々に息が荒くなり、額に汗が滲む。


「くそ……まだだ……」


 水球は維持しているが、わずかに揺れている。


「おい、しっかりコントロールしろ――」


 次の瞬間、水球がぐらりと歪み、膨れ上がった。


「まずい、それは――」


――ボンッ! 


 エリオットさんの声はすぐにかき消され、音を立てて水球が弾け飛んだ。

 辺りに水しぶきが降り注ぎ、服も地面もビショビショに濡れていた。


「アクエリオス、もう少し魔法の鍛錬をしなさい」

「うっ……」


 きっと魔法のコントロールができないと、今みたいに魔法が弾け飛ぶのだろう。

 魔法を発動するだけでも難しいのに、それを長時間コントロールするってなると、さらに難易度が高いのだろう。


「もしかして、エリオットさんとゼノさんって僕が思っているよりも優秀な方ですか?」

「ええ、私とゼノは一種類しか使えないので、騎士しか選択肢がなかっただけですからね」


 どうやら我が家の弟たちはかなり優秀な騎士のようだ。

 エリオットさんは魔法師団に所属しているイメージはできるけど、優秀なゼノさんは想像できない。

 だって、僕に甘えん坊な姿ばかり見るもんね。


「じゃあ、家事魔法は難しいか……」

「「いや、俺たちならできるぞ!」」


 それでもアクエリオスさんとエアリオスさんは諦めないようだ。

 どうにか方法があればいいけど……。


「あっ! 二人で一緒に魔法は使えないんですか?」

「「二人で?」」

「魔力とコントロールが足りないなら、作業を分割したらできないかなって……」

「「ははは、そんなことできるはずない」」


 僕の言葉にアクエリオスさんとエアリオスさんは声をあげて笑う。


「やっぱりそうですよね。僕は魔法のことを全然知らないので……」


 でも、エリオットさんは顎に手を当てて何か考えているようだ。


「エリオットさん、どうしました?」

「いや、そういう考えの人がいなかっただけで、エアリオスとアクエリオスとならできるかも――」

「「「本当ですか!?」」」


 二人に混ざって僕もエリオットさんに問い詰める。


「あっ……ああ。ただ、そういう文献があまりないからな……」


 急に近寄って来られたから、エリオットさんはびっくりしていた。

 エリオットさんの話では、ミレイユ団長が成功させようとしている複合魔法がそれに当たるらしい。

 そもそも僕の洗濯魔法やドライヤー魔法も文献にはない。

 それでも成功しているから、何かしらのきっかけがあればできるのではないかとエリオットさんは考えているようだ。


「ミレイユ団長ができないなら、二人だとでき……いや、双子だからできるのかな?」

「そこが重要なところですね。一人だと魔力やコントロールが大変だが、幼少期からいつも一緒にいる二人だと魔力も似ているから役割分担できないかなと」

「大事なイメージはもうできてますしね!」


 魔法はイメージが重要なのを家事魔法で知っている。

 イメージはすでに洗濯魔法を見せて共有しているから、双子だからこそ僕にもできるような気がしてきた。


「アクエリオスさんは水魔法で形を作って、エアリオスさんが中を回すようなイメージで風魔法を使ったらどうですか?」


 僕はさっきまで洗濯に使っていた桶を持ってくる。


「これがアクエリオスさんの水魔法で――」


 そして、僕は手を入れてグルグルとかき混ぜる。


「この手がエアリオスさんの風魔法です!」


 二人はお互いに目を合わせると頷く。


「アクエリオスは形をイメージ、エアリオスは中を回すイメージすると成功しやすいかもしれない」

「「やってみます」」


 二人は息を呑み込み、魔法を発動させた。

 宙にプカプカと浮かぶ水球。

 エアリオスさんはそこに手を向ける。


「あっ、ちょっと待ってくださいね」


 僕はエアリオスさんの手を掴み、水球の中に入れた。


「水球の外から風魔法が発動しそうなので、中に入れてみたらどうですかね?」


 エアリオスさんは頷くと、そのまま風魔法を発動させた。

 少しずつ中から押されるように水球の形は歪むが、それでも形を保っている。

 すると、少しずつ水球の中に小さな渦ができ始めた。


「あれって……成功ですか?」

「たぶん……」


 中ではぎこちなく渦が回っているが、さっきのように弾けることはない。

 完璧とは言えないが、確かに魔法として成立していた。


「二人ともすごいです!」

「「やったぞ!」」


 僕は二人に近づき一緒になって喜んだ。

 だが、それがいけなかった。


「おい、意識を外す――」

「「「えっ……!?」」」


――パンッ!


 エリオットさんが注意する前に水球は弾けるように形を失った。

 もちろん近くにいた僕も水浸しだ。


「これで俺たちも人気者だな!」

「ははは、バリーさんのようになれるぞ!」


 二人とも嬉しそうに話している。

 やはりバリーさんに憧れがあるのだろう。

 ただ、彼に憧れるのはやめた方がいいと思うよ?

 僕は周囲を見回して、大きくため息をつく。

 その前に二人にはやってもらわないといけないことがある。


「二人とも汚れた分はしっかり全部洗ってくださいね?」

「「……は?」」


 僕は水球が破裂して、風魔法で吹き飛ばされた服に指をさした。


「せっかく洗ったのにまた汚れてますからね?」

「「ぬおおおおおおおお!」」


 エアリオスさんとアクエリオスさんはその場で項垂れる。

 だけど、二人はどこか嬉しそうな顔をしていた。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