主人格と第二人格
大勢の民衆による土下座。
その土下座の対象があなただったら何をしますか?
目の前に広がる数え切れないぐらいの50cm程の骸骨たちの土下座。空には骨による顔文字が浮かび、その光景はなんとも壮大で、俺が王になったかのような錯覚に陥らせてくれた。
...さすがにこのままとは行かないか。こっちもそろそろ罪悪感が生まれてきたし。それに元々はこいつらのせいじゃなくてあの見えねえ奴、いや墓守だったか?とにかくそいつのせいだしな...
ーーそろそろ顔を上げてくれ。それでその墓守は何処に行ったんだ?さっき俺がぶっ飛ばしちまったようだが...
「誰が...ぶっ飛ばされたっ...て?」
うお?!またこいつは気配もなく後ろに立ちやがって。この世界には裏取りが好きなやつしかいないのか?と今はそんなこといい...
ーーさっきは世話になったな、幽霊さんよ
「僕を...あんな奴らとは...一緒にしないで...!」
どうやらこいつにとって幽霊と呼ぶのはあのスラむと同じくNGのようだ。でもすることが幽霊と同じだしな...
ーーそれじゃあなんて呼べばいいんだ?
「僕には...ノーシェ...って名前がある」
ーー分かったノーシェだな。それでノーシェさっきはなんであんなことしたんだ?こっちは迷惑してしょうがなかったんだが...
「それは...」
ーーそれは?
「あなたに...イライラ...したから」
イライラって...逆にこっちがイライラしていたのだが!まぁ今はこいつらが皆で謝る景色の驚きで怒りなんてとうに忘れたけど...ただ訳もなくイライラされるのは気に食わん...それとさっきから俺に魔力を何度も飛ばすのやめてくれないかな
ーーなんで俺にイライラしたんだ?俺は何もしていないはずなんだが...
「あなたが...何もして...いないのは...事実」
ーーじゃあなんで...
「だって...あなたはあの...姫様に選ばれた。あのお淑やかで...品のある...あの姫様に...!!なんで...!あなたは選ばれて...僕は選ばれ...なかったの!ねえ!?」
ーーいや知らんわ。それと姫様って誰だ?俺の知り合いに姫様と呼ばれた人はいなかったはず...
「姫様は...姫様だよ!なんで...あなたが...選ばれたんだよ...ぐすん」
なんか語りに語り尽くした途端にその場に膝(ただそんなふうに見えるだけ)をついて泣き始めてしまった。俺こういう時が苦手なんだよな...主に女性の涙って...
そう、言い忘れていたけどこの幽霊ちゃんは女の子!とってもビューティフルで涙の似合わない子!幽霊っぽく足はないけどね。それに純白のワンピースを着てボブカットの黒髪がこの子の美しさを引き上げているんだよ!この子を泣かせたショウには後でお仕置きをしないとね...ふっふっふっ。いけない、そろそろ時間だね...アデュー!!
...っつ。なんか今日は意識がたまに途切れるな...やっぱりベッドから落ちた時に故障でもしたのかな?...もしくはあいつの仕業か?流石にないか...ここはゲームだしな。ないったら無い!うん。やべ、なんか土下座してる皆がこっちを見てるな...なんか皆少し剣幕が強いような。はぁ、分かりましたよ!慰めればいいんでしょ!慰めれば!それと俺を選んだ姫様ってことは、多分ナージャさんかサナさんかな?いやでもサナさんは姫じゃないからな...
ーーあー、ノーシェさんよ...その姫様ってのはナージャさんで合ってるんだよな?
「ひぐっ...うん...そうだよ」
ーーなんでまるで自分が選ばれてないなんて言い方をするんだ?それとノーシェさんも魔王軍所属ってことでいいのか?
「うん...私は...義遊魔王軍...所属...墓守担当...ノーシェ。それと名前...別に呼び捨てで...構わない...」
ーーそうか、それならノーシェ、俺も改めて自己紹介するとしよう。義遊魔王軍所属遊撃担当ネクトだ。これからも同じ魔王軍としてよろしくな!
それとさっきの話の続きだったな...それで何故だ?
