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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第三章

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86.副団長、秘書官になる ※エリオット視点

 私は副騎士団長失格だ。

 さっきまで隣にいた部下も守れずに、何を守るのだろうか。


「ソウター!」


 城の中で貴族が声を上げて人を探すなんて普通であればしない。

 貴族としてマナーに反することをすれば、一族の品位そのものが疑われてしまう。

 まるで兄さんのように……いや、もう兄さんのせいで品位がない一族だと思われているはずだ。

 それに今の私はそんなことを気にしている暇はない。


「いるなら返事をしてくれー!」


 ソウタは目を離すとすぐにどこかに行ってしまう。

 別にかくれんぼをしているなら問題ない。

 ただ、ソウタはすぐに誘拐されるから心配になる。

 宿屋にいたら兄さん(・・)に誘拐されたり、路地裏にいたら兄さん(・・)に誘拐――。


「まさかまた兄さんのせいか!」


 孤児院にいると思ったが、まさかソウタを自分のものにしようとしているのかもしれない。

 そもそもソウタが無自覚に愛想を振り撒くからいけない。

 私たちを弟って言いながら、他の騎士にまで弟と感じているのか優しくする。

 そのせいかすぐに問題ごとに巻き込まれているからな。

 いつもは冷静な私ですら、心をかき乱される。

 背後から足音が近づいてくる。


「ソウ……」

「あの子に何かあったのか?」


 振り返ると、声をかけてきたのは宰相だ。

 その隣には財務卿もいる。


「ソウタ……黒翼騎士団の部下が知らないうちに行方不明になりまして……」


 私の言葉に二人ともなぜか頷いていた。

 迷子なら問題はないが、さっきまで隣にいたのに迷子になるはずはないからな。


「あれだけの能力があるなら仕方ない」

「同じ年頃の貴族の子より物怖じしないからな……」


 目の前にいる人たちはソウタを高く評価しているようだ。


「ええ、黒翼騎士団の()ですからね?」


 なぜか私は嬉しくなり、誇らしくなってしまう。

 それだけ私にとってソウタは兄さんよりも大事な家族だ。


「そんなに大事にしていた宝をなくしたのは誰なんだ?」


 宰相の言葉に胸が締め付けられる。

 やはりゼノが言ったように、黒翼騎士団の庁舎に縛り付けた方が良いのだろうか。


「宝も守れないなら、ここは財務局にでも渡してもらっても構わないぞ。部下たちもすっかり魅了されているからな」

「なっ! あの子が文官になるなら宰相府に入れるつもりだ」


 宰相と財務卿が歪む合っているのはよく聞くが、目の前で見るとは思わなかった。

 貴族は常に冷静でいなければいけないからな。

 それに――。


「ソウタはすでに黒翼騎士団に所属しているので騎士です」

「「なっ……」」


 私は二人に向けてニヤリと笑う。

 もうすでにソウタは黒翼騎士団が唾をつけて囲っているから、文官にさせるつもりはない。


「ちょうどコンラッド団長も養子にしたいと言っていたから、青翼騎士団に配属変更させれば、宰相府の騎士……いや、私専属の後務(・・)騎士にできるな」

「何を言っている! それなら財務局の騎士でもいいじゃないか! 息子にも好かれているなら、そっちの方が可能性が高いだろ」


 二人の話からすると、宰相はソウタの料理に惚れ込んで、財務卿はゼノのことを知りたいようだ。

 相手が求めているものが分かれば、先手を打つことができる。


「ここはソウタの上長である私にお任せください」

「君に頼んだらどうにかなるのかい?」

「息子が私の元へ行かせないと思うが?」


 私はメガネを上げて、自信満々な笑みを向ける。


「ええ、うちのソウタは優秀ですからね」


 黒翼騎士団の副団長から、ソウタ専属秘書官に転職だな。

 それでソウタが奪われなければ問題ない。

 私がソウタを管理して、相手先に送り届ければいいだけだ。

 それよりもさっき気になった言葉が聞こえてきた。


「コンラッド団長がソウタを養子にするってどういうことですか?」

「私らはリヒャルト殿下から聞いたぐらいだからね」

「それは本当ですか?」


 宰相の言葉に驚きを隠せない。

 まさか一番の敵が伯父だったとは予想外だ。

 コンラッド団長には妻がいたけど、死別しているし、子どもはいない。

 ソウタを養子にするにはちょうど良いのもあるが、あの人なら何か企んでいそうな気がする。


「ひょっとして兄さんの代わり――」


 コンラッド団長が引退すれば、副団長である兄さんが自然と団長に昇格する。

 それなら今のうちにソウタを養子として迎え入れて、騎士として育てることができる。

 要領がよく、人から好かれているソウタなら魔法が使えなくても青翼騎士団の運営はうまくいくだろう。


「たしか相当惚れ込んでるらしいぞ」

「惚れ込んで……いる?」


 まさか後妻を作らなかったのは、そういうことなのか。

 別に私は伯父が同性相手に婚約することは構わない。

 むしろそういうのを好む人もいるし、珍しいわけではない。

 だけど、ソウタは……まだ五歳だぞ。

 ……いや、五歳だからこそ婚約できない代わりに養子にするのかもしれない。

 それに私や兄さんにも好かれているなら、誰もが認める相手でもある。


「くっ……敵は身近にいたってことか……」


 考えれば考えるほどコンラッド団長の思惑がわからない。

 あの人は頭を使って青翼騎士団の団長に上り詰めたような人だ。

 でも、私は決して認めないぞ!

 ソウタは我ら黒翼騎士団のものだからな!


「私はソウタを今すぐに探してきます。いなければコンラッド団長……いや、伯父を脅してきます」


 私はすぐにソウタが行きそうな場所を探し回る。

 誘拐したのは兄さんかそれとも伯父なのか……それはわからない。

 ただ、ソウタは私が管理した方が良いのは確かのようだ。 


「なんかあいつ誤解していないか?」

「まぁー、黒翼騎士団で馴染んでいるぐらいだし、息子もおかしいからな……」

「それもそうか。あの変わり者ばかりの集団だ。そういえば、あの子を探せねば」

「ふん、彼は財務局の文官にさせるからな!」


 二人で何を話しているかは聞こえづらかった。

 だが、宰相と財務卿も貴族なのを忘れて、ソウタ探しているってことを考えると、それだけソウタに価値があるってことだろう。

 そんなのは黒翼騎士団が一番わかっているからな。


「ソウタ、どこだー!」


 その後もしばらく城の中で、ソウタを探し求める声が響いていた。

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