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プレルの欲望は野望なり

今回はプレルの視点にチャレンジしてみました。


他人の視点を考えるって難しいと実感しましたね...


ーーー夢の時はプレルとネクトが出会う前に溯る


ガチャ、バタンー


 あら、フェイル様が戻ってきましたか。慌てて出なさったと思ったらすぐに帰ってきましたね。何事でしょうか?


「お帰りなさいませ、フェイル様。どうしたのですか?そんなにウキウキとしたご様子で。」

「おお、ちょうどいたかの。プレルよ、今から客が来るので部屋を片付けてもらっていいかの?さすがにこのようじゃもてなす事はできぬのでの。」


 確かにこの部屋は私の趣味部屋と化していて物が散乱していて、とてもではありませんが人を呼び込める状態じゃありませんね。


「ええ、分かりました。直ぐに片付けます。それとお客...様ですか?このような辺境な所に。また新しく魔物でも育てるおつもりですか?」


 それなら先輩として誇り高き存在でなければならない。そう思ったのだが、フェイル様は首を横に振って、


「いや違う。儂の食った中に面白いのがいての?そやつは義遊魔王軍だったんで連れてきたのだ。儂も新人をないがしろにしたくないしの。」

「おや、新人さんですか。それはおもてなししなければいけませんね。それでその新人さんは?」

「外におるよ。何心配するでない。木の影で休ませておるから、多分今頃は寝てるだろうしの。結構疲れておる様子だったからの。」


 プレルはこの時正直、フェイル様に少し呆れてしまった。疲れてるって、尚更急がなければいけないじゃないですか!


「それを早く言ってください!確かにここの外は地上の外よりは快適だと思いますが、それでもなれない景色、なれない雰囲気に戸惑ってしまうでしょう!」


 そううちの蔵書に書いてあったような気がします。なにせ実際に地上に出たことがないから比較はできないですけど、地上はそこらかしこに魔物が入り浸り命に晒されるものだと書いてありましたし。それといつもと違う場所だと落ち着かない人もいると...


「そ、それもそうだの...。なら儂も手伝うから早く終わらせようかの。」

「ええ、ありがとうございますフェイル様。ではテーブルにある本を本棚に閉まってくれませんか?私は床の方を掃除するので。」

「任せるがよい。...のうプレルよ、もうちょっと普段から散らからないようにできないかの?儂がここを与えたのは確かじゃが、こうも片付けに手がかかるとの...」

「それは分かっているのですが...。その時間を私は研究に費やしたいので諦めて貰えると助かります。」

「そうか...。まぁお主のすきにするとよい。だが客が来る時は綺麗にするんだぞ?汚いと儂の品格が問われるからの。」


 これはきつい言葉に聞こえるかもしれないが、もとよりこの二人は主従の関係。これがその現れと言えるだろう。


「ええ、そこは重々承知していますとも。ですから普段からここらには勝手に覗かれぬよう結界が張ってありますからね。もしそれにかかってしまえば...うふふ。」


 そう言うプレルは顔がなく、何を考えてるか少し分かりにくいもののその雰囲気は不穏なものを発していた。


「げほん。その話は後で自分一人で頼む。それよりも早く新人をもてなさねばなかろう?ほれこっちはもう片付け終わったぞ?」


 気づけば机の上の本は全て片付けられていた。それに散っていたホコリも綺麗になくなり机だけがピカピカと光り輝いているようだ。


「あら、それは申し訳ございません...。ではこちらも早急に済ませますので椅子に座ってお待ちください。」

「そう急がなくてもよい。確かに新人を待たせるのは悪いと思うが中途半端に迎えるのも失礼だろう?それに新人は外でぐっすり眠ってしまったしの。」

「そうですか...。寝たところを無理に起こすのも悪いですね。ではお言葉と新人さんに甘えて丁寧にお掃除しましょうか。」


 そう言うとプレルは触手で箒を取り、サッサと舞ったホコリを自分の触手で吸い取り外に出す、という方法で掃除をした。その掃除は効果的面のようで次第に部屋の綺麗さが元に戻っていき、最後には新築同様の綺麗さになった。それでも直ぐに汚れてしまうのだが。


