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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました〜誤解されがちな騎士団を立て直します〜  作者: k-ing☆5シリーズ書籍発売中
第二章 戦うショタおかん

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52.兄ちゃん、おかんスキル「しつこい」を発動する

「食べ終わったら洗い物お願いします」

「もぉはたぞー!」


 カツサンドを口いっぱいにモグモグと詰めて、エルドラン団長は返事をしていた。

 僕は朝食を食べている青翼騎士団の元へ向かう。


「なんだこれ……」

「朝からこんな美味いものが食えるのか」


 どうやらスクランブルエッグが載った、朝食プレートを気に入ってもらえたようだ。

 僕はコソッと袋に入れて持ってきたアルノーさんお手製のパンを一つずつ置いていく。


「ソウタくん、これはなんだ?」


 コンラッド団長はパンを手に取ると、感触を確かめていた。


「見ての通りパンですが……」

「パンだと!?」

「うわっ!?」


 コンラッド団長の驚きに僕はびっくりしてしまった。

 ピシッとしたおじさんが驚く姿をあまり見ることがないから仕方ないよね?

 一度咳払いをすると、静かにコンラッド団長は椅子に座った。


「こんなに柔らかいパンがあるのか」

「ええ、僕が教えているのもありますが今平民の中で流行ってますよ」

「平民たちに……」


 コンラッド団長はジーッとバリーさんを見つめる。

 いや、これは見つめるというよりか睨みつけているのかもしれない。

 居心地が悪いのかバリーさんもそっぽ向いて朝食を食べているからね。


「宿屋の一階で美味しいパンを作っているので、よかったら買いに来てくださいね! バリーさん、お待ちしていますよ!」


 僕はさらに追撃をする。

 この間、お店をぐちゃぐちゃにされたのを僕は忘れていないからね。


「あっ、でもあれだけ暴れたから売ってくれないかもしれないなー」


 チラチラとコンラッド団長を見つめる。


「わかった。今度は謝礼を持って私が謝りいこう」

「えぇ、その方がいいですね。あっ、できれば最新の調理器具だと嬉しいですね」

「ぐっ……」


 僕はコンラッド団長にニコニコしながら要望を伝える。

 正直あの小さな石窯だとたくさん作るには時間がかかるし、焼きムラができちゃう。

 今は平民に人気のパン屋さんになりつつあるからね。

 この際、貴族の集まりである青翼騎士団に買い替えてもらうのが良いだろう。


「やっぱり君が欲しいな」

「さぁ、食べ終わった食器を片付けようかなー」


 コンラッド団長の熱い視線に僕は何事もなかったかのように調理場に戻っていく。

 なんかゼノさんとはまた違った視線をコンラッド団長から感じるんだよね。


「あっ、みなさん食べ終わったらお皿を待ってきてくださいね」

「なんで俺たちが……」

「バリーさん、パンが買えなくなっても」

「持っていけばいいんだろ!」


 自分が食べた時に使ったお皿ぐらいは自分で洗い場まで持っていかないとね。

 少しイライラしているバリーさんに僕は微笑む。


「おっ、ソウタどうだった?」

「みなさん美味しそうに食べてましたよ」


 カツサンドを食べ終わって、鍋やフライパンを洗っていたエルドラン団長が声をかけてきた。

 どうやら僕のことを心配していたようだ。

 まぁ、見にきていない段階で僕はカツサンド以下なんだけどね。

 今日はステーキが食べたいって言われても、野菜多めにするつもりだ。


「きっとお皿を次々に……ほら!」


 しばらくすると食べ終わったお皿を青翼騎士団の人たちが持ってきた。


「ソウタくん、美味しかったよ。また作ってくれるかな?」

「いえ、これが最後ですよ。まずは業務改善をお願いします」


 初めに持ってきたのはコンラッド団長だ。

 コンラッド団長が動けば次第に他の騎士たちも動き出すからね。


「んー、それなら息子にならないか?」

「何言ってるんですか?」

「やっぱりダメか」


 なぜ息子になったら、作ってもらえると思ったのだろう。

 コンラッド団長ってまともな人かと思ったけど、ゼノさんよりも変わり者なのかもしれない。

 食器担当から変わり者の食器担当って認識になってきた。


「美味しかったですか?」


 僕はお皿を片付けにきた青翼騎士団に声をかけた。


「あぁ、美味かった」


 どこかぶっきらぼうだけど、聞いたら感想をくれるようだ。

 その姿にカルロスさんやキッシュさんは驚いていた。

