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男爵家四男の辺境開拓記 ~不遇スキル《修繕》と《清掃》で、みんなの帰る場所を作ります~  作者: 和泉發仙
第二章 灰境

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50/53

消された名前

第二章 灰境


第50話 消された名前


前書き


記録とは、


過去を残すためのものです。


誰がいたのか。


何が起きたのか。


何を作ったのか。


けれど。


もし。


残されなかったのではなく。


誰かが、


意図して消したのだとしたら。


そこにはきっと、


忘れられなければならなかった理由があります。


⸻


 翌朝。


 灰境の村。


「……」


 ディートリヒは、宿代わりに使った空き家の前で立ち尽くしていた。


 目の前。


 アルフレッド。


 その横。


 セルマ。


 さらに。


 A―07。


 ガルド。


 ノエル。


 ヘルマン。


「多くないか?」


「何がです?」


「第一浄化施設へ行くだけだろう」


「そうです」


「なぜ領主本人まで来る」


「僕が管理者だから」


「なぜ負傷者まで来る」


 セルマ。


「私は見学です」


「杖をついているが」


「歩行許可はいただいております」


「誰から?」


「マルタ様から」


 遠く。


「村の中だけって言ったんだよ!」


 マルタ。


 怒鳴る。


「……」


 セルマ。


 静か。


 アルフレッドを見る。


「セルマ」


「はい」


「戻ろう」


「……はい」


「素直だな」


 ガルド。


「昨日、二人とも説教されたからな」


⸻


 セルマ。


 戻る。


 代わり。


 ミレナ。


 ローデン。


 合流。


 ディートリヒ。


「では」


「改めて」


「行こう」


「はい!」


 アルフレッド。


 歩き出す。


「走るな」


「走ってません!」


「今」


「走りかけた」


「歩幅が大きかっただけ!」


「十二歳の言い訳だな」


「十二歳です!」


⸻


 第一浄化施設。


 入口。


 地上。


 古い。


 点検口。


 ディートリヒ。


 しゃがむ。


 縁。


 触る。


「これは……」


「何?」


「建築様式が」


「王国の遺跡と違う」


 ミレナ。


 石。


 確認。


「接合材も」


「ほとんど劣化していません」


「少なくとも」


「現王国成立以前」


「何年前?」


 アルフレッド。


「断定できません」


「五百?」


「可能性はあります」


「千?」


「……否定できません」


「そんな昔!?」


「だから」


 ディートリヒ。


「古代遺構なんだ」


⸻


「エーナナ」


 アルフレッド。


「何年前に作られたか」


「分かる?」


『照会』


『施設建造記録――』


 少し。


 間。


『破損』


「そっか」


『最終完全保守記録』


『帝国暦――』


 音。


 乱れる。


『――年』


「聞こえなかった」


『記録領域損傷』


 ミレナ。


「帝国暦?」


 顔。


 変わる。


「どうしたの?」


「もう一度」


 A―07。


 見る。


「今」


「帝国暦と言いましたか?」


『肯定』


「どの帝国?」


『質問不明』


「国名です」


『――』


 雑音。


『統合――』


『――帝国』


『正式名称記録』


『損傷』


 ディートリヒ。


 ミレナ。


 視線。


 交わす。


「知ってる?」


 アルフレッド。


「いいえ」


 ミレナ。


「少なくとも」


「私が扱った王国史には」


「該当する帝国がありません」


⸻


 地下。


 降りる。


 ディートリヒたち。


 言葉。


 減る。


 壁。


 配管。


 水路。


 古代文字。


 青い。


 照明。


 部分的。


 点灯。


「これは……」


 ミレナ。


 何度目か。


 同じ。


 言葉。


「すごい?」


 アルフレッド。


「すごい、では済みません」


「王都に」


「これほど保存状態のいい施設は?」


「ありません」


「古代遺構そのものは」


「各地にあります」


