0604 ギルバート組 対 三馬鹿組
俺とミルキィは組合に用意されていた部屋へたどり着くと、すぐさまそれまで着ていた囮捜査用の金持ち坊ちゃん嬢ちゃん風の服からマギアサッコから出した「青き薔薇」の制服へと着替えて、即座にデパーチャーへと戻った。
もちろん首からは俺はハイ・オリハルコン等級の登録証、ミルキィはハイ・アレナック等級の登録証を下げている。
念のために俺は魔法学士章を、ミルキィは魔道士章をそれぞれの制服につけておいた。
デパーチャーへ戻った俺たちはギルバートたちと三馬鹿に笑顔で挨拶をする。
「やあ、待たせたね?諸君!」
その俺たちの姿を見た三馬鹿たちは思わず飲んでいた飲み物を盛大に「ブフォ~ッ!」と噴き出していた!
「な、な、な・・・」
驚く三馬鹿たちに俺は改めて挨拶をする。
「改めて自己紹介をさせてもらおう!
私は青き薔薇の団長、シノブ・ホウジョウだ。
組合の等級は御覧の通り、ハイ・オリハルコン等級だ。
よろしくな!」
「同じく団長補佐のミルキィ・ハーベイです。
等級はハイ・アレナック等級」
俺とミルキィの自己紹介に三馬鹿は慌てふためく。
「ブ・ブ・ブ・ブルア・ローゾだと?
しかもハイ・オリハルコンにハイ・アレナック?」
「あれは噂だけで実在しない戦団だったはずじゃ」
「そもそも俺たちは組合員になって3年以上、一度も見た事がないぞ?」
驚く三馬鹿に俺は淡々と答える。
「君たちが何を勝手に勘違いしているのかしらんが、青き薔薇はれっきとした実在する戦団だし、団長である私はこうして目の前にいるぞ!」
「ええ、団長補佐の私もです」
俺とミルキィの自己紹介に三馬鹿は相当驚いた様子だ。
「そ、そんな・・・」
「どうなっているんだ?」
「こんな・・・」
驚く連中を無視して俺は話を進める。
「さて、諸君は先ほど我々が4級以上の組合員になったら審判として認めると言っていたな?」
「そ、それは・・・」
言葉を失う三馬鹿リーダーに俺は追求をする。
「まさかつい先ほどの事を忘れたとは言わせないぞ?
もし我々を審判として認めないと言うのであれば、御覧の通り、私はハイ・オリハルコン等級だ。
虚偽放言と言う事で、特級権限で君たちを処罰する事になるがそれで良いな?」
「しょ、処罰?いえ、是非審判をお願いします」
「そうか、ではとっとと食事をしてくれたまえ!
私もそう暇ではないのでね。
早く君たちの勝負を見たい」
「は、はい」
そう言うと三馬鹿たちは慌てて食事をし始める。
その間に俺たちはギルバートたちと話す。
「こうしてこの姿で君たちと話すのは初めてだね?」
「はい、私たちもホウジョウ様とこうしてお会いできて嬉しいです!」
「ええ、憧れの青き薔薇の団長と直接話が出来るなんて夢みたいです!」
「そうか」
そうこうしているうちに三馬鹿が食事を終える。
「終わりました!」
「では闘技場の方へ行くか?」
「はい!」
そして俺たちは組合の闘技場へと向かう。
幸いな事に闘技場は空いていたので、早速勝負をさせる事にした。
「さて、さすがに6対3はかわいそうだからな。
公平に3対3の勝負にしようと思うがどうかね?」
俺の質問にギルバートたちは同意する。
「ええ、我々は構いませんよ」
「こちらもそれで良い」
双方共に問題はないようなので、俺はギルバート六人組に尋ねる。
「なるほど、ではギルバート君たちはどの3人が出るかね?」
「そちらの希望で構いません」
「そうか、ではそちらのええと・・・君の名前は何だったかな?」
俺も昔聞いた記憶はあるのだが、すっかり忘れている。
俺の質問に例によってこいつは得意げに答える。
「俺の名前はリアム!
将来組合を背負って立つ男だ!
覚えておいてもらおう!」
「俺の名前は・・・」
残りの二人も名乗ろうとするが、俺はそれを途中でさえぎる。
「ああ、残りの二人はどうでも良いから、リアム君、早く対戦相手3人を選びたまえ」
「わかった、少々相談をしたい」
「ああ、手早くな」
三馬鹿は相談を始めた。
しかし少々もめているようだ。
「そんな!リーダー!」
「それはちょっと・・・」
「やかましい!」
などと言ってるのが聞こえるが、どうやら相談は終わったようだ。
「決まった、そちらの娘、3人と勝負させてもらおう」
どうやら俺の予想通りだ。
それを聞いて俺は笑いながらギルバートたちに尋ねた。
「そうか、ギルバート君たちもそれで構わないな?」
「もちろんです。
デボラ、アンナ、ハンナ、それで良いな?」
「ああ、もちろん俺は構わないぜ!」
「私たちだってそうだよ!」
「その通り!」
「では双方3人とも装備は木剣と木の盾にしてこちらへ来たまえ」
俺の言葉にしたがって、三馬鹿とギルバート組の女子3人が闘技場に用意してあった木剣を持って並ぶ。
盾も競技用の木の盾だ。
そのギルバート組の3人娘を見て俺はふと不思議に思った。
あれ?そう言えば双子の方はともかく、ギルバート組のもう一人って女子だっけ?
