私の身体は汝の糧となるだろう
今回は血のシーンとかはないです。まぁ消化されるというシチュが嫌いな方にとっては閲覧注意。
先程のスライムがどうのこうのってそんなことはどうでもいい...いまはとにかくこいつの対処をしなければ!!
今戦ってるのは先程俺がスライムじゃないと落胆した相手。そう、スラむくんだ。
あの時ため息をついた瞬間、俺に向かって突撃してきやがった。その攻撃は手に持ってた鎌でなんとか弾き飛ばせたんだが、その後が大変だった。
なんとこのスラむくん、触手を伸ばしてきたのだ。それも10本も。一本一本から振るわれる度にドロリと粘液的なものが飛び散り、その粘液の着いた場所がジュワーっと音を立てて溶けている。これはやばい...絶対やばい!
ガッ
くそ、1本よけ損なった!って?!
パリン!!
一発で障壁値が削れるってどんな力してんだこいつ!いや、この粘液も関係してるのかって考えてる場合じゃねえ!
ここで障壁について説明しよう!
まずは障壁について。この障壁というものは俗に言うHPとは違く、結界といったほうが正しいだろう。この結界がある限り攻撃されても死ぬことは無い。だが障壁値を大幅に上回る攻撃をされると障壁は砕け、それ以降は死んでしまうようになる。尚、これはプレイヤーのみの仕様でモンスターには含まれない。
ーーん?俺なんか言ったか?まぁいい、そこのスライム!何故そんなに攻撃してくる、俺が何かしたか!
魔物に説得は無意味だと思うかもしれんがこのユッカのAIはよくできていて普通の人間と同じ脳を持っていると言っても過言ではない。系統上頭が悪い奴もいるが...
『あなたは僕を馬鹿にした!あなたの反応は前にスライムだと思って突撃してきた人間達と同じ反応だった!だから僕はあなたを粉々にして食う!異論は受けつけない!』
スライムだと思うのはこいつにとってNGワードだったのか...いや俺には顔がないから俺が落胆したのかどうかわからないはずなんだが?
シュシュシュシュッ!
うお!?このままじゃほんとにこいつに粉々にされちまう...何か、何かてはないのか!?そ、そうだ【鑑定】!
俺は身の回りに片っ端に鑑定を行使した。だがそのせいかMPが底をついてクラっとしてしまった。
ドゴッ
ぐぅ!?くそ!片腕が...だがおかげで見つけたぞ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【スライム草】品質:5
スライムの形をした花が咲く草。これ単体ではスライム以外にとって毒となる。また錬金術の材料に使われる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
確かに毒草を見つけたいとは思っていたがスライムとはね...これは何かの因縁か?ぐっ!?足が...もうこれまでか...せめて最後にこれを!
『大人しく食われちゃえええ!!』
ーーそうは行くか!!これでも食らっとけ!
『むぐ?!』
俺はその伸ばした触手の前にスライム草を片腕で掴んで投げ飛ばした。そのままスラむは取り込んで溶かしてしまった。こういう粘液的モンスターにとって溶かすということは食事と同じ...ということは
『うぁぁぁあ!身体が、身体が熱いよぉぉ!!』
完全にとかした瞬間、スラむはその身体をビクビクさせて悶え苦しんだ。伸ばしていた触手もその形を崩し地面にグチャと音を立てて落ちてしまった。
ーーいっぺん報いたぜ...ぐっ?!俺ももうダメか。ああ、悔しいなぁ。これでもVRの操作技術は自信あったんだけどなぁ...
先程の触手は崩れる前に俺の核を貫いていた。崩れた触手がベタついてもう身動きも取れないしこのまま俺はこのスラむに食われてしまうのだろう。あれだけで死ぬとは思えないし...
グチャ、グチャ
ほら死の音が近づいてきた。最初の死がスライムに食われるってなんか癪だなぁ。あ、スライムじゃないか...はは。ん?なんか様子がおかしいような?【鑑定】...ははいい面構えになったじゃねえか
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【リトルグリーンスライム】(個体名:スラむ)
Lv.25 職業:マスコット
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー次こそはお前に勝ってやるからな。覚えてろ、俺の名前はネクト。お前に勝つ骸骨の名だ。
そういうとスライムになったスラむは俺に覆いかぶさってきた。スラむの中で俺の存在が溶かされる感触を感じると共に、俺の意識も暗闇の中に溶けていった
〈【粘液耐性】が2レベルアップしました。
更に【消化耐性】を会得しました。〉
くそぅ...
ーーーある山奥に広がる畑
「今日もいい天気だな...お前が来なければもっといい天気なのにな」
「おや、それは辛辣な」
「辛辣な、じゃねえよ!それで、何か姫様から伝言でもあるのか?まだ姫様が好きな野菜はできてねえぞ?」
「いえ、今日はそれを言いにきたのではありません。この度我らが魔王軍に新メンバーが入りました」
「なに?!それは本当なのか!?」
「ええ、あなたに嘘をつく必要もありませんし。それに誘ったのは姫様直々です」
「・・・たまげた。あの冷酷で一匹狼であった姫様が自ら誘いなさるとは...。これは天変地異でも起こるか?」
「姫様を悪くいうのは許せませんが、それには同意見です。私もこれから天候担当スカイの元にに出向いてみるつもりですし、聞いてみます。」
「おう、頼むわ。これじゃ夜も落ち着いて寝れないわ。」
「ええ。それでは7日後に魔王城に集合です。遅れないように来てください。」
「ああ、分かったよ!さて、これはおちおちしてらんねえなぁ!新人祝いとしてとびきり美味しいのを持ってってやる!」
そういうと畑には似合わないプロレスラーのような身体をした巨漢の男、もとい義遊魔王軍所属作物担当は桑を持って畑を耕し始めた。
まだ見ぬ新人を祝うための食材を育てるために
ギャーーーー!!!
