海月と爺と骨の、夜の晩餐会
今回は食事回です、あ、ヨダレが...
「さぁ着きましたよ。」
ーーん、ありがとプレル。あ、それとひとつ試したいことがあるからいいか?
「ん?なんでしょう。」
ーー【抽出】で落とすんじゃなくて飛ばすことできるか?発射みたいに...
「ええ、できますよ。でも何故それを。」
ーーいいからいいから、頼む!
「まぁいいですが、ではいきますよ?【圧縮】、【抽出】」
そう言ってプレルは俺を中から抽出すると共に勢いよく吐き出してくれた。それにより球状となった俺は宙で回転しながら地面へと向かっていった。
さぁいくぞ!【溶骨操作】解除!
その言葉を念じた瞬間俺の身体は煙をたてて元に戻り、そのまま回転力を使って身体の向きを調節して綺麗に地面に着地した。
ーーどうだ、これが俺の着地術!
「確かに凄いですが何故それを今?」
ーーいや多分この先プレルにまた頼るから少しでも時間短縮できるかなって。
「そうですか、それは嬉しいですが...今?」
ーーす、すいませんでした。
なんか怒られてるというか呆れてる感じがする。確かに今することじゃなかったか。
「それでもそのお気持ちは嬉しいですよ。ですが次は時を選んでくださいね?」
ーープレル、おう分かった。次は気をつける。
なんか母親と子供の情景が浮かんだような気がするが気のせいだ、うん。
そんな言い訳を考えながらもプレルと共に俺は家の中へと入った。そしてそのままプレルと共に俺達は茶の間に入り、俺は椅子へ、プレルは台所へと浮いた。ちなみに椅子はプレルよ椅子に座らせてもらっている。
何故かって?身長が低いからだよ!
「ではしばらく待っていてくださいね?すぐに作りますから。」
ーーいや、ゆっくりでいいよ。怪我したら危ないし...
トトトトトトーー
うん、その心配はなさそう...というか危ないかわからん。だって包丁捌きが見えねえし。ここでも強すぎるだろ、プレルさんよ。
だが昼食の時とは包丁捌きが違うので少し急いでいるのだろう。
そんなに急がんでも...と俺は思ったが、下手に心配するのも失礼だろうし、何より俺が嫌だ。勝手だと思うが俺は自分にされたら嫌なことは他の人にしない主義なのだ。それがいい事悪いことであっても。
ジューー!
匂いは...感じることができないが、なんか美味しそうな音がする。俺が骸骨じゃなけりゃ食えるのになぁ...今はこの身体が恨めしいぜ。まぁ自分で選んだのだが。
しょうがないしょうがないと思う間プレルの様子を見てるのだがそのスピードを持ってしてもしばらくかかりそうだ。
あ、そういや今って現実だと何時なのだろう...そろそろあれが来ると思うのだが。メニュー
そう言って俺はメニューを開き今の時刻を確認した。そのメニューの右下にはユッカ内時間と現実の時間が書いており見間違えることは無い。
ユッカ:19:38
現実:10:54
現実の昼飯まであと1時間...こっちだと4時間か。まぁ大丈夫だな。あれも来る気配ないし、全然大丈夫...
〈現実の身体に尿意を確認。一時間以内にログアウトし解消してきてください。〉
・・・来ちゃったよ。恐らく現実での一時間だとは思うが...先に行っておくべきだろうか、まぁこっちで二時間前ぐらい過ごしても現実じゃ30分だから問題ないだろ。
そんな気楽な気持ちで俺はもう暫くここにいることにした。それにプレルが俺のため、っていうとなんか違うと思うがせっかく作ってくれてるし、ここで退場するのはダメだろう。
そして待つこと数分どうやらできあがったようで4本の触手に一つずつ大皿をのっけて持ってきた。その皿からは湯気が立ち上っておりできたてであることを証明している。
「さぁ、私のスキル【調理】によってふんだんに作られた料理をどうぞ。召し上がりは残念ながらできないと思いますが、気持ちだけでも味わってください。」
ぐっ...ほんとに残念すぎるぞこれは。こんなに美味しそうなのに。
そんな生き地獄みたいな雰囲気を味わいながらも、俺は力を振り絞って魔声を出した。
ーーあぁ、ありがたく頂くよ。ほんとに食べれなくて残念すぎる。
「ですね...。できれば一緒にたべたいのですが、仕方ありませんね。」
ちなみにプレルによって作られたその料理は自分よりもでかい焼き魚、赤、緑、黄色、青といろんな色が散りばめられたサラダ、リゾット、米と飲み物だ。ちなみに鑑定してみた結果がこれだ。
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【焼きラメ・グロ】
遥か高みに登った【調理】の技術をふんだんに使われて作られた焼き魚。その身は焼かれたことによって凝縮されておりとる時は固まって取れるが口に入れた瞬間その身はホロホロと砕け、口の中に塩加減の効いた魚の旨みが広がっていく。
まさにこれは至高の焼き魚...!!
