表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/92

78.兄ちゃん、仕事が増える

 孤児院での奴隷売買問題が解決したけど、僕の仕事はまた一つ増えた。

 たくさんのパンと鍋を持って、僕はキッシュさんと共に孤児院に向かう。


「あっ、バリーさんおはようございます!」

「おう! お前も来たんだな」

「それはこっちのセリフですよ」


 孤児院では、なぜかバリーさんが朝から子どもたちと遊んでいた。


「タッチ! 次はバカにいがオーガだよ」

「なっ! 俺が話している間に捕まえるとはいい度胸じゃねーか!」


 鬼ごっこのようなものをしているのか、バリーさんはすぐに子どもたちを追いかけに行った。

 目つきの悪い顔に内出血痕もあるから、追いかけられたら振り向くのも怖いだろう。

 それにしても、バカにいと呼ばれているのは気にしていないのかな?


「あの人、本当に副騎士団長ですよね……?」

「そうですね。ただ、バリーさんのあんな姿初めて見ました」


 キッシュさんは子どもたちに好かれているバリーさんを見て驚いていた。

 バリーさんって思っているよりも、子どもに対しては優しいからね。


「ぐおおおおお!」


 バリーさんは子どもの手足を掴んで振り回していた。

 本気で遊んでくれる大人って子どもからしたら、楽しい遊び相手だろう。

 ただ、優しいってのは取り消した方が良さそうだ。

 ルカがぎゃーっと笑い声を上げながら、投げ飛ばされて宙に浮いている。


「バリーさん、危ないですよ!」

「んっ? そうか?」


 きっとオーガっていうのを演じているのだろうが、さすがに危ない。


「へへへ、バカにいは力持ちだな」

「ルカばかりずるい! 次は僕の番だよ!」

「私もやってー!」


 子どもたちの楽しそうな顔を見ると、潜入してよかったと思う。

 背中の傷は治っていないから、まだズキズキと痛むけどね。


「ソウタ、おはよう!」

「ソウ、遅いわよ!」


 孤児院に入るとカイとオリーブが待っていた。


「早く準備するわよ!」

「そんなにお腹減っているの?」

「ソウタのご飯がうまいのがいけない」

「ソウのご飯が美味しいのがいけないのよ!」


 二人は口を揃えて、僕の料理のせいにしていた。

 僕が任された仕事は孤児院での食事の準備だ。

 基本的には黒翼騎士団の朝食を作るのと同時に準備をして届けている。


「これは何かしら?」

「パンに塗るジャムだよ。少しは味を変えて食べられると思ってね」


 オリーブは瓶詰めされたジャムを興味深そうに見ていた。

 黒翼騎士団が食欲旺盛なのも、孤児院でしっかり食べられなかったのが関係していたのだろう。

 今日も朝からジャムをつけるために、パンの取り合いをしていたからね。

 もちろんジャムに使う砂糖はバリーさんに買ってもらった。

 騙されたのは僕なのに、直接やり返してなかったからね。


「みんなー、朝ごはんだよー!」


 僕が大声で呼びかけると、勢いよく子どもたちが走ってくる。

 その中にはバリーさんもいた。


「おい、俺の分もあるよな?」

「……あるわけ――」

「ないとは言わせねーぞ! 俺たちはこれから孤児院と奴隷売買について全騎士団で会議があるんだぞ」

「はぁー、本当に僕もそこに行かないといけないんですか?」


 僕の言葉にバリーさんとキッシュさんが頷いていた。

 この後、貴族街にある城で全騎士団長および副団長が集まって孤児院の今後について話し合われる。

 一番直接関わった僕が事情聴取されるってことだ。

 ただの報告で終わればいいけどね……。


「うわっ……何これ!」

「ソウタ、こんな美味しいものを隠していのか!」


 オリーブとカイは声を上げた。

 ジャムをつけたパンを食べて、子どもたちは驚いた顔をしている。

 甘いものを食べる機会ってそこまで多くないもんね。


「バカにい、早く食べないとなくなるよ?」

「なっ!?」


 ルカに言われてバリーさんも急いで椅子に座る。

