0612 最強!スカーレットピンク誕生!
その日はやって来た!
当日、周囲の村や町にはロナバール総督閣下の名前で通達が出され、ロナバールへの通行は禁止されていた。
もちろんロナバール住民は一切外出禁止だ!
外にいるのはただ二人、ドピンクの審判の魔女ことエトワールさんと、深紅の制服を着たシルビアの二人だけだった。
そのシルビアの服は俺の趣味で、青き薔薇の制服と全く同じ形の作りで、色だけが紺色と金糸ではなく、真紅の色と銀糸で作られた物だった!
つまりは色違いの2Pキャラって奴だ!
単なる俺の趣味で作った物だったが、まさかこんな時に役に立つとは思わなかった。
その服をしげしげと見たエトワールさんが呟く。
「それにしても派手な服ねぇ・・・
赤と銀だなんて・・・それ、いつもの紺色の制服より、よほど派手で目立つんじゃない?」
「あなたに言われたくないわよ!」
真っ赤な制服を着たシルビアが全身ドピンクの審判の騎士の完全装備をしたエトワールさんに反論する。
「あはは!それもそうか!」
「そんな事より!ホラ!来たわよ!」
「あら?そうね?」
その男は一人で空を飛んできたが、二人を認めると地上に降り立った。
漆黒の法衣を着て、あざ笑うかのように二人の前に立って話し始める。
「どうやら私を食い止める気らしいが・・・たったの二人だと?
この私も舐められたものだな?」
ここで審判の騎士であるエトワールさんが声をかける。
「そこで止まりなさい!
私はロナバール所属の審判の騎士エトワール・メッソン!
こちらは私の相方のシルビア・ノートン魔法修士!
それ以上近づくなら容赦しないわよ!
私たち「スカーレットピンク」が相手になるわ!」
それを聞いた俺は心の中で突っ込みを入れた。
スカーレットピンクだと?!
おいおい!いつの間にこの二人組の名称はそんな名前になったんだ?
「ふん!審判の騎士ごときが私に大層な口をきくじゃないか?
ここから進んだからどうだと言うんだ?
何か出来る物ならやってみるがいい!」
そういうとその男は無造作に歩を進める。
それに対してエトワールさんが相手の男を指差して宣告する!
「その言葉と行動!
ロナバール侵略の宣言と行動と判断します!
当方に迎撃の用意あり!
これより迎撃行動に入ります!」
「はっ!構わんぞ!
私はお前たちを倒し、この旧都ロナバールを制して魔王を名乗るとしよう!
アニーミ・ドゥミル・エスト!」
そこには突然真っ黒な2000体もの騎士型タロスが出現する!
さすがに自称魔王を名乗るだけあって、大した物だ!
それを見たエトワールさんもシルビアに声をかける。
「シルビア!行くわよ!」
「ええ」
「アニーミ・ミル・エスト!」
「アニーミ・ミル・エスト!」
二人がタロス魔法を叫ぶと、そこには深紅の甲冑型戦闘タロスと、同じく桃色の甲冑型戦闘タロスが1000体ずつ出現する!
「なにっ!」
二人が自分に劣らないほどの戦闘タロスを出したので男も驚く!
そして即座に戦闘タロス同士の戦いが始まる!
お互いの黒、赤、桃色の4000体にも及ぶタロスが戦い合い、ロナバール周辺は一大戦場と化す!
さらに双方の魔法攻撃も加わって凄まじい戦いとなって来た!
基本的には戦闘タロスを出し、その上で自分の攻撃魔法で相手を攻撃するという、魔道士としては一般的な戦闘方法だが、その規模が違う!
通常の魔道士同士の戦いであれば、数十体からせいぜい数百体程度の戦闘タロスの戦いだが、今回の戦いはそれが数千にも及ぶ!
さすがは仮にも魔王を名乗る者と、魔法修士二人の戦いだ!
とてもたったの三人で戦っているとは思えない様相を呈している!
しかし双方共にタロスは通常タロスの上限であるレベル100である上に、タロスの操作能力も拮抗しているようで、膠着状態だ!
さらに追加のタロスを出すので、お互いになかなか勝負がつかない。
しかも相手は魔力回復剤をかなり持っているようで、魔力量が少なくなると、それを使って魔力を補充している。
現状ではややエトワールさんとシルビアが押しているが、これでは持久戦になったら二人の方が危ないかも知れない。
それに気づいたシルビアが叫ぶ。
「これじゃキリがないわ!
