四本の脚
第二章 灰境
第47話 四本の脚
前書き
一人では、
できないことがあります。
力が足りないから。
知識が足りないから。
手が足りないから。
けれど。
できないことを、
できないままにしない方法もあります。
誰かに頼る。
役目を分ける。
そして。
自分にしかできないことを、
最後までやり遂げる。
それもまた、
一つの強さなのです。
⸻
夜明け前。
灰境の村では。
すでに。
灯りが点いていた。
第二浄化塔。
C―12救出。
その準備。
「縄!」
「こっちだ!」
「金具は!?」
「あと二つ!」
「革を巻け!」
「そのままだと擦れて切れる!」
ヘルマン。
エッダ。
ベルン。
村の男たち。
領主館修繕。
柵。
井戸。
それらへ使うはずだった材料。
机。
上。
並ぶ。
太縄。
二本。
革帯。
鉄輪。
杭。
滑車。
そして。
奇妙な。
拘束具。
⸻
「これ」
アルフレッド。
持ち上げる。
「重い」
「持つな」
ヘルマン。
取り上げる。
「お前が使うもんじゃない」
「でも」
「構造」
「見たかった」
「見るだけなら」
「置いたまま見ろ」
「はい」
アルフレッド。
しゃがむ。
鉄輪。
二つ。
その間。
短い。
太縄。
「セルマが言ってたやつ?」
「ああ」
「左右の脚を」
「完全に縛るんじゃない」
「一歩」
「出せる」
「でも」
「二歩目で」
「引っ張られる」
「なるほど」
「馬ならな」
「C―12に」
「効くかは知らん」
「四本脚だもんね」
「しかも」
「鉄の塊だ」
⸻
B―03。
横。
立つ。
『対象拘束具』
『耐荷重――不足可能性』
「やっぱり?」
『C―12推定瞬間出力』
『当該縄材』
『破断可能性あり』
「何秒?」
『条件不明』
「十秒」
アルフレッド。
「欲しい」
『保証不能』
「五秒」
『保証不能』
「三秒」
『保証不能』
「……厳しい」
「機械に値切るな」
ガルド。
後ろ。
「じゃあ」
「どうする?」
「縄一本に」
「頼らねぇ」
⸻
ガルド。
地面。
図。
描く。
「前脚」
「セルマの案」
「左右」
「繋ぐ」
「後脚」
「一本」
「ビーさん」
「押さえる」
「残り一本」
「俺たち」
「縄」
「引く」
「エーナナ」
「外部菌糸」
「切断」
「アル坊」
「最後」
「中枢」
「それだけ」
「うん」
「最初から」
「手ぇ出すな」
「うん」
「途中でも」
「出すな」
「うん」
「誰か転んでも」
「出すな」
「……」
「アル坊」
「難しい」
「そこは正直だな!」
⸻
「でも」
アルフレッド。
「危なかったら」
「助ける」
「それは」
「止めねぇ」
ガルド。
「ただ」
「何でも」
「自分のスキルで」
「何とかしようとするな」
「剣持ってる奴」
「縄持ってる奴」
「でかい機械」
「頭のいい奴」
「いっぱいいる」
「……」
「使え」
「領主なんだろ」
アルフレッド。
少し。
考える。
「命令する?」
「頼め」
「そっち?」
「お前には」
「そっちの方が合ってる」
⸻
少し離れた場所。
セルマ。
見ている。
左手。
木剣。
握る。
「今日は」
「振るなよ」
マルタ。
「分かっています」
「昨日もそう言った」
「昨日は」
「握っただけです」
「今日は?」
「……」
「セルマ」
「三回だけ」
「駄目」
「一回」
「値切るんじゃないよ」
アルフレッド。
遠く。
「僕と同じことしてる!」
「聞こえています」
「やっぱり似てる!」
「否定します」
⸻
朝。
出発。
アルフレッド。
ガルド。
ノエル。
ベルン。
マルク。
ヘルマン。
