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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第二章 戦うショタおかん

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68.兄ちゃん、それは食べられません

「お弁当も砂だらけですし、帰りましょうか」

「町まで送って行く」


 みんなはお弁当も食べ終わり、再び魔物討伐に行こうとしていた。

 見学も済んだため、僕はエルドラン団長に送ってもらうことになった。

 そのままピクニックをしようにも魔物が出てきても困るしね。


「そういえば、エルドラン団長って孤児だったんですよね?」

「ん? そうだが……誰に聞いたんだ?」

「コンラッド団長に聞きました」

「あいつ……」


 エルドラン団長は孤児なのを隠したかったのだろうか。

 僕も似たような存在なのにな……。


「ご飯とかはどうしてたんですか?」

「ご飯か? 俺たちは魔物を食べていたぞ」


 何か他に生きる手段があればカイとルカに教えようと思っていたが、まさか魔物を食べて生活しているとは思わなかった。


「魔物って食べられるんですか?」

「いや、あまり美味いものではないぞ。獣臭いからな」

「見た目はジビエなのに……ん? それなら臭みを取ったら食べられないんですか?」


 獣臭いということは単純にジビエ特有の獣臭とは違うのだろうか?

 見た目は単純にうさぎとかイノシシだったりするし、ちゃんと調理をしたら美味しいのかもしれない。

 昔のエルドラン団長なら調理方法も知らなかっただろうし。


「また今度血抜きして持って帰ってきてください」

「そんなにソウタが食べたいなら……」


 なぜか僕が食べることになっているけど、ほとんどは騎士が食べるものだ。

 ジビエなら血抜きと内臓を早く取り出して、牛乳や香草に漬け込んだりすると、臭みも減ると聞いたことがある。

 これで魔物が食べられるようになったら、食欲旺盛な騎士の食費を減らせるだろう。


「あっ、そうだ。ソウタ、ちょっと待ってろよ!」

「えっ、ここでですか!?」


 エルドラン団長が突然どこかに走り出すと、僕は町の近くで放置されてしまった。

 さすがに町の近くだから魔物は出てこないと思うが――。


――カサカサ!


 僕は茂みから聞こえる音に警戒心を高める。

 さすがに魔物が出てきたら、全速力で町へ帰らないといけない。

 まさか体力をつけないといけないと思ったが、こんなところで強制的に運動させられるとは。

 エルドラン団長は騎士失格だ。


「キュ……キュキュ」


 低い声が聞こえたと思ったら、茂みから何か顔を出した。


「あっ……」

「キューキュキュキュー」

「いや……」

「キュー」

「ムリムリムリ!」


 茂みから真っ白なイモムシが、口から緑の液を吐いてこっちを見つめている。


「いや……虫苦手なんだ……」


――バサッ!


「へっ……?」

「ジャーン! この間虫が好きって言ってたのを思い出して……」


 茂みから出てきたのはイモムシを持ったエルドラン団長だった。

 イモムシの顔をこっちに向けて、「キューキュー」とエルドラン団長が鳴き声を言っている。


「エルドラン団長……ちょっとこっちに来なさい!」


 僕はすぐにエルドラン団長を呼びつける。


「イモムシは捨てる!」

「ハイッ!」


 イモムシを投げつけたエルドラン団長は僕の目の前で嬉しそうに座っていた。

 褒められるとでも思っているのだろうか。

 実際はその反対だ。

 まさか町の外で騎士を正座させるとは思わなかった。


「やって良いことと悪いことがあるでしょ!」

「へっ……?」

「まず戦えない僕を一人にしない!」

「あっ……」


 エルドラン団長は今頃気づいたのだろう。

 オドオドしている。


「ソウタ、俺より強いから忘れていた」


 どうやら僕はエルドラン団長よりも強いって認識なんだろう。

 どこからどうみても僕の方がか弱いからな。


「二つ目、僕は虫が苦手です」

「へっ? この間青翼騎士団の庁舎に行った時に好きって言ってなかったか?」

「言った覚えはないですよ。出来ればあまり見たくないですよ」


 よく弟妹たちに虫を投げつけられて怒ったけ。

 ポケットからカマキリの卵が出てきた時は悲鳴を上げて泣き叫んだのを思い出す。

 あいつら僕にイタズラするの好きだったからな……。


「こいつら美味しいし、可愛いけどな……キュー!」

「顔をこっちに向けない!」


 イモムシの顔を僕の方に向けているがそれはやめてほしい。

 それにイモムシを美味しいってことは食べていたことが衝撃だ。

 前世でも海外でそういうのは聞いたことがあるけど、目の前にいるイモムシって小型犬サイズもある。

 チワワのようにエルドラン団長はイモムシを撫でているからな。


「ちなみにそれはどうやって食べてたんですか……?」

「ん? これはそのまま生で――」

「いやあああああああ!」


 エルドラン団長は目の前でイモムシを引きちぎって口に入れた。

 あまりにも衝撃的なことを目の前で見ると、人は何も考えられなくなる。

 頭が真っ白でしばらくエルドラン団長とは一緒にいられないだろう。


「もう僕一人で帰ります……」


 僕は一人で町に向かって歩き出す。


「えっ? 俺が送ってやるぞ。ソウタも食うか?」

「いらないです……」

「ブヨブヨして美味いんだけどな」

「ヒッ……」


 エルドラン団長は僕を送り届けようと、隣でイモムシを食べながら町までついてきていた。

 今も魔物討伐などの屋外の仕事の時はおやつとして、よく食べているらしい。

 昔は魔物よりイモムシを好んで食べていたと……。

 昔から大変な子ども時代を過ごしていたんだろうな。

 ああ、うちの騎士たちはみんなイモムシを食べているって思うと鳥肌が止まらない。

 イモムシを食べなくても済むように、もう少しお弁当の量を増やした方が良さそうだ。

お読み頂き、ありがとうございます。

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