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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第二章 戦うショタおかん

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58.兄ちゃん、整理がつかない ※一部ゼノ視点

「ソウタ大丈夫か?」

「あっ……大丈夫ですよ! みなさんが食べられるようにたくさん作りましたし!」

「いや、さすがに作りすぎだと思うぞ」


 気づいたら目の前にはたくさんの料理が置かれていた。

 無心で用意をしていたけど、ここまで大量にできるとは思ってもいなかった。

 カイの話を聞いてから、僕の頭の中はぐちゃぐちゃだ。

 目の前にいる人たちを信じたいのに、この中に犯人がいるかもしれない。

 そう思うと家族であるみんなを信じてあげられない自分に自己嫌悪を覚え、胸の奥が悲しくなる。


「ソウタ、大丈夫?」

「うん、ちょっと疲れているだけだね」


 心配そうにゼノさんは僕を見つめている。

 あまり心配をかけてはいけないね。

 僕が優しく微笑むとゼノさんはその場で抱きしめてきた。

 その優しさに涙が出そうになる。


「働きすぎだね。今日はゆっくり休もうか」


 ゼノさんは僕を抱きかかえるとそのまま部屋に運んでくれた。

 僕の姿を見て他の団員も心配そうな顔をしている。


「ご飯は先に食べててくださいね」

「そんなこと気にしなくていいよ」


 伝えておかないと僕を待って食べない可能性がある。

 ベッドの中でゼノさんは僕の頭を優しく撫でてくれた。

 いつもの甘えん坊のゼノさんがやけに今日は大人ぽく見える。

 こういう時は頼りになるんだから。

 でも――。


「なんでゼノさんも一緒に寝ようとしているんですか?」

「えっ? ダメなの?」


 なぜかゼノさんも上着を脱いで、小さな僕のベッドに一緒に入っていた。

 絶対に狭いはずなのに、嬉しそうなゼノさんを見ると何も言えなくなる。


「まぁ、今日ぐらいいいか……」

「えっ? いいの?」


 どこか驚いた顔をしていたが、今日は疲れたからそんなことは気にしてられない。

 僕はそのままゼノさんに寄り添うように眠りについた。



♦︎



 私は今この状況に困惑している。

 この世で世界一可愛いソウタが私の隣で寝ているからだ。

 しかも、ソウタからギュッと離さないように抱きついている。

 こんな状況で落ち着けるわけがないだろう。

 もはやここが天国だと言っても過言ではない。


「まさかソウタから一緒に寝ようと言われるとは……」


 いや、言ってないのかもしれないけど、それに近いことは言っていたはずだ。

 寝顔が見れないのは残念だが、今はこの時間を楽しんだ方が良いだろう。


「嫌だよ……みんないかないで……」


 ソウタは何の夢を見ているのだろうか、必死に何かを離さないように私を掴んでいる。

 きっと私と一緒に居たいんだろう。

 そう思っていた方が幸せだからね。

 そんなソウタの頭を私は優しく撫でると、少しだけ手の力が抜けた気がした。

 ソウタの力が弱まった分、私がソウタをギュッとする。

 これならソウタが離れることはないだろう。


「んっ……」


 少し寝苦しそうだけど仕方ない。

 だって、ソウタと離れるのが嫌だからね。

 それにこんなチャンスは二度とないかもしれない。

 今のうちにソウタの髪の毛の匂いや耳の穴までじっくり観察しておかないと。



「ゼノ……あなたは何をやってるんですか?」

「ソウタの独り占めです」


 しばらくソウタを堪能していると、エリオットさんが呼びにきた。

 きっと夕飯をどうするか聞きにきたのだろう。

 広間は静かだったから気づかなかったけど、時計を見るとあれから二時間程度は経っていた。

 あぁ、二時間もソウタを独り占めできた。


「珍しく起きているんですね?」

「あっ……そういえば目が覚めてますね」


 普段なら別の私が出てくる時間帯だから気づかなかったけど、ソウタといたからか全く眠気を感じない。

 むしろ目はバキバキで今なら誰にでも勝てそうだ。

 ひょっとしたらこれが治療の一環になるのかもしれない。

 ふと、私の頭の中でよぎった。


「ソウタセラピーってやつか」

「くくく、きっとそうですね」


 真剣な顔で考えているエリオットさんを見ていると、私までクスッとしてしまう。

 治癒魔法でも改善されなかったのに、ソウタの治癒力はすごいね。

 体から治癒魔法が溢れ出ているのかもしれない。

 ソウタは女神様みたいだから、その可能性もあるのだろう。


「私は夕食いらないのでこのまま――」

「いや、ちょっとソウタのことで相談があるから、来てもらえないか?」

「ソウタのことですか……? わかりました」


 ソウタのことで相談と言われたら、私が参加しないわけにはいかない。


「行かないで……」

「やっぱり行きません!」


 ソウタが行かないでって言うんだから、私が離れるわけにはいかない。

 こんなに私を求めることは一生ないかもしれないからね。


「あぁ、今が一生分の幸せか……」

「はいはい、代わりはいっぱいいるので大丈夫ですよ」


 エリオットさんは私を無理やり引き剥がして、代わりに枕をソウタに抱えさせた。


「へへへ、みんな一緒だよ」


 ソウタが嬉しそうに枕を抱きかかえている姿に私は奈落の底に落ちた気分だ。


「ソウタは私じゃなくていいのか……」

「ええ、ソウタは何の抱き枕でも寝れますからね」

「……ん? なんでエリオットさんがそんなこと知っているんですか?」


 私はジーッとエリオットさんを見つめる。

 ただ、エリオットさんは視線を合わせようとせず、そっぽ向いていた。


「まさかエリオットさんもソウタの寝顔を見に来ていたのか!」

「残念だが不正解だ」


 メガネをクイっと上げたエリオットさんは得意気にそのまま部屋を後にする。


「寝顔を見に来ているのは騎士全員だからな」


 私は耳を疑った。

 全員って黒翼騎士団に配属されている騎士全員だろうか。

 確かに夜中にトイレに行く音が聞こえてから、帰ってくるのが遅いと思っていたことはある。

 ただ、男だから仕方ないと思っていた。

 まさかみんなしてソウタの寝顔を見ていたとはな……。

 くっ……別の私よ、もう少し働いてくれ。

 私には薄っすらとしか夜中の記憶がないんだからな!


お読み頂き、ありがとうございます。

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