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17.作戦会議①



結論から言うと、活動場所の確保はすぐにできた。

適当に記載した活動計画を持って学生会室に直接尋ねたところ、お兄様がすぐにハンコを押してくれた。学園の広さに対して、部活動や研究会が少ないから活動可能な教室がかなり余っているらしい。


「問題なのは一緒に活動できる人間かどうかの裏取りなのよ。大事なことは先に言ってくださらないと、リリィ」


割り当てられた魔法実験棟の空き教室の一室で、私が淹れた紅茶を飲みながらブーブーと文句を言うのはコレットだ。活動場所を見つけるのと同時くらいに、コレットは何人かめぼしいと思う女生徒をピックアップしてきた。そのリストをみながら、写真を複写するときに私の千里眼のスキルを使うから、口が硬い人物がいいと追加で要望を言ったところ、彼女が怒った。特殊なスキルを持ってるのであれば、それなりに気を使わないと危ないのだから先に言えと。


「なぜ隠し撮りなのか、あのとききちんと突っ込むべきでした。千里眼のスキルで撮っていたなんて、貴女のスキルの悪用しないかどうかきちんと身元と人柄を確認しなくては」


社交界デビューもしておらず、スキルを他家にも公開していないのだから、特殊なスキルは慎重に扱え、とぷりぷり怒る彼女は、まるで家族が私のことを心配してくれるかのようでくすぐったい気持ちだ。


「商売に使わないから言わないけれど、他にも特殊なスキルを持っているって言ったら、コレットはますます怒りそうだわ」

「……本気で言ってるの?」

「時が来たら、我が家に招待するわ。さすがに学内でプライベートなことを話す気にはなれないから」


冗談めかしてそう伝えれば、コレットは困ったように眉を寄せた。困らせたいわけじゃないのだけれど。どうやら私は昔から思い切りが良い性格のようで、見切り発車してはお父様やお兄様に似たような顔をされることが多々ある。そういえば、最初にアルノルト様と結婚したいと伝えた時のお父様も似たような顔をしていた。


「侯爵令嬢なのだから危機管理はきちんとしていると思うけれど、本当に気をつけてね。リリィ」

「もちろんよ。……ところで、今後の相談をしたいのだけれど」


テーブルの上に手帳を開くと、彼女も紅茶を飲みながら、テーブルを覗き込んだ。はしたないけれど、二人しかいないのだから特に気にはしない。


「複写スキル持ちを引き入れられたら、早速だけれど、学内で小さく試してみようと思っているの」

「リリィの千里眼スキルを使えば、パターンを作るのは大変ではないですね。被写体は誰にするつもりで考えてますか?」

「まずは、お兄様かしらね。次いで、シルヴィエお兄様も考えているわ」


二人とも身内で、私の能力自体も知っているので、交渉もしやすいだろう。しかも、二人とも家柄もよく優秀だからこそ、女学生に人気があるのは入学前から知っているのだ。


「お二人であれば、学内で試すのにも問題なさそうですね。リリィの愛しのアルノルト様はよろしいのですか?」

「うーん、考えてみたのだけれど、お試しということだと難しそうなのよね。お兄様とシルヴィエお兄様であれば、家が現王派であることが明らかだから、例えばこのことが話題に上がったとしても煩くは言われないと思うのだけれど」


目の前の彼女が、私の手帳にアルノルトと勝手に書き込んでから、私の顔色を伺った。最初からアルノルト様のもとにお金が入るように被写体にと考えたのだが、学内でお試しするには向いてないという結論に気付いてしまったのだ。


「確かにそうですね。肖像写真を売りにすると言うことは、個人に人気が集まるから、下手に力をつけると謀反を疑われる恐れがあるのか」


勝手に書き込んだ名前を、また勝手に二重線で消した。


「商会を立ち上げてから、きちんと冒険者ギルドを通してお金の流れをはっきりさせてからの方が無難そうですね」

「えぇ、それに絡めてなのだけれど、お兄様たちで軌道に乗ったら、殿下に声をかけようと思っているの」


驚いたように目を開いて、伝手がおありで?と聞いてきたので、紅茶を飲みながら頷く。私がやりたいことは、女性とアルノルト様のためになる商会を立ち上げることだが、治世が乱れる世の中で、目立つものはいろんな敵意に晒される。最初から王派であることを対外的にアピールしていけば、お金が集まったとしても謀反が疑われることはないだろう。


「必要なら陛下にも許可を取るわ。商会を立ち上げるにあたって私は独立を目指すけれど、独立しても王派であることをアピールするつもり」

「デビューしていなくとも貴族社会で育ってきた貴女は見えてる世界が違いますねぇ」

「独立するのが目標だけれど、ベヒトルスハイム侯爵令嬢としての立ち振る舞いが求められるから仕方がないのよ。そう言う部分は私が受け持つけれど、商売に関しては貴女を頼りにしているわ」


コレットは、私の手帳の空きスペースに『殿下』と小さく付け足した。どのみち殿下に声をかけるには、肖像写真販売がうまくいく見通しが経ってからだ。





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