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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第三章

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81.兄ちゃん、魔法は便利な家電もどきです

「ではまた決まり次第報告する。これで会議は終わりだ」


 会議は順調に終わり、詳細は各騎士団長や貴族たちに報告されることになった。

 処罰に関しては、子どもの僕に直接聞かせないように配慮されたのだろう。

 途中、話が脱線していたが無事に終わってよかった。


「確かソウタだったな?」


 宰相は僕に近づいてくると、肩に手を置いた。


「お弁当楽しみにしている」


 宰相はニヤリと笑い、それだけを伝えて会議室から出て行った。

 どうやら僕がお弁当を作るのは決定事項のようだ。


「僕たちも帰りましょうか」


 僕はエルドラン団長の膝から降りようとしたら、そのまま離れないように止められた。


「どうしました?」

「ソウタはまだ治療があるぞ」

「……治療ですか?」


 どうやら怪我を負った僕の治療に、魔法師団が治癒魔法をかけてくれるらしい。

 それまでは会議室で待たないといけないようだ。

 初めて聞く治癒魔法に少し興味を持ったが、魔法が使えるってことは魔法師団も貴族の集まりなんだろう。

 特にやることもなく、ボーッとしていると視界には椅子に座ってこっちを見ている財務卿がいた。

 何か僕に用事があるのだろうか。


「そういえば、財務卿ってゼノさんに似ていますよね」


 僕は気になっていたことをエルドラン団長に聞いてみた。


「あっ……ああ、ソウタは気づいたのか。ゼノは財務卿の息子だ」

「へー、ゼノさんってやっぱり有名な貴族なんですね」

「俺は聞くまで全くわからなかったけどな」


 親が財務卿となれば、ある程度地位が高い爵位なのは間違いない。

 確か孤児院にいる僕を助けにきてくれた時は公爵家って言ってたかな?

