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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第二章 戦うショタおかん

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54.兄ちゃん、貴族街のピンクのお店に行く

「あー、やっぱりあの人手強いですね」

「俺があいつのこと苦手な理由もわかっただろ」

「くくく、ちゃんと私は伝えましたよ」


 コンラッド団長に翻弄された僕を見て、エルドラン団長とエリオットさんは笑っていた。

 おかげで僕は明日からも大忙しになりそうだ。

 それに――。


「貴族街って飲食店がたくさんあるじゃないですか!」


 初めてきた時には黒翼騎士団に囲まれて、周囲を見る機会がなかったけど、今は僕の周りには三人しかいない。

 その結果、高級そうな飲食店がズラリと並んでいることに気づいた。


「だからカルロスさん一人でもどうにかなるって言いましたよ」

「ぐぬぬぬ……ここまで予想してないですよー」


 平民街ではあまり飲食店は多くない。

 基本的にレオの家みたいに宿屋などのお店と併設されている。

 そのため、そこまで大きなお店はないし、気まぐれで営業していなかったりもする。


「せっかくだからご褒美として少し寄ってみますか?」

「いいんですか!?」


 エリオットさんの言葉に僕はつい嬉しくなった。

 だって、レオのお店でしかご飯を食べたことがないからね。

 それもほとんど僕が教えたメニューばかりだ。


「あっ、でもお金が……」

「それなら俺に任せてください!」


 キッシュさんは胸を張って拳を胸に叩きつけた。

 さすが青翼騎士団は頼りになる。

 黒翼騎士団と違って、貴族だからお金の余裕もあるのだろう。


「それならぜひ寄ってみた……い……」


 僕は大事なことを忘れていた。

 今から行くのは貴族街にある飲食店なんだよね?