確か昔見た時は4人とも男子だったような記憶があるんだけど・・・
でもこのデボラって娘の顔には見覚えがあるし、もしかして女子だったのか!
てっきり今まで男子だと思っていたよ!
すまん!
俺は心の中でデボラに詫びると、気を取り直して審判役を始める。
まずは出来るだけたくさんの人たちにこの試合の証人となってもらうために、ここにいる人々にアピールだ!
「さて、ここにいる人々、特に組合員の諸君!
私は「青き薔薇」の団長、シノブ・ホウジョウだ!
故あって、今ここにいるギルバート君とリアム君の率いる組の勝負を見届ける事となった!
この二組は双方とも六級ではあるが、私の見立てではギルバート組の諸君の方がはるかに実力が上だと意見した所、リアム組はそれを不服としたので、実際に勝負をする事となったのだ。
そこで私がその勝負の審判をつとめる事となった!
双方とも尋常に勝負をお願いしたい!」
俺が闘技場全体に聞こえるような大声で試合の説明をしたので、興味を持った連中が俺たちの周囲に集まってくる。
「なんだ、なんだ?」
「青き薔薇が何をするって?」
「何かの試合の審判をするらしいぞ?」
「ほう!あれが青き薔薇の団長なのか?
初めて見たぜ!」
「ああ、俺もだ」
「何だかわからんが、面白そうだな」
そしてその俺の状況説明にリアムが愕然として声を上げる。
「な!それは・・・」
「どうしたのかね?リアム君?今の私の説明に何か間違いや不服でもあるのかね?
何か意見があるのであれば今はっきりと言い給え!」
「いや・・・ない」
俺は微妙に話を変えているとはいえ、事実を言っているのだ。
もちろん反論する事は出来ない。
「では異論もないようなので、勝負を始める。
御互いに相手を戦闘不能にするか、負けを認めさせれば勝ちだ。
魔法ももちろん使用可能だ。
この勝負で負けた方が素直に相手の実力を認める。
それで良いな?」
「「「 はい 」」」
「もちろんそれで構わない」
双方が納得したので俺は勝負を始めさせる。
「それでは始め!」
俺の戦闘開始の合図と共に、ギルバート組の3人は即座に攻勢に出る!
そして持っていた木剣で、まずは相手の木剣と盾を叩き落とし、相手の無防備な腕や足を徹底的に叩く!
もちろんキャサリンのような愚か者ではないので、ちゃんと木剣である事を考えて攻撃をしている。
それでも30以上もレベル差がある相手に叩かれてはたまらない!
そもそもこの戦いは実質三級と六級の争いのような物なのだ!
勝ち目のない三馬鹿たちは悲鳴を上げて逃げ回る!
「うぎゃ~!」
「こ、こんな!」
しかし流石にリーダー格のリアムだけはわずかな隙を突いて相手に魔法を仕掛ける。
「フ、フラーモ!」
だが、悲しいかなその火炎呪文は、それを予期していたデボラの盾の前に張られた魔法防御によって弾き飛ばされる!
「なっ!」
驚くリアムにあっという間にデボラが詰め寄り、木剣で叩きのめすのでたまらない。
双子はそれぞれの相手を同じように叩きのめしている。
すでに三馬鹿は木剣も盾も失い、ぼこられ放題だ!
それでも降参はしないようだ。
ある程度倒れている相手を叩きのめすと、相手からは目を離さずにデボラが俺に聞いてくる。
「どうしますか?
これで戦闘不能という事にしますか?」
「それは相手に聞いてみてくれ」
ここで俺が下手な判定をして、三馬鹿どもに後で自分たちはまだ負けを認めていなかったのに、勝手に負けと判定されたなどと馬鹿な言い訳をされてはたまらない。
それに武器を失ったとはいえ、こいつらはまだ魔法を使えるはずだ。
俺は当然の事ながら相手がまだ誰も気絶もしていないので、負け判定をしない。
そこでデボラが相手に負けを認めるか問いかける。
「はい、おい!どうだ!お前たち!負けを認めるか?」
しかし相手は答えない。
どうやら負けを認めたくないようだ。
この頃になると観客もある程度集まってきているので、尚更負けを認めたくないのかも知れない。
だがもちろんそんな事は勝負には関係ない。
そこで俺はデボラたちを促す。
「ならば続行だ!」
「はい!」
俺の指示に従い、3人はすでに転がってほとんど無抵抗な三馬鹿を再び木剣でガスガスと叩き始める!
ここまで凄まじい勢いでやられると、レベル差もあって、相手は魔法を使う隙もない。
何だか少々弱い者イジメで哀れな気もするが、本人たちが負けを認めないのだから仕方がない。
しかしさすがにもはや限界が来たようだ。
「わ、わかった!俺の負けだ!」
「俺も認める!負けだ!」
「俺もだ!」
相手が負けを認めたのでようやく試合終了だ。
デボラたちも木剣を引く。
「よし、これにて試合終了!
勝者はギルバート組だ!」
俺のその判定にギルバート組の6人が嬉しそうに声を上げる。
「やった!」
それを見ていた少なくない観客たちからも歓声や拍手が湧く。
「さて、そちらの3人組、これでギルバート君たちの実力は自分たちよりも上だと認めるな?」
「うう・・はい」
「認めます」
「私もです」
いやいやながらも三馬鹿は実力の差も認めたようだ。
そして俺は三馬鹿たちに釘を刺す事にした。
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