表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第二章 戦うショタおかん

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/92

59.色男、任務を引き受ける ※ゼノ視点

 エリオットさんに引きずられるようにして部屋を出ると、そこには青翼騎士団のキッシュがいた。


「なぁ、ソウタの後輩を睨むなよ!」


 エリオットさんに頭をバシッと叩かれた。

 

「痛っ!」


 つい私は頭を押さえる。

 エルドラン団長みたいなマッチョの隣にいるからパッとしないが、エリオットさんも相当力が強い。

 細身に見えるけど、裏で鍛えているから自分の力強さにそろそろ気づいた方が良いだろう。


「だってあいつがいなければ、ソウタの隣は私のものですよ! ソウタの後輩とかズルイ!」


 最近来たばかりなのに、ソウタにチヤホヤされて気に食わない。

 私がソウタの後輩を立候補したら、全員に拒否されたのは納得していない。

 最近だって包丁捌きは上手くなったはずだ。


「どこに行くんですか?」


 ソウタが恋しくなって部屋に戻ろうとしたら、襟を掴まれてしまった。


「ぐぬぬ……」


 私もソウタの初体験が欲しかった。

 後輩として可愛がってもらいたいじゃないか!

 剣の扱いが上手くて命知らずなだけで騎士として評価されるとか……評価の仕方を間違えている。

 そもそも戦っている時の私は普段の私ではないからね。


「まぁ、今回はソウタのためにゼノの力……いや、公爵家の力が必要だからね」

「くっ……そういう時だけ私の爵位を使おうとする」


 私はムスッとしながら椅子に座った。


「それで私に何をやって欲しいのかな? 内容によってはソウタの後輩は私の後輩でもあるから、覚悟して話してね」


 私がニコリと微笑むと、キッシュは少し怖気付いた顔をしていた。

 ここぞとばかりに先輩の特権を使ってやろう。

 上下関係ははっきりしておかないといけないからな。

 それに私はこれでも公爵家の一員だ。

 爵位でいえば王族の次に権力があることになる。


「ゼノさん……あなたはソウタ先輩を裏切らないと誓えますか?」

「何を言っている? 私がソウタを裏切るつもりはない。国王を殺せと命令するなら、今からでも……痛っ!」

「物騒なことを言わない」


 またエリオットさんに叩かれてしまった。

 ソウタへの愛の深さを言葉で示しただけなのに、エリオットさんの頭の中は筋肉で――。


「また叩かれたいかな?」

「ちゃんとエリオットさんが魔導具を発動しているのは知っています」


 微笑むエリオットさんを見て、私は全力で首を横に振る。

 本当にやりかねないからね。

 ただ、周囲の音を遮断する防音の魔導具を使っているのは気づいている。

 そうでもないとあんな冗談は言えない。


「それでソウタに何かあったのか?」

「今日路地裏で子どもたちと触れ合っているところを目撃しました」

「くくく……きっとほんわかな雰囲気がして可愛いだろうな」


 ソウタが同年代と楽しく遊んでいるところは見たことがない。

 レオやその弟妹すら、一緒に料理をして指導しているからね。


「んっ?……路地裏に子ども?」


 ただ、路地裏にいる子どもが引っかかった。


「路地裏に子どもっていないですよね? 孤児院が保護する対象ですし」


 私はエリオットさんを見つめる。


「えぇ、黒翼騎士団が創設されてからは、孤児院のあり方を見直して孤児は全て孤児院で管理することになっています」


 エルドラン団長たちの功績とその生い立ちに王は胸を打たれた。

 当時の王は孤児院を再構築させ、より食事がしっかり食べられるように資金を増やしたはずだ。


「まだ孤児院に管理されていないってことですか?」

「いや、そうではないんです。ソウタたちが話をしているところを盗み聞きしたのですが、孤児院から抜け出しているようです」

「抜け出す……?」


 キッシュは少しその先が言いづらいのか唾を一度飲んで、深刻そうな顔を私に向けた。


「その理由が……奴隷売買がされていると……」