A―07。
B―03。
さらに。
村の男。
二人。
途中まで。
資材。
運ぶ。
「多いね」
「戦いに」
「行くんじゃねぇ」
ガルド。
「救助だ」
「うん」
「そこ」
「忘れるな」
⸻
古道。
進む。
空。
曇り。
風。
冷たい。
そして。
山。
近づくにつれ。
A―07。
何度も。
顔。
森。
向ける。
「エーナナ?」
『周辺』
『複数生体反応』
ガルド。
止まる。
「人間?」
『否定』
「数」
『七』
「種類」
『森狼類似』
全員。
武器。
構える。
「近い?」
『距離――約二百四十』
「こっちへ?」
『……』
『移動中』
「方向」
『第二浄化塔』
⸻
「昨日の狼」
ガルド。
「かもしれん」
「菌糸付き?」
アルフレッド。
『未確認』
「まずいな」
ベルン。
「俺たちより」
「先に着く?」
『現速度維持の場合』
『ほぼ同時』
「走る?」
「資材」
「捨てる?」
「駄目」
ヘルマン。
「これなしじゃ」
「C―12」
「押さえられん」
「なら」
ガルド。
「隊列」
「変える」
「ビーさん」
「前」
「アル坊」
「中央」
「資材」
「後ろ」
「狼が来ても」
「追うな」
「目的は」
「第二浄化塔」
⸻
歩調。
速める。
森。
右。
枝。
揺れる。
ざ。
左。
何か。
走る。
「見られてる」
マルク。
「ああ」
「襲ってこない?」
アルフレッド。
「今は」
ガルド。
「な」
「どうして?」
「俺に聞くな」
⸻
A―07。
『推定』
「何?」
『森狼群』
『当隊を』
『追跡している可能性』
「狙われてる?」
『可能性』
「じゃあ」
「第二浄化塔へ」
「向かってるんじゃなく」
「僕たちについてきてる?」
『可能性』
ガルド。
舌打ち。
「最悪」
「挟まれる」
⸻
山肌。
見える。
水。
流れる。
補助保守口。
遠く。
「着いた!」
アルフレッド。
「走るな!」
「今は?」
「走れ!」
「また!」
⸻
全員。
到着。
まず。
周囲。
確認。
「見張り」
ガルド。
「ベルン」
「マルク」
「森側」
「ヘルマン」
「準備」
「ノエル」
「記録と通信」
「エーナナ」
「C―12確認」
『了解』
「ビーさん」
「アル坊から」
「離れるな」
『了解』
「僕は?」
「待て」
「はい」
⸻
A―07。
補助保守口。
近づく。
『C―12』
『通信要求』
ざ。
『……』
『……A―07……』
「返事」
ノエル。
「あります」
『管理者』
アルフレッド。
前。
「いるよ」
『……来たか……』
「うん」
『侵食率』
『50.4%』
「半分」
『警告』
『管理者』
『接近非推奨』
「でも」
「来た」
『……理解不能』
「よく言われる」
ガルド。
「誰にだ」
「みんな」
「自覚あるなら直せ!」
⸻
「シーさん」
アルフレッド。
「今から」
「中へ入る」
『拒否』
「うん」
『拒否』
「聞こえてる」
『管理者』
『当機』
『敵性化確率――高』
「だから」
「押さえる」
『……』
「エーナナ」
「ビーさん」
「みんな」
「手伝ってくれる」
『管理者単独ではない』
「うん」
『……』
「一人で」
「やらないって」
「約束したから」
A―07。
青い。
瞳。
一度。
明滅。
『記録』
『管理者行動』
『改善確認』
「エーナナまで!」
⸻
その時。
『警告』
A―07。
森。
向く。
『森狼群』
『接近』
「距離!」
『百三十』
「早い!」
ベルン。
弓。
構える。
「先に狼」
ガルド。
「片付けるか?」
アルフレッド。
森。
見る。
「待って」
「何だ」
「狼」