「作物の分際で俺には向かうんじゃねええ!大人しく育てられろやああ!!」
ただし、普通のとは言ってないが
ーーーどこかの天空に浮かぶ空島
「モタモタするな!今すぐにこの天候予測を急げ!時間が無いぞ!!」
「「「はい!!!!!」」」
「はぁ。それで、私に用とは?これでも私はかなり忙しいんだが。しょうもない事だったら貴様に空島をひとつ落とすからな。」
「それは怖い。でも安心してください。これは姫様直々の伝言ですから」
「ほう?姫様からの伝言とは5年前の戦争以来か。それで内容は?」
「新しく我らの魔王軍に新メンバーが所属しました。それも姫様直々に誘いなさった方が」
「...冗談は大概にしておけ。あの姫様が自ら誘うなんて天と地が逆さまになってもありえない。」
「もしそれが本当だったとしたら?」
「はぁ、分かった。貴様が私に嘘をついても何も得はないしな。分かった、信じよう。それでそやつはどうなのだ?」
「私からはなにも。ただ見込みのある方だとは思いましたよ?あなたも見れば分かるはずです」
「貴様がそこまで褒めるとは珍しいな。ぜひ会った時は手合わせを願いたいものだ。」
「まだまだ成長途中なので遠慮してもらいたいのですがね。ところで最近異常気象は見受けられますか?」
「はっ、冗談だ。それで天候の件だったか?最近はどうも天候が不安定でな?ニルヴァーナの中心域はまだ大丈夫だがそれ以外の魔国、無国に嵐が向かっておる。このままではあと数日後に二つの国は天災に見舞われる。」
「そうですか...。これは想像でしかないのですが、嵐ランクである魔物、もしくはニライカナイがこちらの世界に紛れ込んだのではないでしょうか?」
「・・・それこそ冗談だろう。あのような魔物は何万年に1度生まれるレベルだ。それにニライカナイだとしてもその膨大な魔力で一目で分かる。」
「ですね...。すいません、要らない心配でした。ではこれで失礼します。ああ、言い忘れてましたが7日後に姫様の元に集合せよとのことです。それでは」
「・・・それは言い忘れてはダメだろう。はぁ、一応探ってみるとしようか。いいか貴様ら!これより私は嵐の観測をしてくる!私が戻ってくる間ここを頼んだぞ!」
「「「了解致しました!!」」」
なんともなければいいが...
そんな不安を抱きながら義遊魔王軍所属天候担当は嵐の元へと飛び立って行った。
ーーーある万事屋
カランコロン♪
「いらっしゃいませーってカムイじゃないか!久しぶりー!」
カムイがその店に入ると奥に座ってた犬耳の少年がこちらに元気よく走ってきた。
「ええ久しぶりですね、マナ」
「えへへー、それで?僕に何か用?」
その聞いてくる姿は傍から見ると子犬のようだが聞かれてるカムイとしては獲物を狙う猛獣にしか見えなかった。
「先に行っておきますが今回は荒事の相談ではありませんよ?別の用事があってまいりました」
「なーんだ、それで?その用って?」
「ええ、この度我らが魔王軍に新メンバーが入られましたので、姫様直々に全メンバーを集めるようにと言われました。」
「なんだって?!それは本当かい?」
「ええ、本当ですとも。」
「そっか新人さんか。やっと僕にも後輩ができるんだね、嬉しい!それで誰が誘ったの?カムイ?」
「いえ、姫様が直々に誘われました」
「・・・え?ご、ごめん聞き取れなかった。もう一度言って?」
「姫様が直々に誘われました」
「ご、ごめんもう一度」
「何度言っても答えは同じですよ?」
「うん、ごめん。さすがに信じられなくてさ。あの頃の姫様を思うとね...」
「それは私も同感ですがね、私も年甲斐なく驚いてしまいました」
「へぇ、あの悪魔より極悪と呼ばれたカムイが驚くとはね。これは天変地異でも起こるんじゃない?」
「それは辛辣な、そこまで酷くありませんでしたよ?それとここに嵐が向かっているようですよ」
「え、ほんとに天変地異の前触れが起こってるのかな?まぁ後で一応僕の魔道具で散らしておくよ」
「ええ、ありがとうございます。それでは7日後に姫様の元に集まってくださいね。」
「分かったー!あの二人が選ぶ新人さんね...会うのが楽しみだ♪」
さて、ここで主人公が初の死に戻り。
そして新キャラについてもどんどん出していきますよ!
ちなみに、次回も出す予定です