「それは...僕は最初...同じ魔王軍...鍛冶担当の...ウェッポに連れて...こられた。彼は、自作の武器...の性能を確かめ...に来てた。」
この後ノーシェの過去話が10分間と続いたので少し省略させてもらう。まぁある程度まとめると、ウェッポに姫様の元に連れていかれたそこで見た姫様に一目惚れしたようだ。それでその姫様に直接選ばれた俺がとても妬ましいと。
はぁ...別にノーシェも選ばれてないとはいえないんだがな。実際姫様に加入を認められたわけだし。
ーーノーシェ、君は姫様に直接とはいはないが選ばれているじゃないか。
「なんで?...僕は選ばれて...ない。」
ーーだってそもそも選ばれなきゃこの魔王軍に所属できなかっただろ?入れている時点で選ばれたも同然じゃないか。
「...?!ああ...」
どうやら今更ながらに気づいたようだ。こいつ天然なのか?まっ、いっか。どうやら悲しみはどこかに行ったようだしな。
ーーさて、誤解も解けたようだしそろそろ行くな?
「ま...まって。あいうえおかきくけこさ」
シュンーー
ーーノーシェ、君、足が...
「うん...これでしばらく...現界に具現化...できるから...あの、その」
はぁ、しょうがないな
ニギッ
「?!」
ーーほれ、握手したかったんだろ?じゃ、これからもよろしくな!
「う...うん。よろしく!」
これで良かったのかな。俺はこういうのに疎いから何が正解とは分からんが泣き止んだしこれでいいんだと思う...つっ?!
『おお!相棒、やっっと繋がったか!さっきはこんなプリティな子を泣かして、あとで呪い締めようかと思ったがそんな心配はいらなかったらしいな!はっはっは!』
『いきなり大声出すな!それとやっぱりお前だったか...途中の違和感もお前か?』
『ああ、そうだ。お前の説明が甘かったんでね。俺様が後付けしてやったんだ。感謝しろよ!』
『説明って誰に...あれ?俺もしてるような、ってこれ以上は触れちゃダメだと感が告げている。この話はやめにしようぜ...』
『ああ、そうだな...俺様も背筋が寒くなってきやがった。まぁ霊だからそんなもんないんだけどな!』
『はぁ...まぁいい。なんでお前がこのゲーム世界に来てるんだ?お前みたいな霊は普通入ってこれないだろ?』
『ああ、普通はな...だが何故か俺の居る相棒の脳内広間に青い渦みたいなのが現れてな?それでそこをくぐってみたら俺も相棒の脳内に入り込めたってわけよ...まぁ相棒の頭は今ないから魔力ってやつに溶け込んでる設定らしいがな!それと今まで言いたかったんだが...相棒痩せたな!』
『余計なお世話だ!!ってまぁ肉もないし背も低いただの骸骨だしな...それよりも設定?お前ここのGMにでも会ったのか?』
『あれ、聞いてなかったか?俺が来るって連絡が相棒に届けられてるはずなんだが...あ、ちなみに時間は今からだいたい2時間前ぐらいな!』
そんなもの来ていただろうか?まてよ、もしかしてあれか!?てかもう2時間もたってたのな。俺が死に戻り中に時間が経ったのか...?
まぁ今はメールを確認するとするか。てかすっかり忘れてた...まぁ色々と立て込んでたししょうがないよね、うん。とまぁ内容はっと...メニュー開いてメールをポチッと、あ、確かに新着があるな...どれどれ?
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プレイヤー[ネクト]様
あなたのバーチャライズのシステムに一部破損が確認。直ちに地球に戻りバーチャライズの調子を確認してください。
尚、このメールが送られて2時間たっても何もすることがなかった場合こちらで強制的に戻させてもらいます。あなたの健康のためです、何卒ご了承ください。
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・・・は、破損?お、俺の愛機が...いっつも丁寧に磨いてずっと新品同様であるように大切にしていたのに。まじ許すまじ!まぁ自業自得な訳だがな!
ちくしょう...!って、二時間?まさか...!!
〈対象プレイヤー[ネクト]様の警告無視のニルヴァーナへの二時間接続を確認、直ちに強制ログアウトを実行致し...〉
ーザッザザ
ん?なんかノイズが...バグか?