「ふぅ、これでよろしいでしょうか。それでは新人さんを起こしてきますね。」

「うむ、いってらっしゃい。それと新人はまだ寝て1時間ぐらいじゃから眠そうにしてたら寝かしてあげるんじゃぞ?」

「分かりました。では行ってきます。」


 そしてプレルは箒からホコリを落として机横に立て掛け、その部屋から出ていった。


 そういえば新人さんのことについて何も聞いてませんでしたね...。どんな方なのでしょうか。できれば私の研究に付き合ってくれる方であれば嬉しいのですが...。


 そう期待に胸を膨らませながら触手で玄関を開け外に出た。そこであたりを見回したのだがそれらしき姿は何も見えない。まだ木の下にいるのかと家のすぐ横に生えている木の下を見たのだがそこにはひとつの骨しかなかった。


 ん...?何故このようなところに骨が?気の所為か胸のあたりが上下してるように見えますし...もしかしてあれでしょうか?


『フェイル様?新人さんってどんなお姿をしているのですか?』

『おお、そういえば言ってなかったかの。簡単に言えば骨じゃ骨。それも顔の骨がないヘンテコな。もしや見つけたのかの?』

『ええ、目の前の木の下でぐっすり寝ているようです。顔がないかはここからでは分かりませんが、多分間違いないでしょう。』

『そうかの。なら少し声掛けて起きなかったらそこに暫く寝かしてあげなさい。それと新人の名前はネクトという。ではの。』


 そういってフェイル様は念話を切ってしまいました。さて、どうしましょうか...声をかけるにも顔がなくて声が聞こえるのでしょうか?そういう私も顔がありませんが機能はありますからね。まぁ一応声を掛けてみましょうか。


「起きてくださーいネクト様、ネクト様ー?」


 あらモゾモゾしだしましたね...なら声は聞こえてるっと。それでも起きないようですね。それではどうしましょう、無理に起こすなと言われましたが...こうも起きないとイタズラしたくなっちゃいます。


 そのクラゲはそう思いながら身体をすこし紅くしてプルプルと震えていた。その様子はまるで獲物を前にして歓喜に震えているかのような...


「ネクト様ー?起きないと恥ずかしい格好にしますよー?」

ーーそれはやめろ!

「あ、起きましたね。おはようございます。」


 そう返事をするとネクト様はその場に固まってしまった。まぁ無理もありませんか。私のようなものが喋ってる姿なんて初めて見るでしょうしね。まぁだからこそ私の研究目的が見つかったわけですが。


ーークラゲだな。


 クラゲ...?そのような生き物は聞いたことないのですが...まぁ地上の世界には私に似たような生き物がいるのでしょうね。そういえばうちの蔵書に地上の生き物図鑑なんてものがありましたっけ?研究には要らないとして読んでませんでしたが後で読んでみましょうか...


「くら...げ...?それは分かりませんが中の片付けが終わったので入られてはどうですか?」

ーーそうか...。それであなたはどなたでしょう。


 あら、私としたことが自己紹介を忘れていましたね。では教えられた通りにしましょうか。えっと、最初はお辞儀でしたか...


「これは申し遅れました。私は偉大なる神海龍様、フェイル・ドラゴノート様にお仕えする世話人でございます。名はプレル。以後よろしくお願い致します。」


 これで宜しいですかね。ネクト様もこちらにお辞儀をしているようですし伝わったのでしょう。


ーーこれはご丁寧にどうも。フェイルさんからは名前を聞いていると思いますが改めて俺も自己紹介しましょう。俺の名前はネクトと申します。暫くお世話になると思いますがよろしくお願いします。


 多分いい骨の人のようです。フェイル様が連れてきた時点で性格に問題はない人だとは思いますがやはり知らない人は怖いですからね...。なにせ普段誰とも接することありませんし...。


「こちらこそ。それではこちらへどうぞ。案内致します。あと、私に畏まらなくてもいいですよ?」


 私は世話人。お客に畏まられても困ります。


ーーいえ、これが俺の性分なので。

「そうですか...。まぁ無理強いはしませんので気が向いたら素で話しかけてくださいね?」


 補足、少し頑固な方のようです。まぁ私としては無理には言えませんが、できれば少し気軽に話し合えればと思ったのですが...


 そうプレルが優しくも、哀しくもある雰囲気を纏っていると...