 隣にいたエルドラン団長の顔をジーッと見つめる。


「なっ、なんだよ?」

「いや、大丈夫かなーって」

「大丈夫だ! 何を食べてもソウタの料理が一番だからな」


 笑顔のエルドラン団長を見て、僕はさらに心配になる。

 きっと美味しい料理を食べて、僕の料理が食べられなくなると勘違いでもしているのだろうか。

 僕が気にしているのはそこではないからね。


「エルドラン団長でもマナーの勉強はしているので問題ないですよ」

「よかったです」

「おい!」


 僕が心配していたのはエルドラン団長にマナーがあるかどうかだ。

 いつも口にたくさん詰めて、とにかく早食いだからね。

 エリオットさんとキッシュさんは貴族だから問題ないだろう。


「ソウタ先輩は貴族のマナーを知っているんですか?」


 貴族のマナーが何かはわからないが、基本的なテーブルマナーは知っている。

 父が家事を頑張っている僕にご褒美として、高めのレストランとかに連れて行ってくれたからね。

 まぁ、そのうちあのお店の味を再現できるかと、無茶振りを言ってきたのが懐かしい。


「たぶん大丈夫ですよ」

「さすがっすね!」

「じゃあ、俺がとっておきのお店を紹介しますね!」

「お願いします」


 僕はキッシュさんの案内で歩き出した。

 ただ、エルドラン団長とエリオットさんはその場で立ち止まって何かを話していた。


「やっぱり奴隷なのか」

「それなら貴族のマナーを知っていてもおかしくないですね」


 二人でコソコソと話しているが、僕には聞こえづらかった。

 ただ、普段見かけることもない表情で、どこか険しい顔をしている。


「二人とも迷子になりますよー!」

「ぐふっ!?」

「それはソウタじゃないかな?」


 僕の言葉に二人ともいつもの笑顔に戻った。

 エリオットさんの言葉は否定できないけどね。



「ここが今、話題になっているお店です!」

「本当にここに入るんですか?」


 キッシュさんが連れてきてくれたのは、外壁が白に塗られており、入り口には綺麗に咲く花が並べられていた。

 明らかに男たちだけでは入りにくそうな外観に僕も足が止まってしまった。

 どこか妹に頼まれて付いて行ったパンケーキ屋さんを思い出す。

 ふわふわした女性らしい店内に翼の生えた馬の人形が置いてあった記憶がある。


「さすがに僕たちだけでは入りにくいですよ……?」


 女性の声が外まで聞こえ、僕は少し不安になる。

 明らかに大柄な男たちだけで入るのは、女性たちが楽しんでいるのを邪魔することになるかもしれない。

 それにオシャレなカフェのような場所でエルドラン団長が食べたいものは――。


「おっ、甘い匂いがするな! 行くぞ!」


 目を離すと、エルドラン団長はお店の中に入って行った。

 そういえば、エルドラン団長って甘いものも好きな人だった。

 前にレオの店でフレンチトーストを作ろうとしたら、率先して卵と羊乳を買いに行ってたもんね。


「本当に入るんですか?」


 女性ばかりの中で男だけでお店に入るのって緊張する。

 僕も学生の時にクレープを買いたくて、妹を連れ出したっけ。


「ソウタがいたら大丈夫です」

「ソウタ先輩可愛いですからね!」


 エリオットさんとキッシュさんも楽しそうに僕の手を掴んで追いかけるように中に入っていく。

 お店の中は甘い匂いと優しい花の匂いで溢れていた。


「うわー、すごいですね……」


 店内はピンクの家具やレースで溢れており、女性らしいデザインのお店になっていた。


「エルドラン団長が一番似合わないですね」

「そんなことないぞ!」


 この中で一番見た目と合っていないのはエルドラン団長だが、当の本人が一番気にしていない。


「ほら、あそこを見てみろよ」


 エルドラン団長は店内の奥の方に視線を向ける。

 そこには身長の高い女性が立ち上がり、驚いた顔で僕たちを見ていた。


「赤翼騎士団のローズ団長ですか?」


 赤翼騎士団の制服を着ていた女性たちがコソッと座っていた。

 どうやら店内にいるのは赤翼騎士団だけのようだ。

 休憩中に立ち寄っていたのだろう。


「騎士団がいるならお店は安全だな」


 別に僕はお店の心配をしているわけではないからね。

 エルドラン団長は店に何かあっても問題ないと思っているのだろう。

 ここには騎士団員しかお客さんがいないからね。

 むしろこんな可愛らしいお店で問題があった方が驚きだ。


「赤翼騎士団がこんなところにいるのは珍しいですね」

「そうですね。そもそも令嬢たちが好むものを嫌っていると思っていました」


 エリオットさんとキッシュさんはそんな彼女たちを見て不思議そうな顔をしていた。


「むしろ僕たちの方が違和感ありますよ」

「それもそうですね」

「さすがソウタ先輩!」


 確かに赤翼騎士団の人たちって可愛らしいものより綺麗なものの方が似合いそうだけど、好みは人それぞれだからね。

 僕も男なのに家事をやって気持ち悪いって同級生に言われたこともあったけ。

 次の日には手作りのお菓子をプレゼントして黙らせたけどね。


「ソウタ、怒ってる?」

「いえ、そんなことないですよ」


 どうやらあの時のことを思い出して顔に出ていたようだ。

 その後も会うたびにお菓子をくれって声をかけられたのも懐かしい。

 バレンタインデーとか、男女関係なく奪い合いになってたもんね……。

 そんな僕は妹からしかもらったことないや。


「おーい、お前ら早くこいよー!」


 僕たちがずっと入り口で立っていたからか、エルドラン団長が手を振って待っている。


「くくく、あれはあれで面白いですね」

「ある意味似合ってるいるんですかね」


 エルドラン団長はふわふわなピンクのソファーの上で、ハートのクッションを手に持ってはしゃいでいた。

 赤翼騎士団の騎士たちの視線を感じながら席に着く。


「ローズ団長、昨日ぶりですね」


 エルドラン団長が座ったソファーはローズ団長が座っているテーブルの隣だった。

 なぜテーブルがたくさんあるのに、そこに座ったのか問い詰めたぐらいだ。

 どうせソファーがあるからって言いそうだけどね。


「あっ……ええ……」


 ローズ団長は浮かない顔をしていた。

 いや、よく見ると赤翼騎士団の人たち全員が同じような表情をしている。


「こんなところに赤翼騎士団も来るんだな」

「くっ……」

「コラ! 女性にそんなこと言わないの!」


 本当にエルドラン団長はデリカシーがないんだから。


「俺、怒られるようなこと言ったか?」

「エルドラン団長にはデリカシーってものがないですからね」


 エリオットさんも同じことを思っていたようだ。


「デリ……カシー……? それも美味いのか?」

「「「はぁー」」」


 僕たちは大きなため息をついた。

 数字がかぞえられないエルドラン団長にデリカシーを求める方が間違いだね。


「私たちは帰ります」


 ローズ団長の言葉に赤翼騎士団の騎士たちは一斉に立ち上がった。

 だが、テーブルに載っている紅茶は飲み切っていないし、パウンドケーキのようなものも残っている。


「帰っちゃうんですか? せっかくだから一緒に食べて行きましょうよ」

「いや……でも……」


 ローズ団長は困ったような顔をしていた。

 やっぱり無理に止めるのが悪かったのかな?

 でも、明らかに僕たちの視線を気にして帰ろうとしているからね。


「正直、男ばかりで入るのが恥ずかしいんですよ。よかったら食べ終わるまで付き合ってください」

「そうか……貴殿の頼みなら……」


 僕の言葉に従ってローズ団長が椅子に座ると、次々と赤翼騎士団の騎士たちも椅子に座った。

 でも、その表情はどこか嬉しそうだ。

 やっぱり女性だから甘いものが好きなんだね。

お読み頂き、ありがとうございます。

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