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復讐は竜の味  作者: 猫殿
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10/23

久しぶりの再会

 今日も元気よく訓練場に向かっていた俺は、廊下で兄に呼び掛けられた。


「ノ、、アラン。ちょっといいか」


 俺がワイバーン隊に入ってから、兄も忙しいらしく滅多に顔を合わせていなかった。よっぽどの用事があるのだろうか。


「どしたの?深刻そうな顔して」


「すまん。俺には抑えられなかった。後は任せた」


 そう言うと背中をぐいぐい押してくる。どこかの部屋まで行かせたいようだ。


「ちょ、俺これから訓練なんだけど!」


 せめてもの抵抗とばかりに叫んだが、聞き入れてもらえない。


「グレイ隊長には俺から話しておくから」


 そう言い残すと、廊下を曲がったところにあった部屋に押し込められた。


 背後でバタンとドアが閉まる。


「今日から特別個人訓練をやろうと思ってたのに、、、」


 1日のスケジュールが台無しになってしまった。そう肩を落としていると、ソファに座っていた人に声を掛けられた。


「ノラ、、、?」


 ここにいる人でその名前を呼ぶ奴はいない。と言うことは、、、


「ショーン!?、、何でこんなところに、、、」


 驚きすぎて声が裏返った。彼はソファから半ば腰を浮かせて、同様に驚きながらこちらを見つめていた。


「ノラ、、本当にノラなのか?髪もそんなに短く切って、、格好も男みたいじゃないか、、」


「人違いです。って言っても信じてくれないでしょ」

 

「そうだな、見た目が変わってもノラはノラだ」


 この人のこう言う所が好きで、嫌いだ。


「それで、何でここまで?まさか俺を連れ戻しにきた訳じゃないよね」


 そうボヤきながら彼の前に置いてあるソファに座った。


「今回来たのは、俺の結婚式とメイズの結婚式があるから、近くに来たついでに知らせようと思ったんだ。でも、俺もノラの家族も、ノラは街で働いて暮らしてるんだと思ってる。何で嘘なんかついたんだ?」


 そう、俺が家を出た時、皆んなには都心で暮らして行く、とだけ伝えた。家族からたまに来る手紙にも、街での順調な暮らしぶりを書いていた。


「ショーンには関係ないよ。自分で決めたことだから」


「あの団長がいる事は分かってて入ったんだよな?どういうつもりだ」


 ショーンはこうなると凄くしつこい。言い逃れは出来なさそうだ。


「たぶんショーンが想像してるので合ってるよ。でも、お父さんたちには言わないで、お願い」


「言うに決まってるだろ、街で働くのでさえ心配してるのに。、、、あの人にノラが敵うわけない。返り討ちにあって死んでもいいのか?」


「姉さんには結婚式行けなくてごめんって言っておいて。ショーンも、行けなくてごめん」


 それだけ言い残し、俺は部屋を出ようとした。


「ノラ!!復讐なんてやめろ。そんなことしたって、、あいつが帰ってくるわけじゃない。あいつも悲しむよ、、」


 背後で鼻をすする様な音がする。相変わらず優しい人だ。


「そうだよ。アミーは帰ってこないし、復讐は虚しいだけ」


 ショーンがソファからガタッと立ち上がる。


「っ、なら!こんなことやめて、家に」


「これはあの子の為じゃない!!私の為よ!!アミーを殺したあいつが憎い!!!この世の空気を吸ってるだけでも許せないの!!!」


 ショーンの言葉に被せる様に叫んだ。その場の空気が変わり、ピリピリと皮膚を突き刺す。ノラの目は血走っていて、睨まれたショーンはたじろいでしまった。


「、、叫んでごめん。でも、これは私、、俺の問題だから、誰にも関係ないし、迷惑もかけない」


「もう帰って」

 

 呆然としているショーンを部屋から追い出す。


「ノラ、君の意思は分かった。口出しもしない。けど、、死なないでくれよ」


 去り際そう言い残すと、肩を落としながら彼は去っていった。


「ごめんね、ショーン」


 もう彼には聞こえないと分かっていたが、小さくなって行く背中に声をかけた。

ご覧いただきありがとうございました!

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