「どうして」
「ここへ来るんだろう」
「俺たち追ってるんだろ」
「でも」
「昨日から」
「第二浄化塔の水」
「飲んでた」
「……」
「菌糸」
「水」
「シーさん」
アルフレッド。
顔。
変わる。
「同じもの」
「繋がってない?」
⸻
ノエル。
すぐ。
「A―07」
「侵食個体間で」
「情報共有はありますか?」
『旧記録検索』
『……』
『侵食因子』
『群体通信機能』
『存在可能性』
「群体?」
『複数感染体』
『信号共有』
「つまり」
ヘルマン。
「C―12の中の菌糸が」
「狼を」
「呼んでる?」
『可能性』
「助けに?」
アルフレッド。
『侵食維持』
『防衛』
『増殖』
『目的推定不能』
「でも」
「シーさんを」
「きれいにされたくない」
「可能性は?」
『高』
⸻
「なら」
ガルド。
剣。
抜く。
「時間ねぇ」
「狼が来る前に」
「中へ入る」
「森側」
「二人じゃ足りん」
「村の二人も」
「残す」
「俺」
「アル坊」
「エーナナ」
「ビーさん」
「ヘルマン」
「中」
「ノエル」
「外」
「通信」
「はい」
⸻
補助保守口。
仮固定。
外す。
ぎ。
扉。
開く。
冷たい。
空気。
水。
匂い。
鉄。
そして。
湿った。
土。
菌糸。
独特。
臭い。
「うっ」
アルフレッド。
「大丈夫か」
「臭い」
「臭いだけなら」
「我慢しろ」
「はい」
⸻
中。
足首。
水。
入る。
「冷たっ」
「声」
「抑えろ」
「はい」
A―07。
先。
『侵食濃度――上昇』
壁。
灰色。
糸。
這う。
天井。
水面。
配管。
絡む。
「こんなに」
アルフレッド。
「昨日」
「外から見たより」
「多い」
ヘルマン。
「全部掃除とか」
「考えるなよ」
「考えてない」
「本当か?」
「……ちょっとだけ」
「考えてんじゃねぇか!」
⸻
八十メートル。
進む。
広い。
部屋。
その中央。
いる。
C―12。
四脚。
低い。
巨大。
銀。
だったはず。
身体。
半分。
灰色。
菌糸。
覆う。
右側。
ほとんど。
見えない。
青。
瞳。
赤。
混じる。
『管理者』
アルフレッド。
止まる。
「シーさん」
『最終警告』
『退避』
「嫌」
『退避』
「助ける」
『当機』
『制御不能まで』
『推定――』
赤。
走る。
『百八十二秒』
「え?」
ガルド。
「昨日より」
「一気に短くなってるぞ!」
『外部侵食群』
『接近により』
『侵食活動――増大』
「狼!」
アルフレッド。
「来たから!」
『可能性――高』
⸻
「三分」
ガルド。
「作戦」
「前倒し!」
「ヘルマン!」
「拘束具!」
「ビーさん!」
『了解』
「エーナナ!」
『外部侵食除去開始』
「アル坊!」
「まだだ!」
「うん!」
⸻
A―07。
走る。
左腕。
刃。
展開。
灰色。
菌糸。
切る。
ざん!
C―12。
身体。
震える。
『警告』
『接触――』
『敵性――』
「シーさん!」
アルフレッド。
叫ぶ。
「エーナナは敵じゃない!」
青。
灯る。
『A―07』
『友軍』
赤。
『排除』
青。
『友軍』
赤。
『排除』
「今!」
⸻
B―03。
突進。
C―12。
後脚。
一本。
巨大な。
左腕。
押さえる。
がん!
『拘束』
C―12。
暴れる。
B―03。
地面。
滑る。
『対象出力――高』
「ビーさん!」
『継続可能』
⸻
ヘルマン。
ガルド。
前脚。
拘束具。
投げる。
「入った!」
「引け!」
金具。
閉じる。
左右。
前脚。
短い縄。
繋ぐ。
C―12。
一歩。
踏み出す。
がくん!
