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復讐は竜の味  作者: 猫殿
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歓迎会Ⅱ

「、、たいちょー?」


  彼の手は大きくて、ガサガサで、暖かった。肩の力が抜け、体が酸素を求め深く深呼吸をする。気づかないうちに息を詰めていたようだ。


「たいちょー。手退けてください。気持ち悪いっすよ」


  自分が心配されているとは露ほども思わず、俺と同じように下を向いている隊長の顔を覗いた。



「、、何れそんな辛そうな顔をするんだ」



「はい?」


「辛そうな顔をしてただろう」


「あー、、その、ちょっと腹が痛くてですね、、もう治りました」


「辛いことがあれば俺に言え。協力しれやるから」


  呂律が怪しい。相当酔っているようだ。明日からかってやろう。


「分かりました。分かりましたから、今日はもう帰りましょう?たいちょー相当酔ってますよ」


「本当に分かったのかぁっ!!!!」


「ちょっ、いきなり叫ばないでください、びっくりするじゃないっすか!」


 もう話が通じているかさえ怪しい。無理やりにでも引っ張っていくか。


 そう思い、彼の手を引くと、逆にグイッと腕を掴まれた。


「は?、、、」


  気づくと俺は隊長の腕の中にいた。彼の方が数倍大きいので、圧殺されそうだ。酔っているので力加減も出来ていない。


「自分一人で抱え込むな!俺がついてるぞ!」


 骨が折れそうな程の強さで抱きしめられながらそんなことを言われても、何も有難くない!!


「た、たいちょ、ギブ、、ギブっ!しぬぅ、、っ」



 背中を必死にタップすると、腕の力が少し弱まった。隊長の顔を見ると、少し涙目だ。嘘だろ。



「たいちょーもう分かったから離してください〜暑苦しいっす〜酒臭いっす〜」



  他の隊員は俺たちを見て楽しんでいるようだ。


「おー、羨ましいな〜仲良しなことで〜」



「そこまで気に入られる事はなかなかないぞ」


  ニヤニヤして野次を飛ばしてくる先輩方を睨みつける。


「見てないで助けろよ!!!!」


 半ばキレ気味で叫ぶと隊員達がやっと助けてくれた。俺と隊長をバリッと引き剥がす。


「いやー、こんなに気に入られたのはアランが初めてだな!さっすがぁ!」


  何で嬉しそうなんだ。


「酔った勢いでしょう。ハァ、、もう疲れました。今日はここらへんでお暇します。たいちょーをよろしく」


 隊長の後始末を先輩隊員たちに任せ、気力も体力も使い果たした俺は家路に着いた。と言っても寮制なので皆んな帰る場所は同じだが。




***



「たいちょー、手合わせお願いしまーす!」


  訓練場でベンチに座っていた隊長に声をかける。



 隣が空いていたので、座って声をかけるが、反応が無い。


「たいちょー?2日酔いっすか?」


「あぁ、頭が割れるように痛い、、昨日の記憶も曖昧だ、、、」


 あんなに抱きついといて覚えていないのかこの人は。こっちは骨が折れるかと思ったんだぞ。


「じゃあ覚えてないんですね、、あんなに激しくされて、俺はまだ体が痛いってのに」



「なっ!!!?」


 驚きで顔をバッとあげたが、頭が痛かったのか、眉間にシワが寄った。面白い。


「俺は、、俺とお前は、、?、何を、、」


 何かぶつぶつ言っているが、本当に覚えていないようだ。


「嘘っすよ。なんかいきなり抱きついてきたんです。俺がついてるぞーとか何とか言って。たいちょーって飲むとああなんすね」


「ぼんやり思い出してきた、、いや、普通飲んでもああはならない、と言うか、お前が悲しそうな顔を、、、」


 何やらごにょごにょ言っているが、最後の方は聞き取れなかった。


 大きい犬がいる。耳が垂れているのが見えてきそうだ。


「まぁ、気にしてないんで、訓練しましょ!日が暮れちゃいますよ!」


  ベンチからぴょんと立ち上がり、猫背でブツブツ言っている隊長の腕を引いた。



 今日もあいつを殺すための訓練を始めよう。



***



  訓練場の裏手に、小さい丘がある。開けていて遠くの景色まで見えるので、私の密かなお気に入りスポットだ。


 訓練を終えると、相棒のアローと一緒に頻繁にここに来ている。


「今日もお疲れ様、アロー。」


 地面に座り、横に寝ているアローの頭を撫でる。ウルルルルと鳴いて気持ちよさそうに目を細める表情が何ともいえず可愛い。



「歓迎会楽しかったなぁ。皆んな優しくしてくれて。隊長も良くしてくれるし」



 胸に下げているドラゴンの鱗を握った。常に肌身離さず持っているが、体の熱は伝わらず、常にヒンヤリとしている。


 日々の生活が楽しくても、本来の目的を一瞬も忘れたことはない。


「皆んなとも出来るだけ深く関わらないようにしてるんだけどさ、なかなか難しいよね」


 アローの目を見るが、ワイバーンはドラゴンほど人間の言うことが分からない。


 もっと撫でて欲しそうな目でこちらを見上げるばかりだった。


「お前も、私の目的が終わったら自由にしてあげるから、少し我慢してて」


 顎の下を掻いてやり、立ち上がる。


「寝床に帰りな」


 そう声をかけ体を叩くと、アローは名残惜しそうにこちらを見て、翼を一振りし、

仲間たちが待つ厩舎に帰っていった。

アロー可愛い

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