0611 審判の騎士エトワールの初出撃!
エトワールさんが審判の騎士を拝命して数日後、早くも初仕事が出来た。
ロナバールの防衛だ!
何でもロナバールの総督閣下であるミヒャエルの下に脅迫状が届いたと言うのだ。
その脅迫状曰く
‘あの日の事は忘れない!必ず復讐してやる!
来る○月×日、私の最強軍団がロナバールを襲うであろう!
そしてロナバールを壊滅させた私はそこを根拠として魔王を名乗るのだ!‘
と書いてあったそうだ。
ミヒャエルは直ちに魔法協会に相談し、コールドウェル本部長は審判の騎士であるエトワールさんを呼んで、その初仕事としたのだ。
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「私・・・ですか?」
本部長室に呼び出されたエトワールはキョトンとした表情でコールドウェル本部長に尋ねた。
「うむ、君に頼む」
「相手はロナバールを襲撃すると言っているのに、たった一人の審判の騎士に迎撃させるんですか?
しかも新参の?」
「その通りだ」
「他の審判の騎士の人たちは?」
「君より上位の者たちはちょうど出払っていてね。
相手の規模、能力などを考慮した結果、君に迎撃を頼む事となった」
「私一人で大丈夫なんですか?」
「ああ、調査の結果、この脅迫状の主を特定する事が出来た。
そしてその能力と状況を考慮した結果、君、及び君が頼れる伝手で十分対処可能と言う結果が出たのだ。
そしてこれは少々君が絡んでいた件でもあったのでね?
そこで君に頼む事にしたのだ」
ロナバールを襲う脅迫状と自分に絡みがあると聞いてエトワールは驚いた。
「私が?一体どういう絡みがあるんですか?」
「うむ、実はこちらの調査の結果、この脅迫状を送って来た人物は数年前のゴーレム大会で騒ぎを起こした者だとわかったのだ」
「え?ゴーレム大会で?」
「ああ、君が準優勝した時に表彰式で騒ぎを起こした奴がいただろう?」
「ああ、そんなのがいましたね?」
コールドウェル本部長に言われてエトワールもそれを思い出していた。
「そいつは強制労働を食らっていたのだが、逃げ出して数年潜伏していて、今回その恨みを晴らすために、まずはロナバールを襲うと言っているのだ。
その中には自分を襲った、あの大会に参加していた魔法使いへの復讐も兼ねているらしい。
君もその中の一人と言う訳だ」
「なるほど・・・」
確かにあの時表彰式にいたエトワールはその相手に対して攻撃を加えた。
恨みがあると言えばあるだろう。
例えそれが逆恨みだとしても・・・
その件は一応エトワールは納得した。
「承知しました。
それで迎撃方法は?」
「ロナバールの町の外で迎撃してくれればそれでいい。
もちろん当日、交通規制はして人払いは完全にしておく。
迎撃の人員などは君の裁量で好きにしてくれ。
うちの職員を使うもよし、君の伝手で民間から援助を乞うも良しだ」
そう笑顔で話す本部長にエトワールは怪訝な顔で尋ねる。
「・・・私に迎撃を担当させるという事は、民間から援助を乞う気満々ですね?」
「さあな?それは任せるよ。
どこかの青い服を着た戦団でも、子爵様でも天賢者でも好きに要請してくれ。
必要な経費があれば、もちろんこちらで支払う」
「子爵様に天賢者って・・・!もう援助する人、そっちで決定じゃないですか!」
「いやいや、あくまで君の裁量に任せるよ?
メッソン君」
エトワールはかつては同じ戦闘法務官であった、青き薔薇の一員であるシルビアと親友で今でも縁は深い。
しかも天賢者であるエレノア・グリーンリーフの内弟子でもあり、他の天賢者であるシノブ・ホウジョウ子爵や魔人アンジュ・サフィールとも付き合いがある。
彼女が頼めば青き薔薇の面々は必ず協力してくれるだろう。
その面々で迎撃するならば、まず負ける事はあり得ない。
魔法協会ロナバール本部もそれを考慮してエトワール一人に迎撃を担当させようとしているのは見え見えだった。
それを知ったエトワールはため息をついて答えた。
「承知しました。謹んでこの件は承ります」
「うむ、よろしく頼む」
本部長室を出たエトワールは、まずは親友であるシルビアと連絡を取った。
たまたまその時はロナバールにシノブたちがいたのでちょうど良かったのだ。
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うちにやってきたエトワールさんが脅迫状の件を俺たちに説明をする。
「そういう訳で私がその魔王の残党みたいのを迎撃する事になったのよ!
しかもたった一人でよ!」
「そりゃ大変だねぇ?」
俺は他人事のように聞き流す。
まあ、実際に他人事なのだが・・・
しかしここぞとばかりにエトワールさんが食いついてくる。
「でしょう?そこでシノブさんに頼みがあるのよ!」
「まあ、大体想像はつくけど、何?」
「シルビアを貸して欲しいのよ!」
「それは構わないけど・・・シルビアだけでいいの?
何だったらうちの全員で迎撃してもいいよ?
僕やエレノアも含めてね?」
「そりゃもちろんそれなら万全だけど、それだとまるで私がシノブさんとこの単なる伝言役みたいで悔しいじゃない?
一応これでも私は審判の騎士なんだから!
だからシルビアと二人だけで迎撃したいのよ!
シルビアなら元うちの職員だから私の面子も立つしね!」
「なるほど、うちは別にいいけど?
ねえ?シルビア?構わないよね?」
「ええ、もちろん構いません」
「良かった!じゃあシルビア、よろしくね!」
「ええ、わかったわ。
でも格好はどうしましょう?」
「え?恰好?」
「ええ、この件は私が個人的に受けるという形になるでしょうから青き薔薇の制服を着るのもおかしいですし、かと言って、まさか戦闘法務官の服を着る訳にもいかないでしょう?
それ以外の戦闘装備となると・・・」
そう言えばそうか?
考え込むシルビアに俺がふと思い出してある提案をする。
「ああ、それなら例のあの服を着ればいいじゃないか!」
「やはりアレですか?」
「うん、アレなら真っ赤な服だし、エトワールさんはもちろん例のピンクの戦闘服で迎撃をするんでしょ?」
「ええ、もちろんそうよ?
審判の騎士として迎撃する訳だしね」
俺はそれを聞いてうなずくと、シルビアを促す。
「じゃあ、アレでいいじゃないか!
真紅と桃色の組み合わせで格好いいと思うよ!」
「そうですね?そうしましょう」
「何々?何か良い戦闘服があるの?」
「ああ、青き薔薇の制服の予備を作った時についでに作った服でね。
おもしろいのがあるんだ」
「わかったわ、じゃあシルビア、よろしくね」
「ええ、わかったわ」
そしてエトワールさんとシルビアの二人でその脅迫状の相手を迎撃する事になったのだった!
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