エトワール!私が時間を稼ぐからアレをやりなさい!」
「いいの?」
「一分間、時間を稼げばいいんでしょう?」
「ええ、そうよ、大丈夫?」
「任せなさい!」
「じゃあお願いね!」
そう言うとエトワールさんは呪文の詠唱に入る。
そしてシルビアは一人で相手と向き合う。
「さあ!1分間は邪魔させないわよ!」
気合いを入れたシルビアが誘導氷結魔法弾を放つ!
「トリミル・インダクティ・グラツィーオ!」
途端にシルビアの放った3000もの誘導された氷結魔法が確実に黒いタロスを襲い、次々に凍らせていく!
それを真紅とピンクの戦闘タロスが矢継ぎ早に倒していく!
「なっ!こいつ!」
驚いた相手が追加のタロスを生み出すが、それもシルビアが次々に倒していく。
何かもうこれで勝てるんじゃないかな?とそれを見ていた俺は思った。
そもそもシルビアだってかなり強いのだ。
俺やエレノア、アンジュがいるし、少々性格がきついものの、普段は一歩引く性格なので、あまり目立たないがシルビアだって相当強いのだ。
ありがたくも今は俺の部下として働いてくれているが、もし魔法協会に復帰すれば、間違いなくエトワールさんと同じ、審判の騎士になれるだろう。
そもそもレベルだってすでに300を超えているし、おそらく1対1で戦ったら現時点ではエトワールさんよりも強いだろう。
しかし現状ではシルビアがかなり押してはいるものの、中々決定打とはならないようだ。
そして1分が経過してエトワールさんが呪文を完成させる。
「アニーミ・トリーデク・スペーラ・エスト!」
呪文と共にいきなりドピンク完全装備の30人のエトワールさんが飛び出す!
その様子に相手は驚きの声を上げる!
「なっ!これは!」
「これぞ必殺エトワール・サーティワン!
さあ!いっくわよ~」
その掛け声と共に31人のエトワールさんがもはや少なくなった黒いタロスの海へ突っ込み、敵の魔法使いに襲い掛かる!
ピンク色の楔が黒い海を切り裂き、その中心部に突き進んでいく!
遂にエトワール・シルビア組の最終攻撃だ!
一方、俺たちはロナバールの城壁の上から二人の戦いを見物していた。
そこには俺たち青き薔薇のメンバー全員と、それ以外に他の審判の騎士や知り合いの上級組合員などがいて、場合によってはいつでも助けられるように準備をしていたのだ。
しかしエトワールさんが必殺技を出して大勢が決したのを見て、オレンジ色の鎧を着ているマックスさんが呟いた。
「あ~こりゃ、終わったな!」
「そうだね、アレをやられたら相手もひとたまりもないでしょ?」
俺がうなずいて同意すると、ミルキイやアンジュたちも同意する。
「もう私たちの出番はありませんね?」
「そうですね、これで終わりです」
「な~んだ!つまらないな!」」
ライラは自分の出番が無くつまらなそうだ。
さらに近くにいたマギアマッスルさんと男爵仮面、それに伯爵仮面ことジョルジュが同じく話す。
「ほう?あれが噂の必殺技、エトワールサーティワンですか?
確かに凄い!」
「うむ、見事なものだ」
「ああ、そうだな」
「ええ、素晴らしい技です」
伯爵仮面の横にいた伯爵仮面2号も賛同する。
俺たちが見ている間にもエトワールさんの分身たちは相手の男に肉迫する!
男は戦闘タロスを次々に出すが、所詮は通常の戦闘タロスだ。
エトワールさんの出したレベル200を超える上級タロスが相手では話にならない。
しかも審判の騎士の試合の時は平服だったが、今回は剣と盾をフル装備のエトワールさんが31人もいるのだ!
あの時より多少レベルも上がっている上で、審判の騎士の完全装備と同じ格好をしている上級タロスに、通常の戦闘タロスが敵う訳がない!
男は見る見る間に自分のタロスを蹴散らされた上で、エトワールさんに囲まれてボコボコにされる。
「うっぎゃ~~っ!!」
ついに絶叫を上げて男がやられる。
勝負はついた。
相手が気絶した時点で、その戦闘タロスの動きは鈍くなり、やがて完全に壊滅する。
エトワールさんは気絶した相手の襟首を掴み蔦状タロスで縛り上げると、ロナバールの魔法協会へ向かってズルズルと引きずり始めた。
さらにこの様子は映像ジャベックでロナバールの魔法協会本部前の広場で生中継をされていた!
