諦めぬ心は心身を強くするのだ
皆さんは何か諦めずに立ち向かったことがありますか?
作者はよくスポーツでがむしゃらに立ち向かうことが多いです。
「ネクトさん...何故食べられているのですか。最初に言ったではないですか。触ったらダメですよって。」
ーーいや、できればもうちょっと早く言って欲しかった。物珍しさに触っちまうって...
あんなに何かありそうな雰囲気を出しているんだ。触るなって言う方が無理だわ。
「そうですか。まぁ私も言うのが遅かったですからしょうがありませんか。それとそろそろ防具を着てはいかがですか?ずーっと何も着ていない状態ですよ?」
・・・すっかり忘れてたーー!!もう当たり前かのようにこの状態でいるじゃねえか俺?!これじゃ、露出きょ...いやそんなことはナイハズダ?!
そんな恥ずかしさから俺は急いでメニューを開きイベントリ欄から防具一式を取り出して着替えだした。
ーーー暫くお待ちください
ふう、着替え完了っと。次からはもっと気配らなければな。てかこれ一気に着脱できたら楽なのにな。まぁそんなスキルも探せばあるか、もしくは創ればあるのだろう。後者だとしたらそう上手くいかないと思うが。
そんな楽になるためのスキルを想像しながらも俺は着替え終わった。相変わらず右腕右足の装備は無いし初期装備だがそれでも先程までの裸よりはいいだろう。肉はないが。
「着替え終わりましたか?では行きましょうか。『草の林を切り裂け切り裂け鎌の巫女、その名はプレル、私の名の元ここを開け。』」
そうプレルが言うと目の前の蔦が中心から縦にさけ、下へと続く階段が現れた。そこは先を見通すことができず、ただ暗闇が広がっていた。そしてプレルはそこをふよふよと浮きながら降りていき、俺もそれに続いて降りていった。
「ネクトさんも入りましたね。では、『草よ妨げここ守れ。釜の巫女の命令だ。戻れよ戻れ責務を果たせ。』」
そう言うと先程の蔦が元の場所に戻っていき、直ぐに外からの光は遮断され中は暗闇に支配された。
「さて、お次は『光れよ光れ、鎌の巫女の命令だ。私の道を照らしたまえ。』」
ポワァーー
ーーおお、すごい幻想的だな。
「ええ、私もここに来る度にそう思います。」
プレルの言葉に反応してか階段の周りについていた苔のようなものが光だし、先程まで存在していた暗闇が跡形もなく吹き飛ばされた。それほどまでにこの光は綺麗で、心が癒されるようだった。
「感動するのもいいですがそろそろ行きましょう。日が暮れてしまいます。」
ーーん?そうか、もうちょっと見ていたかったんだが...まぁまた来ればいいか。
「・・・私としては見慣れたものですから感動というのも薄れてしまいましたが、やはりいいものですか?この光景は。」
ーーあぁ、すごく神秘的で心が浄化されそうだ。
「そうですか。ふふ、そう言ってほんとに浄化されてはダメですよ?ネクトさんの弱点なのですから。」
ーー分かってるよ!ったく。
そんな風にふざけ合いながらも俺達は下へ下へと降りていった。そして降りること数分、遂に階段の光とは違う色の光が見えてきた。
「さぁ、着きましたよネクトさん。どうですか?先程階段で驚いたネクトさんならここはさらに驚きになるでしょう?」
ーー・・・あぁ、ここは凄いよ。
階段を最後まで降りた先は広場のようになっており、そこには以前に見た青い渦のようなものが多く鎮座していた。だがそれぞれ渦を囲うものが違っておりある物は蔦、また他のは水のようだったりと多くの種類の渦があった。
「ふふ、お気に召されたようで良かったです。今回はあの蔦で囲まれたところに行きます。」
ーーそうか。てかここってなんなんだ?多分テレポーター部屋とかそんな感じだとは思うが。
「ええ、それで合ってますよ。ここからミラージュの中ならどこでも行けるのです。」
ーーへー、ってなんで最初ここ使わなかったんだ?そうすれば別に飲み込む必要はなかったと思うんだが。
「それはですね。ここの青い渦、まぁゲートって言うのですが。このゲートは燃費が悪くて一日に一度しか通れないのですよ。あくまで緊急用ってわけです。」
ーーなるほどな、でもなんで一日一回?
「それは...魔力の貯蓄性が悪くて、貯めても一回分ぐらいにしかならないのです。」
ーー改良とかはできないのか?義遊魔王軍のメンバーならできそうな人いそうだけど...