反対。
脚。
引かれる。
「効いた!」
「もう一回!」
⸻
残り。
後脚。
ガルド。
縄。
回す。
「ヘルマン!」
「引け!」
「おおおっ!」
二人。
引く。
C―12。
四本。
脚。
自由。
奪われる。
でも。
「まだ強い!」
縄。
軋む。
ぎ。
ぎぎ。
「アル坊!」
「まだ?」
「エーナナ!」
『外部菌糸除去率――43%』
「もっと!」
『継続』
⸻
外。
森。
狼。
現れる。
一匹。
二匹。
七匹。
「来た!」
ベルン。
矢。
放つ。
一本。
狼。
肩。
刺さる。
止まらない。
「菌糸付き!」
「頭狙え!」
村人。
槍。
構える。
ノエル。
補助保守口。
振り返る。
「ガルド隊長!」
「狼群接触!」
通信。
A―07。
中。
『外部戦闘開始』
「時間ねぇ!」
ガルド。
「エーナナ!」
『58%』
「アル坊!」
「準備!」
「うん!」
⸻
C―12。
赤。
瞳。
強く。
『侵食命令』
『管理者』
『排除』
前脚。
縄。
引く。
ぶち。
一本。
切れる。
「切れた!」
「予備!」
「間に合わん!」
C―12。
前脚。
自由。
アルフレッド。
方向。
向く。
『管理者』
『排除』
脚。
振り上げる。
「アル坊!」
ガルド。
走る。
だが。
その前。
B―03。
身体。
割り込む。
があん!
C―12。
脚。
B―03。
胸。
直撃。
装甲。
凹む。
『損傷』
「ビーさん!」
『軽微』
「軽微じゃない!」
『戦闘継続』
⸻
「エーナナ!」
『外部菌糸除去――71%』
「もう」
「行く!」
アルフレッド。
「待て!」
「今以上」
「ビーさん」
「壊れる!」
「くそ!」
ガルド。
「行け!」
⸻
アルフレッド。
走る。
C―12。
身体。
低い。
胸。
中心。
青い。
結晶。
菌糸。
覆う。
A―07。
最後。
束。
切る。
「今!」
アルフレッド。
手。
触れる。
冷たい。
金属。
その奥。
ものすごい。
量。
「……っ!」
頭。
痛い。
「アル坊!」
「まだ!」
異物。
どこまで。
C―12。
どこから。
菌糸。
分ける。
「これ」
「シーさんじゃない」
灰。
糸。
命令。
赤。
怒り。
殺せ。
増えろ。
守れ。
奪え。
混ざる。
「全部」
「いらない」
右手。
光。
「《清掃》!」
⸻
白。
爆発。
部屋。
満たす。
『――――!』
C―12。
身体。
跳ねる。
縄。
切れる。
ガルド。
ヘルマン。
吹き飛ぶ。
「ぐっ!」
B―03。
押さえる。
『管理者保護』
A―07。
アルフレッド。
支える。
『負荷上昇』
「分かってる!」
「あと」
「少し!」
胸。
中。
菌糸。
根。
深い。
結晶。
絡む。
「出て!」
光。
強く。
「シーさんから」
「出ていけ!」
⸻
ぶち。
大きな。
感触。
胸部。
隙間。
灰色。
塊。
吐き出される。
「焼け!」
ガルド。
松明。
投げる。
ぼっ!
菌糸。
燃える。
きぃぃぃぃぃぃ――!