ロナバールの住民たちは自分たちの街の防衛の事だし、噂の審判の魔女の初陣と知って誰もが見たがって、広場は大騒ぎだった!
大型映像板に映ったエトワールさんを見て、住民たちが感心して話し合う。
「スッゲー!あれが審判の魔女か!」
「おう!俺はお披露目の時に見たぜ!」
「あの真っ赤な制服を着ている人は誰だ?」
「あれは以前、魔法協会の受付をしていたシルビアさんだ!」
「えっ?あのシルビアさん?」
「そう言えば、あの人最近全然受付で見なかったけど、どうしていたの?」
「俺、あの人に憧れてたんだよね~」
「シルビアさんは運悪く奴隷になったけど、青き薔薇の団長に助けられて今ではその一員だよ!」
「え?そうなんだ?」
「ああ、それで今回は親友のエトワールさんがピンチなんで助けに来たのさ!」
「く~っ!女の友情か!かっこいい~!痺れる~っ!」
観客たちがそうこう騒いでいる内に戦いは最終局面となる。
「あれ?エトワールさんの動きが止まったぞ?」
「なんかシルビアさん一人で戦っているな?」
「なんでだ?」
「あっ!見ろ!いきなりエトワールさんが増えたぞ?」
「凄い!まるで分身の魔法みたいだ!」
「あれは一体なんだ?」
ここでそこにいた鯰髭の男が唸る。
「ぬうっ!あれは・・・!」
「知っているのか?ライデーン!」
「あれこそは審判の騎士の席次を決める時に見せたと言われる幻の必殺技「エトワール・サーティワン」!
上級タロスで己の分身を作りだし、31人で同時に相手を攻撃するという、恐るべき技・・・
聞いた話によれば、たとえ天賢者といえどもあの技を繰り出すのは困難と言う話!
まさか実際にこの目で見る日がこようとは・・・」
「なに~っ!そんな技があるのか~っ!」
「ふっ!恐るべき技だな!」
その頃、現場の映像ジャベックを操作していたボロネッソ、カリーナ、イルーゼの3人は大忙しだった!
3人はエトワールさんと本部長に頼まれて映像中継の仕事をしていたのだ!
「ああっ!だめよ!カリーナ!そこは1カメよ!」
「いいえ、ここは4カメです!」
「ほら!シルビアが時間稼ぎを始めて、エトワールが詠唱に入ったわよ!
1分後にアレが来るわよ!
エトワールの正面!5カメ用意して!イルーゼ!
失敗したら後でエトワールに怒られるわよ!」
「大丈夫です!任せてください!ボロネッソ先輩!」
「ああ!全く!こんな大変な仕事、引き受けるんじゃなかったわ!」
「だめですよ!先輩!
審判の騎士の命令なんですから逆らえませんよ!」
「あ~もうっ!誰よ!あの娘にこんな権限を持たせたの!」
「コールドウェル本部長です!」
「これは後で絶対にフルーツパフェ驕り案件ね!」
「どっちにですか?」
「エトワールと本部長両方によ!」
「賛成です!私はプリンアラモードにします!」
「私はチョコパフェです!」
「ええ、そのために頑張るのよ!」
3人は頑張った!
そしてその結果、映像中継は大受けだった!
拘束した自称魔王を二人が町の中へ連れてくる。
凱旋してくるエトワールさんとシルビアがロナバールの門をくぐって、民衆に拍手で迎えられた所で映像は終わった。
次の日、瓦版では二人の様子がデカデカと記事になり、それは大いに町をにぎわした!
「審判の魔女、初陣なる!」
「桃色の魔女と真紅の魔道士の最強コンビ!その名はスカーレットピンク!」
「絶対無敵!スカーレットピンク!」
「ロナバールの防衛は君たちに任せた!最強コンビの誕生!」
などなど、初仕事でエトワールさんはロナバールの住民たちの脳裏に完全に刷り込まれた!
赤と桃色の派手な姿の「スカーレットピンク」の名は一気にロナバールの町中に広まったのだった!
そしてその頃、俺は並行してミヒャエルに頼まれたある案件を進めていた。
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