「ですが」


「大半は」


「基礎」


「壁」


「壊れた装置」


「用途不明の部品」


「それだけ」


 壁。


 青い。


 線。


 光る。


「ここは」


「生きている」


⸻


『管理者』


 A―07。


『第一浄化施設』


『主区画』


『到着』


「うん」


『外部者』


『三名』


『未登録』


 ディートリヒ。


 止まる。


「……我々のことか」


「たぶん」


『施設内行動権限』


『付与要求』


「僕が?」


『肯定』


「どうすれば?」


『許可対象を指定』


 アルフレッド。


 三人。


 見る。


「ディートリヒさん」


「ミレナさん」


「ローデンさん」


「見学」


「調査」


「記録」


「許可します」


 少し。


 間。


『受諾』


『暫定調査権限』


『付与』


「簡単だな」


 ガルド。


「お前」


「本当に管理者なんだな」


「僕も」


「最近」


「そう思ってきた」


⸻


 主区画。


 巨大。


 円形室。


 中央。


 古い。


 操作盤。


 ディートリヒ。


 息。


 呑む。


「……これが」


「はい」


 ノエル。


「第一浄化施設」


「我々が発見した時点では」


「ほぼ停止していました」


「発見?」


「正確には」


「アルフレッド様が」


「水路の異常を追った結果」


「辿り着きました」


「そしてA―07が襲撃」


「待て」


 ディートリヒ。


「襲撃されたのか?」


「はい」


「それを」


「修理した?」


「その前に」


 アルフレッド。


「《清掃》した」


「なぜ?」


「菌糸が」


「入ってたから」


「……」


「森狼にも」


「同じのが」


「付いてた」


「……」


 ディートリヒ。


 額。


 押さえる。


「報告書より」


「酷いな」


「何が?」


「情報量だ」


⸻


「その菌糸」


 ミレナ。


「残っていますか?」


「焼いた」


 ガルド。


「全部?」


「その時はな」


「第四浄化塔なら」


 アルフレッド。


「いっぱいある」


「いっぱい!?」


「だから」


「今は行かない」


「……正しい判断です」


「よかった」


「専門家にも」


「褒められた」


「そこ喜ぶところか?」


⸻


 ディートリヒ。


 操作盤。


 近づく。


「触るなよ」


 ガルド。


「分かっている」


 覗く。


 文字。


 読む。


「古王国文字とは」


「やはり違う」


「似てるけど」


 ノエル。


「はい」


「こちらが」


「古王国文字より」


「古い可能性があります」


「逆では?」


 ミレナ。


 言う。


「古王国側が」


「これを模倣した可能性」


 沈黙。


「つまり」


 アルフレッド。


「この文字が」


「先?」


「仮説です」


「でも」


「あり得ます」


⸻


「エーナナ」


 アルフレッド。


「中央浄化中枢」


「表示できる?」


『可能』


 操作盤。


 青。


 灯る。


 立体。


 ではない。


 光。


 線。


 地図。


 浮かぶ。


 第一。


 第二。


 第三。


 第四。


 第五。


 そして。


 中央。


 大きな。


 円。


 ミレナ。


 息。


 止まる。


「……同じ」


「昨日の地図?」


「はい」


 革筒。


 開く。


 写本。


 広げる。


 二つ。


 比較。


 山。


 川。


 地形。


 微妙。


 変わっている。


 だが。


 明らか。


 同じ。


「第一」


「第二」


「第三」


「第四」


 ミレナ。


 指。


 追う。


「そして中央」


「位置が一致します」


「第五は?」


 アルフレッド。


 光。


 地図。


 見る。


「……」


 ミレナ。


 止まる。


「ない」


「写本には」


「やっぱり?」


「はい」


⸻


「エーナナ」


「第五浄化塔」


「どこ?」


『照会』


 地図。


 縮む。


 灰境。


 周囲。


 表示。


 第一。


 第二。


 第三。


 第四。


 だが。


 第五。


