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男爵家四男の辺境開拓記 ~不遇スキル《修繕》と《清掃》で、みんなの帰る場所を作ります~  作者: 和泉發仙
第二章 灰境

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46/53

先に来た者たち

第二章 灰境


第46話 先に来た者たち


前書き


宝を探す者は、


危険を知っていても、


扉を開けます。


価値があるかもしれない。


金になるかもしれない。


自分だけが得をするかもしれない。


けれど。


閉じられている扉には、


閉じられている理由があります。


そして時には。


その理由を知らない者ほど、


一番最初に、


中へ入ってしまうのです。


⸻


 第二浄化塔。


 補助保守口。


 ぎ。


 ぎぎ。


 金属扉が。


 わずかに。


 開く。


「いける!」


 男の一人が笑った。


「もう少しだ!」


「押せ!」


「せーの!」


 鉄棒。


 二本。


 隙間。


 差し込む。


 さらに。


 こじる。


 ご。


 扉。


 十五センチ。


 二十。


 三十。


「おい」


「向こう」


「光ってないか?」


「青いな」


「魔石?」


「だったら大当たりだ!」


「見ろよ!」


「古代施設だぞ!」


「何かあるに決まってる!」


 五人。


 いずれも。


 粗末。


 だが。


 使い込まれた。


 革鎧。


 短剣。


 斧。


 弓。


 長剣。


 冒険者。


 あるいは。


 遺跡漁り。


 少なくとも。


 村人ではない。


⸻


 先頭。


 髭。


 濃い。


 三十代後半。


「俺が入る」


「待てよ、ロイ」


 細身の男。


「昨日から」


「変な水が出てる」


「灰色の糸も」


「あんなの」


「苔みたいなもんだ」


「苔が動くか?」


「動いたのか?」


「……いや」


「ならいい」


 ロイ。


 松明。


 前。


「ここまで来たんだ」


「帰れるか」


「村で聞いた話じゃ」


「この山」


「昔から禁足地だぞ」


「だからだろ」


 ロイ。


 笑う。


「誰も入ってねぇ」


「誰も入ってねぇ場所には」


「誰も持って帰ってねぇ宝がある」


「分かりやすい理屈だな」


「それで食ってんだよ」


⸻


 扉。


 もう。


 人一人。


 通れる。


 ロイ。


 しゃがむ。


 中。


 覗く。


 水。


 足首。


 青い。


 光。


 奥。


 何か。


 いる。


「……」


「どうした?」


「何かいる」


「人?」


「違う」


「獣?」


「たぶん」


 松明。


 前。


 出す。


 四本。


 脚。


 長い。


 金属。


 胴体。


 低い。


 頭。


 丸い。


 青い。


 瞳。


 一つ。


「……魔道獣?」


「古代兵器じゃないか?」


「売れるぞ」


「持って帰れる大きさか?」


「部品だけでも」


 その時。


 青。


 消える。


 赤。


 灯る。


『侵入者』


「喋った」


『排除』


「……待て」


『排除』


「下がれ!」


⸻


 どんっ!


 C―12。


 一瞬。


 距離。


 詰める。


「速っ――」


 先頭。


 ロイ。


 横。


 飛ぶ。


 壁。


 激突。


「ぐっ!」


「ロイ!」


「撃て!」


 弓。


 矢。


 放つ。


 かん!


 装甲。


 弾く。


「効かねぇ!」


「目!」


「目を狙え!」


 第二。


 矢。


 C―12。


 頭。


 傾ける。


 避ける。


「獣みたいに動くぞ!」


『敵性行動』


『排除』


 前脚。


 地面。


 叩く。


 どん!


 水。


 跳ねる。


 男。


 一人。


 転ぶ。


「うわっ!」


 その水。


 灰色。


 糸。


 足首。


 触れる。


「何だ!」


「取れ!」


 細い。


 菌糸。


 革靴。


 這う。


「気持ち悪っ!」


 短剣。


 切る。


 一本。


 二本。


 だが。


 さらに。


 増える。


「外へ!」


「撤退!」


⸻


 C―12。


 一歩。


 進む。


 だが。


 急に。


 止まる。


『管理者命令』


『待機』


 青。


 瞳。


 戻る。


『……』


 男たち。


 逃げる。


「止まった!」


「今だ!」


「ロイ!」


「引っ張れ!」


 肩。


 担ぐ。


 扉。


 外。


「閉めろ!」


「無理だ!」


「こじ開けたんだぞ!」


「なら棒抜け!」


「早く!」


⸻


 金属扉。


 ぎ。


 戻る。


 その瞬間。


『外部侵入』


 赤。


『排除』


 C―12。


 走る。


「来る!」


 扉。


 閉じる。


 がん!


 内側。


 衝撃。


 男たち。


 地面。


 転ぶ。


 どん!