 日本には貴族制度がないから、いまいちパッとしないし、どこまですごいのかもわからない。

 ただ、コンラッド団長から貴族は爵位を大事にしていると聞いたことがある。


「ソウタはどこでゼノと財務卿が似ていると思ったんですか?」


 エリオットさんも少し気になったのだろう。

 僕から見たら結構似ている気がするんだけどな……。


「顔や雰囲気もですが、特にゼノさんと同じそばにいたら安心してポカポカする感じが……」

「「ポカポカ?」」


 エルドラン団地とエリオットさんは首を傾げていた。

 ゼノさんって僕を一番心配してくれているのもあるけど、時折一歩離れたところで客観視していることが多い。

 財務卿の視線はどこかそんなゼノさんと似ている。


「えーっと、ソウタと言ったかな?」


 そんな僕に財務卿が近づいてきた。

 僕たちの話が聞こえていたのだろう。


「ゼノは……その……息子は元気か」

「ゼノさんですか? すごく元気ですよ!」

「そうか……」


 財務卿は優しそうな顔をして、口角を少し上げる。


「元気過ぎてちょっと困っちゃうぐらいですけどね。今日も僕を城には行かせないぞーって駄々を捏ねていました」

「……それはゼノなのか?」


 ひょっとしたらゼノさんは財務卿にそんな姿を見せたことがないのだろう。

 僕と一緒にいる時のゼノさんは基本甘えん坊だし、よく駄々を捏ねているところを見る。

 貴族って僕が思っているよりも大変そうだし、親子でもある程度の距離感を保っているのかもしれない。


「甘えん坊の時もあれば、しっかり者の時もありますし……どれも僕は好きです」

「そうか。ちゃんと息子が好かれているようでよかった……」


 財務卿は安心したのか、一瞬だけホッとした顔をしていた。

 どこかその姿が弟妹を見守る父さんと被った。


「では、またいつか会おう」


 財務卿は会議室から出ようと扉に手をかけると、一瞬だけ振り返った。


「あっ、そうそう。私もそのお弁当ってやつを楽しみに待っている」

「……へっ!?」


 ニヤリと微笑んだ財務卿の顔はイタズラをしようとするゼノさんにそっくりだった。

 僕は本当にお弁当を作らないといけないのだろうか。

 貴族なら美味しいものを食べているし、このままだと黒翼騎士団所属のお弁当屋に転職することになりそう。


「財務卿もあんな顔をするんだな」

「あの人って堅苦しいって有名ですからね……」


 きっと僕が子どもの姿だから、財務卿も気を許したのだろう。


「あのー、みなさんは仕事に戻らないんですか?」


 僕は会議室に残された人たちに声をかけた。

 会議室には各騎士団長と副団長だけが残されている。

 きっと会議室から出ようとしないのは、宰相と財務卿が立ち去るのを見送るまで、待っていたのかもしれない。


「私たちがここにいては困るのかね?」


 リヒャルト殿下の言葉に僕は首を横に振る。

 このあとは治癒魔法の使い手に背中の傷を治してもらうだけなのに、何かここに残る理由があるのだろうか。

 ひょっとしたら、治療後に僕を除いた騎士団長たちの話し合いがあるのかもしれない。


 しばらく待っていると、会議室の扉を叩く音が聞こえてきた。


「入れ!」

「失礼します」


 リヒャルトの殿下の声に反応して、男性が一人会議室に入ってきた。

 ローブを着ており、いかにも魔法が得意そうな装いをしている。


「魔法師団所属のユリウスです。治癒の魔法をかけて欲しいということで伺いました」

「ああ、この少年の傷を治してやってくれ」


 騎士団以外に魔法が得意な人たちの集団がいるとは思わなかった。


「傷を見せてくれるか」


 僕はユリウスさんの言われた通りに団服を脱いで、背中を彼に見せる。

 もちろんその後ろには他の騎士たちも見ていた。


「なんてことだ……」

「いくらなんでもやり過ぎだろ」


 リヒャルト殿下とコンラッド団長はコソコソと何かを話しているようだ。

 僕の背中はまだ瘡蓋ができていないところもあったし、ミミズ腫れや内出血がいくつもある。

 オリーブを守るために何回か鞭で叩かれたが、子どもの肌は柔らかくて傷がつきやすい。


「少しムズムズすると思うが我慢してくれ」


 僕が頷いて返事をすると、ユリウスさんは何かを唱える。

 すると背中がだんだんとポカポカし、痒くなってきた。


「掻いたらダメですか?」

「今は背中の皮膚を元気にさせているから、そのまま耐えてくれ」


 どうやら治癒魔法は細胞の働きを活発にさせているのかもしれない。

 背中をクネクネ動かしていると、目が合ったバリーさんは笑っていた。

 きっと僕をイモムシか何かと思っていそうだ。

 

「よし、これで終わりだな」


 僕はゆっくりと背中に触れると傷口はなく、サラサラとしていた。

 本当に皮膚の細胞を活発にさせて、治癒の速度を早めたようだ。


「ユリウスさん、すごいですね!」

「ふん、これでも魔法師団の副団長だからな」


 腰に手を当てて威張っているが、どうやら魔法師団の副団長をしているらしい。

 魔法師団について聞くなら、彼に尋ねた方が色々なことを教えてくれそうだ。


「魔法師団と騎士団は何が違うんですか? 騎士も魔法は使えますが――」

「何を言っている。魔法の腕は騎士たちとは全く違うぞ」


 ユリウスさんの話では、騎士は剣が主軸で魔法が少し使える程度。

 魔法師団は魔法に特化した人たちが所属するところらしい。


「そもそもの話、魔法師団に入るには複数の適性が必要なんだ」

「適性ですか?」

「ああ、私は治癒魔法にも他の魔法も使えるからな」


 どうやら魔法の才能がある人は魔法師団、その他が騎士団に所属しているようだ。

 その中でも、爵位が高く攻撃魔法が使えるのが白翼騎士団。

 それ以外の貴族が青翼騎士団と予想している。

 そして、青翼騎士団に所属できない女性が赤翼騎士団ってことだろう。


「ユリウスさんがいたら、生活するのに便利になりそうですね」

「便利……?」

「ええ、魔法って生活を潤すじゃないですか。黒翼騎士団にはエリオットさんの洗濯魔法やゼノさんのドライヤー魔法は必須ですからね!」


 きっとそんな名前の魔法はないけど、彼らが使う魔法を僕はそう呼んでいる。

 ただ、聞いたことのない魔法名にユリウスさんの目は輝いていた。

 彼は本当に魔法が好きな人らしい。


「はぁー、お見せすればいいんですね」


 僕はエリオットさんに頼むと、みんなの視線を浴びながら水魔法を発動させた。

 いつものように宙に浮く水の塊を出すと、水の流れはグルグルと回っている。


「ここに洗いたいものを入れると綺麗になるんですよね」


 僕はハンカチを入れると、水の流れに乗るように回っている。

 ただ、その様子に他の騎士たちは驚いて目を見開いていた。


「魔法にこんな使い方があったのか!?」


 リヒャルト殿下の言葉に僕は気づいてしまった。

 どうやら僕だけ魔法の使い方が少し変わっているらしい。

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