 ない。


「え?」


『第五浄化塔』


『位置情報――欠損』


『最終座標――』


 雑音。


『移動』


 全員。


 止まる。


「……今」


 ガルド。


「何て?」


『最終座標』


『移動』


「塔が?」


 アルフレッド。


「動くの?」


『質問』


『回答不能』


「建物だろ?」


 ヘルマン。


「普通は」


「動かねぇ」


「普通ならな」


 ガルド。


「この地下で」


「普通って言葉」


「もう使いたくねぇ」


⸻


「移動式施設」


 ディートリヒ。


 呟く。


「あるの?」


「伝承なら」


「古代文明には」


「都市そのものを」


「移動させたという話もある」


「おとぎ話です」


 ミレナ。


「昨日までは」


「そう思っていました」


「今日は?」


「……保留します」


⸻


「中央」


 アルフレッド。


 指す。


「ここ」


「名前」


「中央浄化中枢」


「うん」


「王国の地図では」


「消されてる」


 ミレナ。


「はい」


「どうして?」


「分かりません」


「エーナナ」


「中央浄化中枢って」


「何するところ?」


『五基の浄化塔』


『統括』


『水系制御』


『侵食監視』


『環境修復』


『管理者権限統合』


 ディートリヒ。


「環境修復?」


『肯定』


「水だけではない?」


『肯定』


「何を」


「修復する?」


『大気』


『水質』


『土壌』


『生態系』


 沈黙。


⸻


「……待って」


 アルフレッド。


「じゃあ」


「灰境が」


「灰色なのも」


「この施設が」


「壊れたから?」


『可能性――高』


 誰も。


 すぐ。


 話さない。


 ガルド。


 地下。


 天井。


 見る。


 地上。


 枯れた。


 木。


 灰色。


 土地。


 痩せた。


 畑。


 魔物。


 菌糸。


「おい」


 低い。


 声。


「それ」


「つまり」


「この土地」


「元々」


「こんなんじゃなかったってことか?」


『記録照会』


 地図。


 消える。


 別。


 表示。


 古い。


 画像。


 ぼやけている。


 しかし。


 見える。


 森。


 深い。


 緑。


 川。


 青い。


 平野。


 畑。


 そして。


 遠く。


 大きな。


 町。


「……」


 アルフレッド。


 口。


 開く。


「これ」


「灰境?」


『肯定』


「嘘」


 ノエル。


 初めて。


 記録。


 取る手。


 止まる。


⸻


 灰境。


 ではない。


 少なくとも。


 彼らが知る。


 灰境では。


 なかった。


 緑。


 水。


 人。


 建物。


 道。


 今。


 村。


 二十二人。


 だけ。


 暮らしていた。


 あの土地。


 そこに。


 かつて。


 巨大な。


 生活圏。


 存在していた。


「いつ?」


 アルフレッド。


『記録日時』


『帝国暦――』


 また。


 乱れる。


『中央中枢』


『正常稼働期』


「町の名前」


 ミレナ。


「分かりますか?」


『照会』


 文字。


 出る。


 だが。


 途中。


 消える。


『――ルヴァ――』


『記録破損』


「ルヴァ?」


「聞いたことない」


 ガルド。


 ディートリヒ。


 顔。


 険しい。


「俺もない」


⸻


「待て」


 ディートリヒ。


 写本。


 広げる。


 地図。


 端。


 小さな。


 文字。


「ここ」


 ミレナ。


 見る。


「……」


 擦れ。


 ほとんど。


 読めない。


 でも。


 文字。


 一部。


 残る。


「ル」


「ヴァ」


 アルフレッド。


「同じ?」


「可能性があります」


「この写本」


「どこから?」


「王立文書庫」


「原本は?」


「ありません」


「紛失?」


「いいえ」


 ミレナ。


 顔。


 上げる。


「焼却記録があります」


⸻


「焼いた?」


 アルフレッド。


「誰が?」


「分かりません」


「いつ?」