 もう一度。


「逃げろ!」


 五人。


 いや。


 四人。


 走る。


「待て!」


「ロイは!?」


「担いでる!」


「ジェスは?」


「ジェス!」


 後ろ。


 一人。


 倒れている。


 右脚。


 灰色の菌糸。


 絡む。


「助けて!」


「ジェス!」


 男。


 戻ろうとする。


 どん!


 扉。


 再び。


 大きく。


 歪む。


「無理だ!」


「でも!」


「全員死ぬぞ!」


 ジェス。


 手。


 伸ばす。


「待って!」


「行かないで!」


 灰色の糸。


 膝。


 上。


 這う。


「いやだ!」


「取れ!」


「取れよ!」


 自分。


 短剣。


 皮膚。


 切る。


 血。


 出る。


 菌糸。


 止まらない。


⸻


「ジェス!」


 仲間。


 叫ぶ。


 だが。


 森。


 方向。


 逃げる。


 ジェス。


 一人。


「待って……」


 その時。


 扉。


 どん。


 止まる。


 静寂。


 ジェス。


 荒い。


 息。


 脚。


 見る。


 菌糸。


 もう。


 腿。


「いやだ……」


 その目。


 遠く。


 赤い。


 光。


 映る。


『……管理者……』


 C―12。


 内側。


 声。


『……救援……』


「助けて……」


 ジェス。


 扉。


 見る。


『……救援……』


 菌糸。


 さらに。


 身体。


 上がる。


⸻


 翌朝。


 灰境の村。


 ガルド。


 机。


 拳。


 置く。


「予定変更だ」


 アルフレッド。


 寝台。


 ではない。


 今日は。


 普通に。


 椅子。


「第二浄化塔?」


「ああ」


「昨日」


「足跡」


「五人以上」


「今朝」


「見張りが」


「北側で煙」


「見た」


「煙?」


「野営」


「可能性高い」


 ノエル。


 地図。


 置く。


「第二浄化塔へ向かった者たちが」


「まだ付近にいる?」


「あるいは」


「昨日」


「中へ入った」


 アルフレッド。


 顔。


 変わる。


「シーさん」


「三日待ってって」


「言った」


「だから」


「待機してるはず」


『管理者命令――待機』


 A―07。


「でも」


「侵入者が来たら?」


『防衛規定』


『管理者命令より』


『一部状況で優先』


「……」


「つまり」


 ガルド。


「襲う」


『可能性――高』


⸻


「行く」


 アルフレッド。


 今度。


 誰も。


 すぐには。


 否定しない。


「理由」


 ガルド。


「管理者命令」


「シーさん」


「僕の声」


「一応」


「聞ける」


「《清掃》」


「侵食」


「取れる可能性」


「三日」


「待って」


「って言ったのに」


「知らない人が」


「勝手に開けたなら」


「予定」


「変わった」


 ガルド。


 頷く。


「今回は」


「俺もそう思う」


⸻


「編成」


 ノエル。


「アルフレッド様」


「ガルド隊長」


「A―07」


「B―03」


「ベルン」


「マルク」


「ヘルマン」


「私」


 アルフレッド。


「ノエルさんも?」


「今回は」


「施設操作」


「記録」


「そして」


「第三者への対応」


「開拓局職員が必要です」


「第三者?」


「もし」


「王国民であれば」


「領主権限」


「開拓局権限」


「双方の説明が必要になります」


「宝探しの人でも?」


「むしろ」


「そのような者ほど」


「必要です」


⸻


「セルマ」


 アルフレッド。


 見る。


 少女。


 杖。


 今日は。


 使っていない。


「行きません」


「うん」


「ですが」


「何?」


「もし」


「人間が相手なら」


「気をつけてください」


「魔物より?」


「はい」


「どうして?」


「人間は」


 セルマ。


 首輪。


 軽く。


 触れる。


「話します」


「嘘も」


「つきます」


 アルフレッド。


 少し。


 黙る。


「……分かった」


⸻


 出発。


 北。


 古道。


 第二浄化塔。


 近づく。


 途中。


「止まれ」


 グレゴール。


 今日は。


 村。


 残る。


 代わり。


 ガルド。


 前。


 しゃがむ。


「血」


 地面。


 赤。


 乾く。


「新しい」


 ベルン。


「昨日?」


「たぶん」


「足跡」


 ノエル。


 五人。


 往路。


 そして。


「帰り」


 四人分?