耳。
痛い。
悲鳴。
C―12。
赤。
瞳。
消える。
青。
残る。
⸻
『侵食率』
『……』
『17.2%』
「まだある!」
アルフレッド。
『中枢侵食』
『除去確認』
「じゃあ」
「残りは?」
『外装』
『末端駆動系』
「命令には?」
『影響――低』
「よし!」
アルフレッド。
力。
抜ける。
「アル坊!」
ガルド。
受け止める。
「頭!」
「痛い」
「吐き気!」
「ちょっと」
「手!」
「動く」
「目!」
「見える」
「よし!」
「よくないよ」
「倒れるよりマシだ!」
⸻
C―12。
動かない。
四本脚。
床。
折る。
青い。
瞳。
アルフレッド。
見る。
『管理者』
「うん」
『清浄化』
『確認』
「うん」
『当機』
『制御回復』
「よかった」
アルフレッド。
笑う。
『……感謝』
部屋。
静か。
ガルド。
C―12。
見る。
「機械が」
「礼言ったぞ」
『訂正』
『保守記録上』
『管理者への謝意表現』
『規定内』
「規定なのかよ」
⸻
その時。
外。
「うわあああ!」
悲鳴。
ベルン。
「狼!」
アルフレッド。
顔。
上げる。
「外!」
「お前は」
「ここ!」
ガルド。
「でも!」
『管理者』
C―12。
立つ。
四本脚。
まだ。
灰色。
菌糸。
残る。
でも。
青い。
瞳。
安定。
『外部敵性反応』
『七』
「シーさん」
『防衛任務』
『遂行可能』
「待って」
アルフレッド。
「殺さないで」
『……』
「狼も」
「菌糸に」
「操られてる」
『命令確認』
「できるだけ」
「押さえて」
『了解』
⸻
C―12。
走る。
「速っ!」
ヘルマン。
さっき。
敵。
だった。
巨大な。
四脚機械。
今度は。
自分たち。
横。
通り過ぎる。
補助保守口。
飛び出す。
⸻
外。
狼。
一匹。
ベルン。
飛びかかる。
「くっ!」
その横。
銀色。
影。
突っ込む。
どん!
狼。
吹き飛ぶ。
「うおっ!」
C―12。
狼。
前。
立つ。
『管理者命令』
『非殺傷制圧』
狼。
飛びかかる。
C―12。
前脚。
横。
払う。
地面。
転がす。
次。
二匹。
同時。
『対象二』
身体。
回転。
尾部。
金属。
棒。
伸びる。
「尻尾あったの!?」
ノエル。
「記録!」
がん!
二匹。
まとめて。
倒す。
⸻
A―07。
外。
出る。
『侵食対象』
『拘束推奨』
「縄!」
ベルン。
「狼まで縛るのか!」
「殺さなくていいなら」
「やる!」
村人。
動く。
倒れた。
狼。
脚。
縛る。
A―07。
菌糸。
切る。
「アル坊!」
ガルド。
「見るだけだ!」
「うん!」
「《清掃》は!」
「今は使わない!」
「よし!」
⸻
C―12。
残り。
三匹。
追わない。
逃げ道。
塞ぐ。
低い。
姿勢。
青い。
瞳。
光る。
『警告』
狼。
唸る。
菌糸。
顔。
脈打つ。
だが。
C―12。
前脚。
地面。
叩く。
どん!
三匹。
怯む。
そして。
森。
逃げる。
「追う?」
ベルン。
『管理者命令』
『非殺傷』
『追撃不要』
「賢いな」
⸻
戦闘。
終わる。
狼。
四匹。
拘束。
一匹。
矢。
肩。
傷。
でも。
生きている。
「村へ」
「連れて帰る?」
アルフレッド。
「待て」
ガルド。
「七匹中」
「四匹」
「三匹」
「逃げた」
「うん」
「それで」
「こいつら」
「菌糸」
「取るのか?」
アルフレッド。
狼。
見る。
「今日は」
「僕」
「もう無理」
「正解」
「だから」
「エーナナ」
「外だけ」
「取れる?」
『可能』
「中は?」
『清浄化能力不足』
「じゃあ」
「外だけ」
「悪化しないよう」
「できる?」
『試行』
「今日は」
「それで」
⸻
ノエル。
C―12。
見る。
「ところで」
「C―12」
『確認』
「第二浄化塔」
「復旧できますか?」
『可能』
「本当!?」
アルフレッド。
「アル坊」
「静かに喜べ」
「はい!」
『ただし』
「……」
「絶対あると思った」
ガルド。
『第二浄化塔』
『主循環機構』
『損傷』
『浄化槽』