「王国成立から」


「約百三十年後」


「かなり昔です」


「理由は?」


「――禁制文書整理」


「それだけ」


「何で」


「地図を?」


「分かりません」


⸻


 A―07。


 青い。


 目。


 明滅。


『警告』


 全員。


 振り返る。


「何?」


『外部記録』


『照合』


『不整合』


「何と?」


『施設記録』


『王国記録』


『歴史情報』


『不一致率――高』


 ディートリヒ。


 ゆっくり。


 A―07。


 見る。


「それは」


「我々の記録が」


「間違っているという意味か?」


『判断不能』


『ただし』


『情報欠落』


『意図的改変可能性』


『検出』


 空気。


 冷える。


⸻


「機械にも」


「そう見えるのか」


 ガルド。


 ミレナ。


 写本。


 見る。


 中央。


 消された名前。


 第五。


 消えた塔。


 原本。


 焼却。


 歴史。


 存在しない帝国。


「ディートリヒ」


「分かっている」


「これは」


「普通の遺跡調査ではありません」


⸻


 アルフレッド。


 古い。


 灰境。


 画像。


 見る。


「……直せるかな」


 誰も。


 最初。


 意味。


 分からない。


「何を?」


 ガルド。


「灰境」


「お前」


「まさか」


「全部?」


「全部っていうか」


 アルフレッド。


 緑。


 土地。


 指す。


「ここまで」


「戻せるのかなって」


「……」


「アル坊」


「はい」


「お前の悪い癖が」


「今」


「とんでもなく」


「でかくなったぞ」


「でも」


「施設は」


「環境修復するためのものなんでしょう?」


「そうだが」


「だったら」


「五つ直して」


「中央も直したら」


「村の畑も」


「森も」


「水も」


「良くなるかもしれない」


「……」


「それなら」


 少年。


 古い。


 景色。


 見る。


「やる意味」


「あるよ」


⸻


 ディートリヒ。


 十二歳。


 少年。


 見る。


 危険。


 古代遺構。


 王都なら。


 封鎖。


 研究。


 管理。


 そう考える。


 だが。


 この少年。


 違う。


 遺跡。


 ではない。


 道具。


 でもない。


 この土地。


 暮らす。


 人。


 そのため。


 直そうとしている。


「アルフレッド殿」


「はい」


「一つ」


「約束してくれ」


「何ですか?」


「中央中枢には」


「まだ行くな」


「どうして?」


「王国の記録から」


「意図的に消された可能性がある」


「つまり」


「危険だから?」


「それもある」


「だが」


「もっと重要なのは」


「誰かが」


「そこへ辿り着いてほしくなかった」


「可能性がある」


⸻


 アルフレッド。


 考える。


「分かりました」


 ガルド。


 驚く。


「早いな」


「怖いから」


「素直でよろしい」


「でも」


 アルフレッド。


「五つの塔は」


「直す」


「……」


「そこは譲らねぇのか」


「だって」


「水」


「必要だもん」


「強い」


 ヘルマン。


「理由が強い」


⸻


 その日の。


 調査。


 終わる。


 地上。


 戻る。


 ディートリヒ。


 光。


 目。


 細める。


 灰色。


 森。


 荒れた。


 土地。


 崩れた。


 家。


 でも。


 地下で。


 見た。


 景色。


 重なる。


 緑。


 川。


 町。


「……同じ場所」


 ミレナ。


「信じられませんね」


「だが」


「同じだ」


⸻


 午後。


 第二浄化塔。


 三日目。


 今日は。


 調査官。


 来ない。


 C―12。


『管理者』


「はい」


『到着遅延』


「第一浄化施設に」


「行ってたの!」


『予定』


『午前八時』


「ごめんなさい!」


 ガルド。


「お前」


「機械に謝るの」


「板についてきたな」


⸻


 本日。


 伝達歯車。


 修理。


 壊れた。


 二枚。


 一枚。


 破片。