《満腹度25%回復、幸福度100上昇》
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【海野菜の詰め合わせ】
遥か高みに登った【調理】により彩られたサラダ。その野菜の旨みは料理人の適切な処理によって増しており、共にみずみずしさも増している。この料理を食べるものはかじりついた瞬間に溢れ出る旨みを覚悟しなければならないだろう。
《満腹度10%回復、状態異常100%回復》
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【海鮮リゾット】
遥か高みに登った【調理】により作られたリゾット。自然のままに炊きあげられた海米に、魚と海野菜から出汁をとった薄味の海鮮風味の汁が掛けられ、そこにラグロ節、ラメ・グロの身が程よく混ぜられた逸品。その味はしつこくなく、食べる者の舌に必ず合うものとなっているだろう。
《満腹度25%回復、体力50%up》
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【炊きあげ海米】
自然のままに炊きあげられた海米。その下処理は完璧なし上がりとなっており、そのふっくらさは高く、食べるものの味覚を良く砕けさせるだろう。
《満腹度10%回復、幸福度50上昇》
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鑑定内容を見ただけでも美味しそう...ぐぅぁぁ!悪魔に魂売ってでも良いから食べれるようになりたい!!はぁはぁ、タベタイ。
そんな俺の精神が壊れそうになってきた時、そこに救世主が...
バタンーー
「ネクトー、プレルー戻ったぞー!」
「あら、フェイル様も戻ってきましたね。お帰りなさいませー!フェイル様!せっかくなので一緒に食べましょうか。」
ーータベタイタベタイ...ん?あ、あぁそうしようか。
訂正、救世主じゃない、敵対者だった。
そしてその敵対者ことフェイルは茶の間に入って俺の目の前の普通の椅子に座った。まぁそれも普通とは言い難い雰囲気放ってるのだが、別にいいだろ。
「おお、今日も美味しそうな飯じゃな!ちょうど食べる頃だったかの?」
「そう言われると恐縮です。ええ、ネクトさんとの草刈りを終えて帰ってきたところです。」
「そうか、それでネクトよどうだったかの?趣旨は。」
ーーまぁ、良いとは言えない結果だった。ほんとに俺の力不足が...。
「はっはっはっ、気にしなくてもよいぞネクト。最初の頃は誰だってそんなものよの。儂だって最初は草の対処の方法が分からなかったしの。それに、分かったと調子に乗って全部刈り尽くしたら次はあの草共の群れじゃ。この儂でもやられそうになったわい。」
フェイルがやられる...だと?そんなに強いのか、あの草達は...。
「まぁ言い訳がましいとは思うが、この分身体だと本来の力の50%も出せなくての?少し手間取ってしまったわい。」
50%以下...それで俺の100倍以上の数に勝つって、この爺さん強すぎだろ。伊達に世界の覇者を名乗ってるだけあるな...。
そんな勝手に感嘆してる最中にもプレルが片付けを終わらせたようで、予備があったのか俺が座ってる椅子と同じ形の物に座っていた。
「ではいただきましょうか。」
「そうだの。それでネクトよ、ネクトも食えるのかの?」
ーーいや、俺は消化器官がないし、それに口が無いから食えないんだよ、残念ながら。
「そうかの...それは残念だの。はてプレルよ、お前の研究にあったんじゃないかの?確か、感覚共有だったかの?」
「はっ!そういえばありましたね!すっかり忘れていました、何せ100年以上前の研究ですし...とにかくそれを使えば味を感じられるようになりますがどうします?ネクトさん。」
共有...ってことは色々他のも共有してしまう気がするが、もちろん、
ーーあぁ、頼む!
悩む暇もなく俺は即答した。この目の前の食事の魅力には抗う事などはなからできないのだ。
「ではいきますね、【感覚共有】対象ネクト」
〈他者から感覚共有の誘いが来ました。受け入れますか?〉
もちろんはいだ。
〈了承を確認。これより相手との感覚を共有致します。〉
そのお知らせとともに何か俺の中に入ってくるのを感じた。最初はむず痒い感じだったがすぐにその感覚は消え、まるで元からそこにあったかのように感じるようになった。さらに...
ーーこれは...匂いか?
上手く共有されたのか今まで感じなかった匂いが感じられた。その匂いはとても香ばしく、無い口からヨダレが溢れてきそうだ。
「上手く繋がりましたね。それとこれがネクトさんの感覚...うふふ。」
『このままずっといたいですね、うふふふふ。』
プレルさんよ、そんなに身体を煌めかせて喜ばんでくれ。少し恥ずかしい。てかこの頭に流れてくる声はなんだ?
「あら、聞こえてしまいましたか。ネクトさんそれは思考も共有してるので相手の考えてることも聞こえてしまうのですよ。」
案外厄介だな、これ。相手の考えてることが分かっちゃうってプライバシーが...!
「それでも聞こえるのは数分に一回ほどで、そこまで問題はありませんが。まぁ今度改良してみます。」
ーーあぁ、頼む。なんか相手の考えてることが分かると少し罪悪感が。
「ええ、分かりました。私は良いですけどね。」
ぐっ、そんな言われなれてないからなんて返したらいいのかわかんないよ...。
「喋るのはそこまでにして食べるとしよう、二人とも。ではいただきます...。」
「そうですね、また後で話しましょうか。いただきます。」
「おう。いただきます。」
そんなフェイルの一言で夕飯を食べ始めた。そしてプレルが木のスプーンで料理を救って食べた瞬間...
ーー?!お、美味しい...
無いはずの口の中に香ばしく、程よく塩が効いた魚の味が広がった。そこに少し大根おろしのような味も混ざりあっさりとしたものとなっている。
「それは良かったです。どんどん味わってくださいね♪」
ーーあぁ、ありがたく味あわせてもらいます!
こんなに美味しい料理を作ったプレルに敬語を使ってしまうのはしょうがないだろう。
そして、俺は初めての味を感じながらプレルとフェイルとの晩餐を楽しんだ。
うめぇ!!
皆さんは海鮮料理と言われたら何を思い出しますか?作者は北海道のいくらのぶっかけ丼を思い出します。
この回を書いてる間腹が減ってしょうがなかった...(´;ω;`)




