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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第二章 戦うショタおかん

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71.兄ちゃん、弱音を吐く

 魔物討伐の見学をしてから数日が経った。

 あれからの変化といえば――。


「今日もあいつらのところに行くのか?」

「バリーさんも行きますか?」

「はぁん!? おっ、俺が行くわけないだろ!」


 少しだけバリーさんとの距離が近くなった。

 青翼騎士団の庁舎に行くと、頻繁に話しかけられる。

 それもカイとルカのおかげだろう。

 バリーさんは二人のことが気になるのか、僕に何かあったか聞いてくる。

 自分から聞きにいけばいいのに、変なプライドがあるのかそれができないのだろう。


「じゃあ、また明日来ますね」

「おう、気をつけろよ!」


 以前なら、こんな言葉はなかった。

 そんなバリーさんをコンラッド団長はいつも驚きながら見ていた。


「キッシュさん、新メニューのスープはできそうですか?」

「中々アイデアが出てこないです」


 僕はキッシュさんとともに戻っていく。

 途中でレオのお店に寄るのが日課だ。


「ソウタ、今日もよろしくな」

「行ってくるね!」


 キッシュさんがレオのお店でスープの考案をしている間に、僕は宣伝するという理由で路地裏に行っている。

 レオたちもそれを知っているからか、余ったパンを大量に分けてくれる。


「カイー! ルカー!」


 路地裏に着くと、いつものように二人の名前を呼ぶ。

 普段ならルカの声が聞こえてくるが、中々反応がない。


「忙しいのかな……」

「あいつらどこに行ったんだ?」

「バリーさん!?」


 隣から声が聞こえると思ったら、バリーさんが立っていた。

 本当に気になって見に来たのだろうか。


「その辺を歩いていたら、お前を見かけたから付いてきただけだ」

「そのストーカーみたいな理由はなんですか……」


 正直に気になったって言えばいいのに、そんな簡単なことも言えないのだろう。


「今日は帰りますか?」

「いや、俺が護衛をしてやる」


 なぜかバリーさんは行く気満々のようだ。

 本当にこの人は何を考えているのか、わかりやすいようでわかりにくい。

 一人で路地裏を突き進むバリーさんに僕は必死に付いていく。

 護衛をすると言ったのに、護衛者を置いていく騎士はこの人ぐらいだろう。


「ほらほら、あっちに行け!」


 パンを持っていれば、自然と路地裏に住む人たちが寄ってくる。

 その人たちをバリーさんは手を払うように追い払っていた。

 この人たちにも何か支援ができたら、町も変わっていくだろうに中々難しいのが現状だ。


「全く二人の姿が見えないですね」

「昨日は元気に走り回っていたのにな……」

「バリーさん見に来てたんですか?」

「いや、近くを通っただけだ」

「ふーん」


 やっぱり二人のことが気になっているのだろう。

 路地裏には何もないし、近くを通るって言ってもわざわざ建物の隙間に行くことはない。


「バリーさんはもう少し素直になればいいのに」

「俺は素直の塊だ」


 確かに素直と言えば素直なのかもしれない。

 二人がいるところまで迷わずに行けるぐらいだから、頻繁に通っていたのだろう。


「おーい、ネズミどこにいるんだ!」

「ネズミ……?」


 バリーさんは声を出して何かを呼ぶ。

 ネズミって誰のことを言っているんだろう。


「あいつらネズミみたいだろ? こんなところに住んでいるからな」


 ニヤニヤしている姿はどこかイタズラっ子のようだ。ただ、嫌味を感じないから、本当にネズミに似ているって思っているような気がする。


「ソウにい!」


 声に反応したのか遠くからルカが走ってきた。

 僕に抱きつくと、なぜか体が震えており声も震えている。


「どうしたの? カイは?」

「カイにいが……連れて行かれた」


 チラッとバリーさんに視線を向けるが、首を大きく横に振っていた。

 さすがにここに一緒に来ていたら、バリーさんが連れていくはずないよね。


「誰に連れて行かれたの?」

「孤児院の大先生……」


 孤児院という言葉を聞き嫌な予感がする。


「孤児院なら良かったんじゃないのか?」

「バリにいの馬鹿!」

「ふん、バリにいか……」


 ルカに馬鹿って言われているのに、名前を呼ばれたことが嬉しいのか、バリーさんは気づいてなさそうだ。


「カイにいが売られちゃう」

「売られるってどういうことだ?」


 やっと事の重大さに気づいたのか、ルカの肩を強く握っていた。

 このまま黙っておくのも難しいだろう。


「孤児院は子どもたちを奴隷として売っているらしいです」

「はぁん!? 奴隷売買はこの国で禁止されているぞ!」


 やはり奴隷売買が禁止されているのは、みんなが知っている常識なんだろう。


「今すぐに止めに行くぞ!」

「バリーさん、待ってください!」


 バリーさんはすぐに孤児院に向かって歩き出そうとするが、僕はそれを止める。


「おい、お前は助けたくないのか!」


 バリーさんからこれまで向けられたことのない圧が放たれる。

 肌がピリピリと焼きつくような……。

 普段とは違う姿に戸惑いを隠せない。

 ただ、今はバリーさんを行かせてはいけない。


「黒翼騎士団の騎士が関わっているかもしれないんです……」

「はぁん!?」


 さっきよりも強い圧で押し潰されそうだ。

 これが騎士の力だろうか。


「どういうことだ」

「奴隷を売買する時に黒翼騎士団の制服を来た人がいるらしいです」

「てめぇの騎士団はそんなこともしてるのか!」

「うっ……」


 気づいた時には僕は宙に浮いていた。

 バリーさんは僕の襟元を掴み、壁に押し付けていた。

 今まで猫だと思っていた人物が、まるで虎のように僕を睨んでいる。


「ソウにいをはなして! バカにい!」


 ルカは何度もバリーさんの足を蹴る。


「俺はバリーだ!」


 それに呆れたのか僕を下ろして、抑えることのできない怒りを壁にぶつけていた。

 レンガでできた壁はボロボロと崩れていく。


「ごめんなさい。僕がまだ黒翼騎士団の騎士かどうか把握できていなくて……」

「いや、それは子どものやることじゃないだろ」

「でも、うちの騎士団だし……僕だって疑いたくないよ……」


 出さないようにしていた感情が溢れ出てくる。

 誰だって大事な家族が悪いことをしていたら止めないといけないって思う。

 でも、その前にうちの子がそんなことをするはずがないと思うはずだ。

 家族のことを一番知っているのは家族だもん。


「僕じゃどうしようもできないよ……。もうどうしたらいいのかわからない」


 目から涙が止まらない。

 泣いても泣いても、僕にはどうしたらいいのかわからない。

 ずっと今まで考えてきたけど、どうしたらいいのかわからず何も案が出て来なかった。

 毎日押し潰されそうになったけど、それでも家族を疑いたくない僕がいた。


「そんなもん直接確認したらいいだろ!」

「直接……?」


 バリーさんは何を言っているのだろうか。

 僕とルカの手を掴むと、そのまま歩き出す。


「孤児院に乗り込むぞ!」

「「はぁん!?」」


 その言葉に僕とルカは驚くことしかできなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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