『侵食』
『水系制御』
『一部破損』
「どれくらい」
「かかる?」
『管理者』
『A―07』
『B―03』
『当機』
『共同保守時』
『推定――』
一拍。
『十二日』
「十二日」
アルフレッド。
「直せる」
『理論上』
「じゃあ」
「井戸」
「戻る?」
『第二浄化塔完全復旧時』
『第一浄化施設との』
『水系連結』
『再開可能』
「つまり」
ノエル。
「村の水問題を」
「根本から解決できる可能性がある」
『肯定』
⸻
アルフレッド。
山。
見る。
壊れた。
第二浄化塔。
でも。
直せる。
十二日。
一人。
ではない。
エーナナ。
ビーさん。
シーさん。
村。
みんな。
「やろう」
ガルド。
「何を?」
「第二浄化塔」
「直そう」
「まず」
「お前は」
「休め」
「……」
「そこから?」
「そこからだ」
⸻
帰還。
C―12。
どうする。
問題。
「村へ」
「連れて帰る?」
アルフレッド。
「でかいぞ」
ガルド。
「ビーさんも」
「いる」
「大型二体」
「村の子ども」
「喜びそう」
「そこじゃねぇ」
『第二浄化塔』
『保守個体として』
『当機』
『施設残留推奨』
「じゃあ」
「シーさん」
「ここに残る?」
『肯定』
「一人?」
『……』
C―12。
少し。
止まる。
『従来』
『当機単独』
「どれくらい?」
『最終正常記録から』
『経過時間――』
表示。
乱れる。
『算出不能』
「……そっか」
アルフレッド。
少し。
考える。
「じゃあ」
「毎日来る」
「第二浄化塔」
「直すまで」
『管理者』
「何?」
『不要』
「でも」
『保守作業上』
『管理者来訪』
『必要』
「必要じゃん」
『……訂正』
ガルド。
笑う。
「こいつ」
「エーナナより」
「面倒くせぇぞ」
『異議』
「異議あるの!?」
⸻
その夜。
灰境の村。
アルフレッド。
寝台。
完全。
強制。
療養。
「今日は」
「文句ない」
マルタ。
「珍しいね」
「疲れた」
「当然だよ」
セルマ。
椅子。
座る。
「助かったのですか?」
「うん」
「シーさん」
「青い目」
「戻った」
「そうですか」
「それと」
「第二浄化塔」
「直せる」
「十二日くらい」
「では」
「水も?」
「たぶん」
「……」
セルマ。
窓。
外。
井戸。
見る。
「少しずつ」
「変わっていますね」
「うん」
「村」
「最初来た時」
「何もなかった」
「今も」
「そんなにないよ」
「でも」
アルフレッド。
笑う。
「直せるもの」
「いっぱいある」
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深夜。
第二浄化塔。
C―12。
一人。
補助保守口。
前。
座る。
青い。
瞳。
安定。
『侵食率――16.8%』
ゆっくり。
低下。
A―07。
切った。
菌糸。
焼却。
した。
だから。
でも。
施設。
もっと。
奥。
水。
流れる。
地下。
さらに。
深い場所。
菌糸。
一本。
脈打つ。
第二浄化塔。
外へ。
ではない。
下。
第一。
第二。
第四。
それらより。
もっと。
深い。
場所。
繋がる。
そして。
そこ。
暗闇。
何か。
反応。
『第二浄化塔』
『保守個体』
『侵食低下』
古い。
表示。
灯る。
『清浄化適性個体』
『活動確認』
一拍。
『対象――暫定管理者』
文字。
変わる。
『観測開始』
さらに。
別。
表示。
『第五浄化塔』
『所在――』
長い。
沈黙。
『再検索』
地図。
浮かぶ。
灰境。
ソデリヤ王国。
大陸。
そして。
地図。
端。
越える。
海。
その先。
表示。
一つ。
点滅。
『第五浄化塔』
『遠隔信号――微弱』
『推定距離――測定不能』
青。
光。
消える。
灰境で。
始まった。
小さな。
修繕。
その先。
まだ。
誰も知らない。
大陸の外まで。
続く道。
静かに。
繋がり始めていた。
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第47話 四本の脚 了




