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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第二章 戦うショタおかん

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72.兄ちゃん、裏切られる

 バリーさんは路地裏を出ると、すぐに僕が着ていた黒翼騎士団の制服を投げ捨てた。


「お前は今日から孤児だ。俺が捕まえたことにして保護してもらう」

「直接潜入して犯人を見てこいってことですか?」

「ああ、そうだ」


 本当にバリーさんって不器用だな。

 僕を孤児院に連れて行くことで、黒翼騎士団が関係しているか見に行かせるつもりなんだろう。ただ、その分バレるリスクも高いけど大丈夫なんだろうか。


「僕でも孤児に見えますか?」

「だから、こいつも必要になるんだよ」


 隣で逃げ出そうとしているルカに視線を向ける。

 確かにルカがいれば、僕も孤児に見えるかもしれない。

 あとは僕が売買される人に選ばれるかどうかだ。


「ルカ、奴隷売買の人はいつ来るの?」

「たぶん明日……」


 思ったよりも時間はないようだ。

 バリーさんもそれに気づいたのか、そのまま僕たちを孤児院に運ぶ。


「バカにい、離して!」

「俺はバリーだ!」

「やめて、離して! 僕をどうするつもりなの!」


 暴れるルカを見て僕もマネをする。

 バリーさんは時が止まったかのように僕を見ていた。


「よりリアルになるように練習をしておこうと思いまして……」

「ああ……本当に誘拐している気分になったぞ」


 戸惑うぐらいなら僕の演技も悪くはないようだ。

 妹たちよ。兄をごっこ遊びに誘ってくれて助かった。


「いや! 離して! くそくそ!」

「僕を食べても美味しくないぞ」

「ぐへへへ、お前たちを今から孤児院に連れて行くんだよ」

「「うえーん、やだよー」」


 孤児院に着くまでは演技に磨きをかけていく。

 途中からバリーさんとルカも楽しくなったのか、ノリノリでやっていた。


「孤児院に着いたら俺が外から見張っておく。タイミングを見て乗り込むからな」

「わかりました」


 ルカの話では毎週同じ曜日に黒翼騎士団の制服を着た人が見に来ることになっている。

 運が悪ければその時に連れて行かれるらしい。

 だから、それに合わせてバリーさんが乗り込むことになった。


「ここが孤児院ですか……」


 目の前には大きな屋敷が目に入った。

 外観はボロボロで庭も全く管理されていないのか草が伸びている。


「逃げないように鍵がかけてあるのか」


 外からは南京錠みたいなもので鍵がかかっているため、中には入れないようだ。

 外壁も大人ならどうにか飛び越えられるが、子どもには無理だろう。


「よし、ここからが本番だぞ」

「「うん!」」


 僕たちは出来る限り声を上げて演じる。


「うぇーん! どこに連れて行くんだー」

「離せ! 僕はここに帰りたくないんだ」

「お前らうるさいぞ!」


 ジタバタしながら中から人が出てくるのを待つ。

 何度も声を出していると、孤児院の職員らしき男が出てきた。


「どうされましたか?」


 ただ、バリーさんを見て警戒しているようだ。


「路地裏で孤児と思われる子を連れてきた」

「兄ちゃんを返せ!」


 暴れるルカを見て、職員は誰かわかったのだろう。次は僕の番だ。


「やめてください……。僕もここには来たくないです!」

「……ソウ!?」


 思ったよりも職員は僕の顔を見て驚いていた。

 一瞬名前を呼ばれたような気がしたが、〝ソウ〟って元々の名前だろうか。

 バリーさんも僕の顔をジーッと見つめている。


「二人とも孤児院を抜け出した子どもです。ありがとうございます」


 どうやら元の体である僕も孤児院から逃げ出した孤児らしい。

 嘘か本当かはわからないが、これで孤児院に入ることはできそうだ。


「何かあったら叫べよ」


 バリーさんは静かにつぶやいて、僕たちを孤児院の庭に投げつけた。


「痛っ……」


 いくら何でもやりすぎだと思い、バリーさんを睨みつける。


「ははは、孤児は孤児らしく過ごすんだな」


 彼はニヤリと笑い立ち去って行く。

 あまりにも不気味な笑みに背中がゾクッとした。

 ひょっとして元々僕たちを孤児院に入れるつもりだったのか……?

 ふとそんなことが脳内で過ぎる。


「怖いよ……」

「大丈夫だよ」


 ルカの肩をそっと触れると全身が震えていた。

 嫌なことを思い出したのだろう。


「ほら、お前たち中に入れ」


 まるでの物のように僕とルカの腕を引っ張っていく。


「離してください」


 僕は足に力を込めて、その場で腕を強く引き込む。


――パチン!


 突然、頬に伝わる衝撃につい目が見開く。

 今叩かれたのか……?


「捨てられた孤児のくせにうるさいな! お前らは俺たちの言うことだけ聞けばいいんだよ!」


 頬を乱暴に押され、顔がぐにゃりと歪む。


「ははは、惨めな顔だな」


 抵抗するのは自分の体を傷つけるだけだと思い、僕は黙って付いて行くことにした。

 今の僕の力じゃ勝てないからね。

 孤児院の扉を開けると、鼻の奥がツーンっとした匂いがする。


「お前たちちゃんと屋敷を綺麗にするのよ!」

「はい……」


 ボロボロの布切れを持った子どもたちが静かにゆかの掃除をしていた。

 その中には悔しさを堪えるように、唇を強く噛み締めていたカイの姿があった。


「ほら、お前たちも掃除をしろ! 今日の夜中には迎えがくるからな!」

「迎えですか……?」

「そうだ。せっかくだからお前からにしてやろう」


 孤児院が奴隷売買をしているのは事実なんだろう。


「また汚いやつらが増える。面倒を見ろよ」


 そう言って、男は中にいる女性に僕たちを投げつけるように押し出した。

お読み頂き、ありがとうございます。

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