〈GMよりメールを受信しました〉
え、何故このタイミングで?まぁ取り敢えず拝見拝見...ポチッとな
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プレイヤー[ネクト]へ
我が眷属に取り憑かれるプレイヤーネクト、いやショウと言った方がいいかの。ショウよこの度は我が眷属が迷惑をかけた。だがそ奴もソナタを心配してしてしまったことだ。そう気を悪くしないでくれ。それとソナタのバーチャライズを直して欲しくば私にメールを送ってくれ。直ぐに駆けつける!
ではの!
(ただバーチャライズを直すとそ奴とはゲームを一生遊べなくなるからの...できれば遊んでやってくれ)
by Y.R.
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驚きすぎて言葉もでねぇよ...だって、GMが直々に直してくれるって聞いたことないし。ここでも眷属ってでたけどこの人、人かは分からんが俺の相棒のことを知ってるのか?
『なぁ相棒、ちょっといいか?』
『なんだ相棒?相棒の頼みとあらばなんでも答えてやるぞ?俺様のスリーサイズやあんなことや...』
『お前のスリーサイズなんて聞いてないわ!まぁいい、今このゲームのGMからお前が眷属とかなんとかメールがきたんだが何か知っているか?』
『GM?ああ、あの人か。相棒そのメールの最後にY.R.ってないか?』
『確かにあるけど、知り合いか?』
『その方の名前はユードラシア・レイス。俺様の...親的存在だ。』
『親...?幽霊に親なんているのか?』
『だから俺様はいったろ?親的なもんだって...そうだ、相棒は幽霊ってなんだと思ってる?』
『質問に質問で返して悪いと思うが、なんだってなんだ?』
『あー、どこから生まれてくるものだと思ってるかという事だ。』
『そういうことか...俺は人が死んでしまった時に後悔が残ってると生まれるもんだと思ってるぞ。』
『まぁその考えは会ってるにはあってる。だがな、俺様達幽霊は生きとし生けるもの一つ一つにら宿っているものなんだよ。もちろん植物にだったり無機物にもな...』
『えっ、それって...自分の第二人格みたいなものか?』
『いや違う。俺様達は俗に言う主人格ってやつだ。だが主人格が覚醒するのは自分に命の危機が迫った時、もしくは心に余分な空きができた時という滅多にないことだ。そこで覚醒するまでの人格をどうするかって生まれたのが相棒達ってことだ。まぁようするに、相棒達が第二人格ってやつだ。』
『え?俺達が、第二人格?じょ、冗談だよな?』
この時俺は何か知っていけないようなものを知ってしまったような気がした。これ以上覗いてはいけない、早く話題をそらすんだ。そう俺の脳内に考えが浮かんでは消えてまた消えてを繰り返す...冗談であって欲しかった。
だって、もし本当だったとしたら今まで15年間過ごしてきてその俺が作り物ってことだろ?いや、他の皆も大抵は第二人格だろう。現代では戦争も食材調達という狩りはどこでも行われていない。命の危機というものが滅多にないのだ。俺自身は以前事故にあって死にそうにはなったがそれはほんとに偶然で、さらにそれは人為的なものだった。
ははっ、今までの世界が作り物?あの俺の命の境目も作り物だったというのか?ふざけるな...あれを作り物と称して扱っていいわけがない。なあ、嘘なんだろ?嘘って言ってくれよ。
『なぁ!冗談なんだろ!冗談と...』
『いや、冗談じゃない。俺様は相棒の主人格。相棒は俺様の第二人格なんだ。もちろん相棒の父親、母親、妹も皆が主人格の覚醒には至ってない。みーんな第二人格だ。』
それを伝えた俺の相棒、いや俺の主人格の声色は悲しくも辛いようでもあった。
だが、俺はそんな些細な違いに気づく余裕もなく、ただただ自分の思考の中に埋もれていった。
さぁ、ここで世界の闇を知ってしまった主人公!
心の闇に埋もれてしまったネクトはどうなるのか...
それと、放ったらかしにされてるノーシェは次回どうするのか!!!!