 全部。


 ある。


 もう一枚。


 半分。


 ない。


「一枚目」


 アルフレッド。


「《修繕》できる」


「二枚目」


 ヘルマン。


「材料必要」


『保管庫』


『同規格歯車』


『なし』


「また作る?」


『代替部材』


『候補検索』


 C―12。


 少し。


 沈黙。


『候補』


『B―03』


「……」


 全員。


 B―03。


 見る。


『何』


「ビーさん」


 アルフレッド。


「歯車」


「持ってる?」


『内部機構』


『複数』


「いや」


「取っちゃ駄目!」


『同意』


「危なかった」


 B―03。


『当機』


『分解拒否』


「ちゃんと嫌って言えるようになったね」


『学習』


⸻


『別候補』


 C―12。


『旧揚水機』


「それ」


「使ってない?」


『廃棄済』


「よし」


 ヘルマン。


 立つ。


「取りに行く」


「僕も」


「お前は」


「ここ」


「何で!」


「歯車」


「直す」


「あ」


「仕事あった」


⸻


 夕方。


 一枚目。


 復旧。


 二枚目。


 代替歯車。


 加工途中。


『第二浄化塔』


『回復率――31.2%』


「三十超えた!」


『肯定』


「あと七十!」


『単純計算』


『不適切』


「夢を壊さないで」


⸻


 そして。


 夜。


 調査官たち。


 空き家。


 ミレナ。


 昼。


 写した。


 施設文字。


 並べる。


「……」


「何か」


 ディートリヒ。


「分かったか」


「一つ」


「嫌なことが」


「またか」


「第五浄化塔」


「はい」


「施設側の表示では」


「位置情報欠損」


「最終座標――移動」


「そうだった」


「でも」


 紙。


 一枚。


 出す。


「A―07が」


「中央中枢を表示した時」


「一瞬」


「第五の接続線が」


「出ました」


「どこへ?」


「灰境の外です」


「どれくらい」


「分かりません」


「ただ」


「方向は」


 指。


 地図。


 動く。


 北。


 ではない。


 南。


 でもない。


 王都。


 でもない。


「西」


「はい」


「さらに」


「古い国境線を越えている」


⸻


「その先は」


 ローデン。


「今の王国領じゃないぞ」


「ええ」


「では」


「第五浄化塔は」


「国外?」


「それだけなら」


「まだいい」


 ミレナ。


 別。


 古い。


 地図。


 広げる。


「この場所」


 ディートリヒ。


 見る。


「……海?」


「現在は」


「そうです」


 沈黙。


「待て」


「第五浄化塔が」


「海にある?」


「違います」


 ミレナ。


「昔の地図では」


「ここに」


「陸地があります」


⸻


 ディートリヒ。


 顔。


 上げる。


「つまり」


「第五浄化塔が移動したのではなく」


「……」


「土地の方が」


「なくなった?」


「可能性の一つです」


 部屋。


 静か。


 なる。


 外。


 灰境。


 風。


 吹く。


⸻


 同じ頃。


 第一浄化施設。


 誰も。


 いない。


 操作盤。


 自動。


 起動。


『第二浄化塔』


『回復率――31.2%』


『管理網』


『部分再接続』


『旧地形情報』


『復元開始』


 地図。


 広がる。


 現在。


 海。


 場所。


 そこへ。


 古い。


 輪郭。


 浮かぶ。


 島。


 ではない。


 もっと。


 大きい。


 土地。


『第五浄化塔』


『最終固定座標』


『照合』


 表示。


 一瞬。


 止まる。


『座標領域』


『現存せず』


 さらに。


 もう一行。


『喪失原因』


『記録封鎖』


 青い光。


 明滅。


『封鎖権限』


『中央管理者』


 そして。


 最後。


『封鎖実行者』


『――アルフ――』


 文字。


 途切れる。


 暗転。


⸻


第50話 消された名前 了

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