討伐
相棒のアローの背中に乗り、何分経っただろうか、それほど長い間では無いと思うが、空の上は時間の流れがゆっくりらしい。上空で隊列を組み飛び始めてから、数分で経過時間が分からなくなってしまった。
季節は気づけば秋も半ばで、地上にいれば凍えることは無いが、上空となると風が吹き付け肌に刺さる。隊員たちは厚手の皮の制服を着ており、その上からも上着を羽織っている。が、寒いことには変わりなかった。
「トーマス、今回倒すのってどんなやつだっけ??」
たまたま隣に配置されたトーマスに大声で問いかける。これまであまり話したことは無かったが、さっき話した感じだと真面目なお人好し、という性格だろうか。
「お前そんな事も分からないで来たのか!隊長に怒られるぞ!」
「だって話長いと眠くならない?」
へへ、と苦笑いすると、トーマスは渋々と言った表情で説明を始めた。やはりお人好しだ。
「今回俺らが倒すのは、ウボーと言う猪に似た魔獣だ。体長は大きいもので3メートルはくだらないだろう、見るのは初めてか?」
「いや、見たことはあるよ」
俺が居た村を襲った魔獣の中にそいつらも混ざっていた。
一瞬思考が村に戻っていたが、頭を2、3度振り意識をトーマスとの会話に戻す。
「そいつらだけなら今回の初任務は楽勝だね〜俺らは空から援護するだけだけど」
「余裕綽々だな。相棒から落ちても知らんぞ」
「は〜い、気を付けますよ〜」
アランのキャラも相まってか、昔からの友達の様に話せた。特に他にすることも見つからず駄弁っていると、目的の場所に着いたようだ。
「各グループ毎に着地準備!!」
少し先を飛んでいたグループから順に、隊長の号令で着地を始めた。誘導部隊は基本滞空しての仕事になるが、移動の疲れを取るため、討伐を始める前に小休憩を取る。
「よし、行くか」
トーマスが先頭になり、グループ全体で高度を下げた。森との境目を目前にした平原には、もうすでに殆どの隊員が降り立ち整列を始めている。
柔らかな草はらだったため、特に大きな衝撃もなく着地した。草の感触が気持ちいいらしく、アローも機嫌が良い。寝っころがろうとするアローを引っ張り、アランたちも隊列に加わった。
「各隊点呼を取れ。問題が無ければそのまま休憩に入ってよし。10分後には討伐を始める!」
隊長の声を合図に、各隊で集まり、部隊長が点呼を取った。幸いなことに誰一人欠けることなく目的の場所までたどり着けたらしい。
10分でも休憩が貰えるのは有り難い。他の隊員の邪魔にならないようにアローと草はらをゴロゴロと転がった。空の上と比べると、暖かくて眠気を誘う温度だ。
「おい、そろそろ時間だぞ」
横になった状態で上を見上げると、トーマスが呆れ顔でこちらを覗いていた。
「うわ、もうそんな時間?やばいやばい」
慌てて立ち上がり、服に付いている草を払った。アローの体にも草が所々付いていたので、優しく払ってやる。
「よーし、頑張ろう!」
アランは、もう集合場所に向けて歩いていたトーマスの背中をバンっと叩き、意気揚々と追い抜いていった。
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今回の討伐では、魔獣がウボーの群れということで、俺たち誘導隊が討伐隊の居る場所へ魔獣を追い立て、討伐されたそれらを俺たちが運搬する、という形だ。
運搬先は街の中。魔獣の肉は意外と臭みがなく、討伐したものは依頼主が引き取り売ることも出来る。
「各隊所定の位置へ着け!」
隊長の一声で、誘導隊は空へと飛んだ。一斉に飛び立つので、地面の草が海面のように波打った。今回は陸上の魔獣討伐のため、討伐隊は今いる場所に待機し、逃げて来たものを狩ることになる。
誘導隊は、部隊長を先頭に森の奥へと飛んで行く。白鳥の渡りの様に、先頭の両斜め後ろに新人隊員たちが配置されている。この陣形は崩さないように飛ばなければならない。
森の中程まで来たところで、木が少なくなっている空き地にウボー達が群れているのを発見した。同時に部隊長は俺たちに、その場に滞空するよう指示をし、空に向かって合図となる硝煙弾を撃つ。
合図を確認した討伐隊からも硝煙弾が打ち上がり、討伐が開始した。
「陣形を保ちながら西の方向へ追い立てる!全体射撃用意!」
誘導隊は、魔獣を追い立てるために、着弾すると小規模だが爆発が起き、大きい音がなる弾を使っている。見た目は普通のライフル銃だ。
アランはアローの耳に掛かっている耳あての紐をギュッと締め直し、ゆっくりとライフルを構えた。
「撃てー!!」
部隊長の掛け声とほぼ同時に、隊員全員が発砲した。
ウボー達は真っ直ぐに討伐隊のいる、森と野原の境界線まで走って行く。上手く行けば一網打尽に出来そうだ。
隊列は取りこぼしがないよう慎重に、かつ魔獣の速さに追いつくように群れを追い立てていった。
説明文が多くなりました、、