ーー先程性分と言いましたがあなたには例外のようです。では、これからよろしく頼むプレル!これでいいか?


・・・さらに補足、自分の考えをコロコロ変えてしまう方らしいです。これは少しどうなのかと思いますが、まぁ私としては嬉しい限りです。ふふふ。


「ええ!それでいいのです、ネクトさん!」

ーー別にプレルも素でもいいんだぞ?

「いえ、これが口癖になってしまって直せなくなっちゃったんですよ。すいません...」


 私は世話人、ネクトさんに畏まらなくてはいけません!実を言うと気軽な話し方が分からないのですけどね。自分から言っておいて、すいません。


ーーいや別にいいさ。それが素だって言うのなら仕方ない。


 ありがたいですね。もしかしてネクトさんは誰にでもこうなのでしょうか?なら少し天然垂らしという伝説的成分を持っていそうですが...それは善意によるもの。別に咎めはしません。これなら、私の研究を手伝ってくれるでしょうか...。


 そう考えている中、ネクトさんもそこにぼーっと立ち止まってなにか考えられているようでした。ですがそろそろ中に入らないといけませんね...。フェイル様が拗ねてしまいます。


「ネクトさん、どうしましたー?おーい!もしかして触手で弄ってもいいってことかな...なら早速。」


 それなら遠慮なしに...。


ーー言いわけあるか!俺はそんな特殊な性癖を持ってるわけじゃないんだよ!

「冗談ですよ。それとそろそろ家に案内しますね?フェイル様も待っています。」


 ほんとは触手でネクトさんの骨をずっと触っていたいのですが...。本で見るのと実際に触るのとでは違いますからね。


 行き場のない触手をにぎにぎさせて、欲に駆られないように押しとどめているとは梅雨知らず、ネクトは心の中で苦笑いをしていたが。


ーーそうか...。なら行こうか。

「ええ、行きましょうか!」


 そうして私とネクトさんは家の中に入り...ネクトさーん?そんな所で立ち止まらないで入ってくださーい!

 目の前で...視線がどこを向いてるかわかりませんが、取り敢えず触手を振り回しても反応はありませんね。


 なら...もういいですよね?私だって我慢したんですから!


ニュルルーー


ーーうお?!プ、プレル何をするんだ!まだ約束まで1週間もあるだろ?!

「ネクトさんが悪いのですからね?先程から私を放っておいてぼーっとするから、だから私が欲を抑えられなくなるのです。そんなに油断なさっていては()()()()()()?」


 そういった途端ネクトに触手が襲いかかり、骨と骨の隙間、脚、腕と全てに絡み込んで最後には自分の身体で覆いかぶさり身動きを封じた。


「心配なさらないでください。別に殺しはしません。ただネクトさんの身体を触り、取り込み、私の研究に使わさせてもらうだけです。うふふふ。」


 そんな笑い声が響き、次第にその光景は薄れていった。


ーーーーーーーー◇


「ネクトさ...ん?あら寝てしまっていましたか。それよりもあの夢...私の欲だらけでしたね。でも凄いいい夢でした。」


 そう身体を赤くさせるプレルの周りに草は残っておらず、そんな荒野の中でプレルは寝ていた。


「ネクトさんはどこまでやったでしょうか。流石に今のネクトさんで5分の2を直ぐに終わらせられるとは思いませんし、まぁ最初ですし仕方がありませんが。あら?あの塔はなんでしょう...よく見ると緑色に...まさか!」


 そう感づいた途端にプレルの姿は掻き消え、その場には暴風が吹き荒れた。刈り取った草、倒した草達が舞い上がり、次第に果てに消えていってしまった。だがプレルはそんなことを考えずただただネクトさんを助けるために向かっていった。


 待っててください、ネクトさん。今助けに...いやこのまま放っておいたほうがネクトさんの実力も上がるでしょうか?そうですね。そうしましょう!一応見えるところには居ましょうか。


 そういってスピードを緩め、ネクトが見える位置に移動し、そのまましばらく眺めていた。

 その気配は獲物を奪われないように見張る獣のようであった。


「楽しみです♪」


さぁ、まさかの夢オチという事で。

ですが触手でネクトを縛る前までは本当のことですよ。


次回はネクトの視点に戻ります。お楽しみください!

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