 お腹を空かした子どもたちは黒翼騎士団並みに早食いだから、すぐになくなってしまう。

 負けじとバリーさんもパンを口に入れていた。


「おかわりいる人ー!」

「はーい!」

「俺も!」


 キッシュさんがおかわりの確認をすると、子どもたちは手を上げていた。


「副騎士団長もですか……?」


 その中にはバリーさんも混ざっていた。


「職務命令だ」

「それはせこいですよ」


 バリーさんはキッシュさんに器を渡して、スープを入れてもらっていた。

 あの人は本当に貴族なんだろうか。

 そう言えば、一番初めにレオのお店の噂を聞きつけたのはバリーさんだ。

 美味しいもののために、周囲のことを考えず突っ走る貴族だったな。


「ソウタ、終わったかー?」


 玄関の方からエルドラン団長の声が聞こえてきた。

 僕が返事をすると、周囲をキョロキョロしながら入ってくる。


「俺たちがいた頃よりもだいぶボロいな」

「黒翼騎士団が寄付していたのも、全てブラックマーケット伯爵家が横領していたかもしれないですね」

「もう少し関わっていたら何か変わっていたのかもな……」


 どうやら黒翼騎士団も孤児院に寄付をしていたのだろう。

 エルドラン団長も過去のことをあまり思い出したくないのか、孤児院と距離を置いていたと聞いている。

 それだけ大変な子ども時代を過ごしたのだろう。


「なぜ兄さんが孤児院にいるんですか?」


 エリオットさんはパンを頬張っているバリーさんが気になったようだ。


「俺にゃ遊んでやりょーかと――」

「食べながら話さないでください」


 冷たいエリオットさんの視線の中、バリーさんは急いでパンを食べていた。

 普段なら言い合いをしていそうだけど、この間の兄弟喧嘩が効果あったのだろう。


「じゃあ、あとはお願いします」


 子どもたちをキッシュさんに任せて僕たちは貴族街に向かうことにした。



「おいコラ、俺を置いてくなよ!」


 すぐに食べ終えたバリーさんが走ってきた。

 まさか一緒に行くつもりだろうか。


「兄さん、歩きですよ?」

「別にいいだろ? なぁ?」

「……僕に聞きます?」


 視線を感じたと思ったら、僕に聞いていたようだ。


「バリーさんが歩きたいなら――」

「俺はちょうど歩きたい気持ちだ!」

「そこは気分じゃないですか……?」

「ふん!」


 特に気にすることなく、バリーさんは僕の隣を歩いていく。


「あいつソウタに懐いてないか?」

「今まで見たことない兄さんばかりで、同じ人なのかと疑いますね」


 黒翼騎士団の二人も今のバリーさんを見て驚いていた。

 初めて会った時よりも雰囲気が穏やかになっているもんね。


「朝はパン、パンパパン! 久々に歩くのもいいな!」


 今もなぜか上機嫌なバリーさんは鼻歌を口ずさみながら歩いていく。

 まるで前世のCMにありそうな曲調に、本当は僕と同じ転生者じゃないかと思ってしまう。

 まぁ、もし同じ転生者ならもう少し頭が――。


「おい、俺のことをバカだと思ってないか?」

「……えっ? バカじゃないんですか?」

「てめぇー!」


 バリーさんは僕を捕まえてくすぐってくる。

 やっぱりバリーさんは子どもと遊ぶのが好きなんだろうね。

 ただ、はしゃぎすぎると、僕の背後にいる人たちが黙っちゃいない。


「兄さん、それ以上やったら怪我じゃ済まさないよ?」

「そもそもソウタは俺たちのだからな!」


 二人ともどこかゼノさんに似てきているのは気のせいだろうか。

 まるで友達に僕が取られそうになるのを必死に抵抗している弟妹にそっくりだ。


「僕の家族は黒翼騎士団だけですよ」

「おう、それがわかっているなら問題ない」

「ソウタは誰にでも優しいですからね」


 やっぱりエルドラン団長とエリオットさんは、僕の弟で間違いないね。

 ただ、バリーさんはその後もムスッとして歩いていた。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