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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第二章 戦うショタおかん

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57.兄ちゃん、現実を知る

 僕はカゴいっぱいのパンを持って路地裏に向かう。

 もう何度も来たことがあるから、道は問題ない。


「昨日は行けなくてごめんね」

「ソウにい、おそっ……」


 弟のルカが近寄ってきたと思ったら、その場で急に立ち止まった。

 なぜかルカの体は震えており、僕を怖がっているように見えた。


「どうし――」

「ソウタ、お前のその格好はなんだ?」


 兄のカイは僕の団服を指差した。

 今まで着ていなかったから、初めて見て気になっているのだろう。

 騎士ってかっこいい職業……ではなかったね。

 今ではだいぶ町の人からの印象は変わってきたけど、久しぶりに騎士に対して嫌な表情を見たのは久しぶりだ。

 これがエルドラン団長たちがずっと向けられていた感情なんだろう。


「これは黒翼騎士団の制服だよ。僕はそこの後務騎士を――」


 黒翼騎士団と聞いた途端、二人の警戒心はさらに強くなった。

 今までこんな姿を見たことがなかったし、ついこの間までは信頼されていると思っていた。

 ルカなんてベッタリするぐらいだったからね。


「ソウタも俺たちを捕まえにきたのか!」

「捕まえる? 何で僕が捕まえないといけないの?」


 突然のことに僕も首を傾げる。

 二人は孤児院から逃げ出してきたと聞いている。

 もちろん同じ孤児院の子たちが連れ去られた話も聞いていたけど、なぜ僕が怪しまれるんだろうか。


「まさか……」

「そうだ! 俺たちを連れ去って奴隷にしているのは黒翼騎士団だ!」


 その言葉を僕は疑った。


「みんながそんなことするわけ……」


 言葉が喉の奥で引っかかった。

 鍋を囲んで笑っていた姿や、皿を空にして「おかわり!」と騒いでいた光景。

 そんな記憶が、カイの言葉を現実として受け取るのを邪魔する。

 まるで頭の中で否定する理由だけが、次々に浮かんでくるみたいに。


「でも仲間たちは黒翼騎士団に連れて行かれんだ」


 カイとルカの表情を見ていたら、嘘を言っているようには思えなかった。

 今まで一緒に住んでいて、そんな素振りを見せなかったのにそんな人がいるなんて……。

 僕はカイのことを疑いたいわけじゃない。

 それでも、その話はどうしても現実味がなかった。

 だって、みんな口いっぱいに僕のご飯を食べて、まるで弟みたいに接してくれる人たちだ。

 そんな人が孤児院の子どもを無理やり奴隷にさせるのだろうか。


「本当に黒翼騎士団なの?」

「ああ、ソウタと同じ団服を着ているからな」


 黒翼騎士団は基本的に外で魔物を討伐したり、町の中を巡回している。

 だから孤児院に行く時間はそこまでないはず。


「悪役にされがち……ってこれも黒翼騎士団のせいにされている可能性もあるのか……」


 ゲームの内容は知らないが今までのことを思えば、何かがきっかけで悪役にされる可能性は残っている。

 まずは黒翼騎士団について調べる必要があるだろう。


「とりあえず、僕は二人の味方だから大丈夫。奴隷の売買に黒翼騎士団が関わっているって今知ったばかりだからね」


 それでもカイとルカは怪しんだ目で僕を見ていた。

 やっぱり一度警戒されたら、警戒を解くのは難しいのだろう。


「それなら今日は――」


――ぐぅううううう!


 僕が帰ろうとしたら、二人のお腹から大きな空腹音が鳴った。

 パンと僕を交互にチラチラと見て戸惑っているようだ。


「くくく、体は正直だね」

「仕方ないだろ」


 カイはゆっくりと近づきパンを一口食べる。

 それを見たルカもパンを口いっぱいに頬張っていた。

 やっぱりエルドラン団長と食べ方が似ているね。


「あっ、もう帰らないといけないから、しっかり食べてね」


 早く戻らないとみんなが心配する。

 僕は二人の腕にたくさんのパンを持たせて、その場を後にする。


「あっ、やばっ!?」


 声が聞こえて振り返ったが、カイとルカは黙々とパンを頬張っていた。

 チラッと目があったが、返さないぞと言わんばかりにパンを隠していた。


「ゆっくり食べないと喉に詰まっちゃうからね!」


 僕の言葉にカイとルカは頷いていた。

 ひょっとしたら誰かが近くにいたのだろうか。

 どうにか犯人を見つけないと、孤児院の子どもたちはいつまでも大変な思いをすることになるし、二人とも帰る場所がない。

 まずは情報収集をするところから始めることにしよう。



「戻りました!」

「あれ? キッシュに会ってないか?」

「キッシュさんですか?」


 レオの店に戻ると、エルドラン団長とエリオットさんしかいなかった。


――ガチャ!


「ソウタ先輩、どこ行ってたんですかー!」

「商店街の方に……」

「人が多くて見つからなかったんですかね?」


 キッシュさんは額に手を当てて笑っていた。

 ただ、その姿がどこか胡散臭いように感じた。

 まるで僕がどこに居たのか知っていたかのような素ぶりだ。


「さぁ、帰りましょうか! 材料もたくさん買わないといけないですからね!」


 僕は何事もなかったかのようにレオの店を後にする。


「おっ、今日の夕飯はトンカツか?」

「えー、昼にカツサンド食べたじゃないですか!」

「あれはトンカツではないからな」


 子どもみたいな言い分に僕も呆れてしまう。

 そういえば、弟も唐揚げと油淋鶏は別物だからって、毎日交互に食べたいって言っていたな。


「あれ? 二人は?」

「確かに遅いな」


 僕たちはエリオットさんとキッシュさんを待っていると、深刻そうな顔をした二人が店から出てきた。


「何かありましたか?」

「いえ、特に何もないですよ。ソウタは何かありましたか?」

「僕ですか? 特にないですよ」


 僕はエリオットに微笑んだ。

 色々エリオットさんに確認したいことはあるけど、今は黒翼騎士団を頼ることができないからね。

 だが、エリオットさんは少し寂しそうな目で僕を見ていた。

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