「なっ!?」


 私は驚きを超えて時が止まりそうになった。

 孤児院が奴隷売買するってどういうことだ。

 あそこは子どもを保護する場所で売り飛ばすようなところでは決してない。


「ひょっとしてソウタがそれを止めようとしているってことですか?」


 奴隷になる手前で逃げ出した可能性のあるソウタなら、同じ子どもたちが奴隷になるのを助けようとするのはわかる。

 ソウタって黒翼騎士団の中でも、正義感が強いし、誰にだって優しくできる人思いの性格だ。

 人たらしって言葉が一番似合う人だからね。


「それならなぜ私たちに相談してくれなかったんですか?」


 私の言葉にエリオットさんとキッシュは言葉を選ぶように視線を下げた。

 ひょっとしたら、ソウタの中で私たちが頼りないと思ったのだろうか。


「実はその子どもの話では、奴隷売買に協力しているのが……黒翼騎士団って名乗るやつらだったって言ってたんです」

「ん? もう一度言ってもらってもいいか?」


 キッシュの言葉に私は耳を疑った。

 ついに頭だけではなく、耳までおかしくなったのだろうか。


「この黒翼騎士団に奴隷売買を――」

「てめぇ、私の仲間を侮辱するのか!」


 気づいた頃にはもう一人の私が出て、キッシュに掴みかかっていた。


「おい、ゼノやめろ!」

「だって、こいつが黒翼騎士団を陥れようと――」

「私だって信じたくない。でも、もしそれが本当だったらどうするんだ!」


 エリオットさんの言葉に胸の奥がきしむように痛んだ。

 結局はエリオットさんも黒翼騎士団のみんなを信じていないのだろうか。

 公爵家の貴族で白翼騎士団でもあった私を何も言わずに優しく迎えてくれた仲間たちだ。

 そんなやつらが奴隷売買なんてするはずがない。


「ひょっとしてソウタがおかしいのって……」

「たぶんどうしたらいいのかソウタも悩んでいるのだろう」


 明らかに何か悩みがあるのは気づいていた。

 それが人として成長するし、悩んでいるソウタも可愛かったから気にはしていなかった。

 いつか乗り越えられるだろう。

 相談したければいつでも話を聞くし、助けてあげるつもりだった。

 だけど、それとは話が違う。

 仲間を不審に思いながら生活することになるからね。

 子どものソウタが抱えるには大きすぎる。


「それで公爵家であるゼノに相談したんだ」

「どういうことですか?」

「公爵家なら孤児院の収支帳簿ぐらい確認できますよね?」


 エリオットさんの言いたいことはすぐにわかった。

 孤児院のお金の出所を全て確認して、奴隷売買が行われているか調べて欲しいってことだろう。

 孤児院はある貴族が管理している。

 そこの貴族と国に報告されている収支帳簿を確認すればある程度、奴隷売買が本当に行われているかわかるからね。


「国庫管理局の財務卿の息子である私に頼んだってことですね」

「その通りです」


 私の父は国庫を管理する組織の最高責任者をしている。

 女性の管理はできないが、お金の管理にしては抜け目がない。

 逃げだした私に実家の名前を名乗り、調べてこいってことなんだろう。

 愛するソウタのことや仲間を信じたいならできるとエリオットさんは考えたはず。


「わかりました。引き受けます」


 私の言葉にエリオットさんとキッシュはホッとしていた。

 元々が黒翼騎士団ではない、私たちだからできることだろう。

 

「私の方で孤児院を管理しているトレゾール家を調べてみます」

「はぁー、気が重いな……。ソウタに癒されよう……」


 先のことを考えれば胸の奥がキリキリと痛む。

 でも、ソウタの悩みを少しでも取り除けるなら、それぐらいはやってあげよう。

 もし、上手くいけばソウタにご褒美がもらえるかもしれないからね。

 ただ、今日の癒しを――。


「ゼノ、あなたの部屋はあっちですからね?」

「えっ……ソウタアアアアアア!」


 私はエリオットさんに引きづられて、自分の部屋に投げ捨てられた。

 くそ、メガネ筋肉め!

 次は力をつけて抵抗できるようにしてやる!

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