「確かにできる人はいますがそれは失敗を考慮しなければの話ですね。このゲートは創造神からの贈り物なので壊したら最後...なんですよ。」
なるほど、運営からの贈り物か。恐らくゲームバランスの調整のためか?何度でも使える、どこにでも行ける、何人でも行ける!とかかなり理不尽だからな。
「念の為マナ様に研究の方は任せているのですが...やはり難しくらしく、ここ200年では上手くいっていませんね。」
ーーに、にひゃく!?んん、そこまで難しいのかゲートの改良って。
「いえ、原理はある程度まで解読できているのですが、何故か別次元に繋がるようになるのです。まぁあの義遊魔王軍の拠点もその結果があって作られたものですから悪いという訳でもないですけどね。」
えー、それって成功じゃ。あぁ、でもこの世界での移動はできないから失敗ではあるのか。それでも次元を行き来できるってすごいと思うけどな。まぁオーバーテクノロジーだったってことか。
そんなふうに納得している間にもプレルが準備を済ませたようで一つのゲートが一段と眩しい光を放った。
「さぁ、行きましょうか。帰りの方は回り道して帰りますから。早めに終わらせますよ。」
ーーあぁ、何とか頑張ってみる。
「ええ、そのお気持ちがあるだけでも大丈夫です。それでは、『ゲート起動』」
その言葉と同時にゲートが一回り大きくなり、巨人すら通れるような大きさとなった。
「ではお先に失礼します。」
そう言ってプレルは先にゲートに近づいていきくぐった瞬間消えてしまった。
・・・まぁ運営からの贈り物だから大丈夫だろう。いくか!!
俺はその意気込みのように勢いよく走ってくぐって行った。そのくぐりぬけた先は先程来た草むらの目の前で、そこには草の塔の残骸が散らばっていた。まるで刈った場所を元に戻すかのように。
「そういえば言い忘れていました。ここは草を1本刈りとると1匹グラスウォークが生まれるのです。50本刈る毎にラングラスが、100本刈る毎にグラスHGが。また全て刈りとるとグラスMGが出現します。そして何故でしょうか、その魔物達は刈った場所を直すかのように倒れ込んでくるのですよ。刈った者を押しつぶすことを含めて。」
へー、って先にそういうのは言ってくれよ!俺じゃなきゃ殺られてたぞ!・・・だがなぁ、流石にここまでとは思わなかったんだろうな...魔王軍の関係者、それも軍員なのに。ちくしょう、ここでも力不足が目立つぜ。
ーー今度からはもうちょっと早めに言ってくれれば。まぁ俺が弱かったのも悪かったよ。
「それはまぁネクトさんは弱いですが時間が解決してくれますよ。幸いネクトさんには努力の才がありますから、直ぐに強くなれます。ええ、そうですとも!」
ーーん、ありがとな。しゃっ!そこまで言われたのなら引けねえってこった!やるぞ!
そう俺は拳を空にあげながら意気込んだ。
「その調子ですネクトさん。それでは、まだネクトさんでは力不足なのでまずはレベルを上げましょうか。ネクトさん10本ほど刈ってください。」
ーーほい。【溶骨操作】
ブンーー
言われたとおりにまずは手をいつも通りに鎌状にして10本ほど地道に刈り取った。
「それではしばらく待ちましょうか。15分ほどしたら現れますので。」
ーー15分か...暇だな。
「誰が休憩と言いました?待っている間は私と模擬戦をしてもらいますよ。ステータスが上がっても技術がなければ死にますからね。」
ーーなるほど、模擬戦。それならこちらから頼みたいほどだ。ただ言っておこう。俺だって少しは技術あるぞ?
「はぁ、少しと過剰評価しない所はいいですが、どこまでついてこれますかね。では行きますよ?」
シュンーー
そう言った途端プレルの姿が掻き消え、一瞬にして俺の目の前に現れた。
ーー速い。だがそのぐらいなら!
ガン!
そして俺は自前の手鎌でプレルが振り下ろした触手を跳ね上げることができた。だがその一撃は重く俺の手は既に悲鳴をあげていた。
「このぐらいにはついてこれますか...。ではもう一段階上げましょう。」
もう一段階...。これ以上上げられたらさすがについていけねぇ。さっきのはユッカに来る前にやってたゲームで動体視力を鍛えたから反応できたが、くっ。
そのゲームはいわゆるFPSというもので毎回銃弾を見切るために知り合いと打ち合いをしていた。そのおかげが今なら大抵の銃弾は3回に1回よけられるようになった。
「では行きます。」
バシュッーー
その速さは音速を超え音と衝撃波を放って俺に襲いかかってきた。
ーーくぅっ!?流石にこの速さは...いややる前に諦めてどうする。うらぁ!!
最初から避けることはできない。それは分かっていた。だがそれだけで諦めることは無い。だってそれは面白くないしただの負けだろう?
だから俺は気配のする方向に腕を振り上げた。僅かに感触がしたと思ったがその感触はすぐに消え去ってしまった。
「僅かながらに捉えたのはいいですが、まだまだです。」
そう言って俺は胸にプレルの触手を突きつけられていた。これは...
ーーははは、完敗だよ。プレル。
「いえ、ネクトさんも惜しかったですよ。あと数秒早ければ私に当たってたでしょうね。」
ーーそれは惜しいにはいらねえよ!
それから俺達は少しの間笑いあっていた。
ということで主人公はプレルに完敗してしまいました。
ですが、ださって言うことなかれ、プレルの2回目の攻撃は銃弾よりも早く、凡人によけられるようなものではないですから。