 今まで言ってくれる人はいなかったのだろう。

 美味しいって言葉を聞くだけで、作っている方は嬉しくなって、また作ろうってなるもんね。


「あっ、迷惑客の双子さん!」

「「くっ……」」


 レオのお店で暴れていた双子の騎士もちゃんとお皿を持ってきたようだ。

 さっきはバリーさんばかり責められていたけど、この二人のことも忘れていないからね。


「食べてどうでしたか?」

「うっ……美味かった……です」

「また食べたい……です」


 どうやら双子にも美味しいって思ってもらえたようだ。


「「あの……」」

「どうしました?」

「「この間はすみませんでした」」


 まさか謝られるとは思っていなくて、少し僕はびっくりしてしまった。

 よほどコンラッド団長にも怒られたのだろう。

 だけど――。


「ちゃんと謝れるのは立派です。次はレオたちに謝ってくださいね」

「「あぁ……」」


 謝るのは僕じゃなくて、レオたちに謝らないと意味がない。

 大人になってからだと、人に謝ることってプライドが邪魔をして中々できないって聞いたことがある。

 それに僕みたいな子ども相手だと尚更だ。

 だけど、それができただけでも十分な気がする。

 思春期に入りつつあった弟もだいぶモヤモヤしてた姿を見たことがあるからね。

 って思春期の弟と同じにしたらダメか。

 目の前にいる人たちは当時の弟よりもだいぶ大きいからね。


「さぁ……残りはバリーさんだけですよー」


 気づいた頃にはバリーさんだけが広間の椅子に座っていた。

 みんながお皿を片付ける中、どうしようかと葛藤でもしていたのだろうか。


「くっ……俺がなぜこんな屈辱を……」

「これが屈辱なんですか?」

「そうだろ! なぜ貴族が自分で片付けなきゃいけないんだ!」


 やっぱり貴族って甘やかされて育ってきているのだろう。

 その割にはゼノさんやエリオットさんはノリノリで手伝ってくれるけど、性格もあるのかな?

 バリーさんってエリオットさんの兄で長男だから、尚更次期当主として甘やかされて育っていそうだ。


「そりゃー、自分が食べたものですからね。それにここは青翼騎士団であってお家……屋敷とかではないですからね?」

「くそ!」


 バリーさんは怒って強引に僕にお皿を預けた。

 まだ自分の中でモヤモヤしているのだろう。

 貴族だけど騎士団って扱いは貴族ぽくはない気がするしね。


「バリーさん!」

「なんだよ!」


 怒りながらも振り向くバリーさんに少しクスッと笑ってしまう。


「美味しかったですか?」

「……」


 周囲は静かになるが、何も答えが返ってこない。

 それならさらに追撃だな。

 

「あれ? 聞こえてますー?」

「……うま」

「なんて言いましたかー?」

「美味かったって言ったんだ! 何回も聞くな!」


 そのまま怒ってバリーさんはどこかに行ってしまった。

 どこか反抗期の息子を相手しているような気分だね。

 だけど、僕としてはバリーさんからその言葉が聞けてよかった。

 あの人はたぶんだけど、素直になれない人なのかもしれない。

 きっと大人なら無視もしただろうに、子ども相手だと無視もできない優しい人だ。


「さぁ、みなさん片付け……どうしました?」


 なぜかみんな驚いた顔をしていた。

 カルロスさんやキッシュさんは騒然としているし、エリオットさんも目が点になっている。


「ソウタ先輩って猛獣使いか何かですか?」

「いやいや、普通の子どもですよ?」


 キッシュさんには僕が動物園の飼育員にでも見えているのだろうか。

 確かに黒翼騎士団が犬の集まりなら、青翼騎士団は猫の集まりって感じがするしね。


「バリーさんのあんな姿初めて見ました」

「私もです」


 エリオットさんでもあんなバリーさんを見たことないようだ。

 それならしつこく言って正解だったね。


「んー、バリーさんって思ったよりもいい人そうですね。なんか……警戒している猫みたいで……くくく」


 ツンツンしているバリーさんを思い出すと、少し笑ってしまう。


「いやいや、あれはどこからどう見ても虎だろ!」

「ははは、虎でも猫にそっくりって言いますしね」


 エルドラン団長のツッコミに僕は声を出して笑う。

 確かにあの姿は虎にも見えなくないもんね。


「さぁ、掃除をして帰りますよ!」


 僕たちは食べ終わった食器を片付けることにした。

 そういえば、何か大事なことを忘れているような……。


「あっ、業務改善!」


 朝食を食べさせることに気を取られて、コンラッド団長と詳しく話すのを忘れていた。

お読み頂き、ありがとうございます。

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