「いや」


 ガルド。


 見る。


「三人」


「一人」


「担いでる」


「重い足跡」


「じゃあ」


「一人」


「残ってる?」


 アルフレッド。


 声。


 低く。


「可能性ある」


⸻


「急ぐぞ」


⸻


 山肌。


 第二浄化塔。


 見える。


 水。


 昨日より。


 少し。


 減っている。


『流量――前日比0.91』


「中」


 アルフレッド。


『保守個体反応――あり』


「動いてる?」


『位置――補助保守口付近』


「近い」


「侵入者?」


『生体反応――』


 A―07。


 一瞬。


 止まる。


『一』


「やっぱり!」


「場所」


『保守口外側』


「人?」


『人類種一致率――高』


⸻


 走る。


「アル坊!」


「走らない!」


「今は走れ!」


「どっち!」


「今は走れ!」


「はい!」


⸻


 補助保守口。


 前。


 人。


 一人。


 倒れている。


「いた!」


 ベルン。


「生きてる?」


 マルク。


 近づこうとする。


「待て!」


 アルフレッド。


 初めて。


 自分から。


 止めた。


「菌糸」


 脚。


 灰色。


 絡む。


 腰。


 胸。


 もう。


 上がる。


「エーナナ」


『侵食反応――高』


「中まで?」


『生体内部』


『一部侵入』


 全員。


 顔。


 変わる。


「生きてる?」


『生命反応――あり』


「意識」


「……助けて」


 男。


 薄く。


 目。


 開く。


「助けて……」


⸻


「名前」


 ガルド。


「ジェス……」


「何人で来た」


「五……」


「仲間は」


「逃げた……」


「何した」


「扉……」


「開けた」


 ガルド。


 額。


 押さえる。


「何で開けた!」


「遺跡……」


「金に……」


「なると……」


「……」


「馬鹿野郎」


「ガルドさん」


「分かってる」


「今は説教じゃねぇ」


⸻


「アル坊」


「うん」


「《清掃》」


「できそう?」


 アルフレッド。


 ジェス。


 見る。


 これまで。


 違う。


 外。


 だけではない。


 菌糸。


 皮膚。


 傷。


 中。


「……怖い」


「正直だな」


「中まで」


「入ってる」


「《清掃》して」


「ジェスさんの身体まで」


「消したら」


「そんなこと」


「しねぇとは」


「言い切れない」


「うん」


 ガルド。


 黙る。


「じゃあ」


「どうする」


⸻


「外から」


 アルフレッド。


「減らす」


「全部」


「僕がやらない」


「エーナナ」


『確認』


「外の菌糸」


「切れる?」


『可能』


「ビーさん」


「動かないよう」


「身体」


「支えられる?」


『可能』


「マルタさん」


「いない」


「だから」


「ノエルさん」


「傷」


「洗う水」


「持ってる?」


「あります」


「ヘルマンさん」


「火」


「菌糸」


「焼ける?」


「人に近い場所は」


「やめとけ」


「じゃあ」


「切るだけ」


「その後」


「僕」


「中だけ」


 ガルド。


 アルフレッドを見る。


「それなら」


「負担」


「減る」


「うん」


⸻


「やる」


⸻


 B―03。


 ジェス。


 身体。


 固定。


『対象保護』


「エーナナ」


『切断開始』


 菌糸。


 足。


 外。


 ぶち。


 ぶち。


 ジェス。


「うっ!」


「我慢して!」


 アルフレッド。


「もう少し!」


 腰。


 胸。


 外。


 ほとんど。


 切る。


「今!」


 アルフレッド。


 手。


 ジェス。


 胸。


 直接。


 触れない。


 上。


 かざす。


「《清掃》」


 淡い。


 光。


 身体。


 全体。


 ではない。


 菌糸。


 だけ。


 感じる。


 皮膚。


 傷。


 肉。


 中。


 細い。


 異物。


「……いた」


「どこ!」


「中」


「でも」


「ジェスさんじゃない」


 光。


 狭く。


「出て」


 菌糸。


 傷。


 中。


 引く。


 ぷつ。


 ぷつ。


 男。


 身体。


 震える。


「ああっ!」


「止める?」


 ガルド。


「まだ!」


「あと」


 細い。


 一つ。


 心臓。


 ではない。


 胸。


 表面。


「消えて!」


 ぱん。


 光。


 消える。


⸻


 ジェス。


 力。


 抜ける。


「生きてる?」


『生命反応――安定』


「侵食」


『体内反応――』


 一拍。


『検出限界以下』


「やった……」


 アルフレッド。


 座る。


「頭」


 ガルド。


「少し」


「吐き気」


「ない」


「手」


「動く」


「今日は」


「もう使うな」


「……シーさん」


「分かってる」


「でも」


「今」


「一回」


「かなり重かった」


「うん」


「方法」


「変える必要ある」


⸻


 補助保守口。


 歪む。


 昨日。


 こじ開けられた。


 隙間。


「これ」


 閉じられる?」


 ヘルマン。


 見る。


「壊れてる」


「直す?」


 全員。


 アルフレッド。


 見る。


「……今日は」


「やめとく」


「偉い」


「ただ」


 ヘルマン。


「手で」


「仮固定できる」


「やって」


 鉄棒。


 縄。


 木。


 扉。


 外から。


 固定。


「これで」


「すぐ出ては来ない」


「すぐ」


「か」


 ガルド。


⸻


「シーさん」


 アルフレッド。


 扉。


 前。


「聞こえる?」


『通信試行』


 A―07。


『C―12』


『応答要求』


 ざ。


『……管理者……』


「無事?」


 長い。


 沈黙。


『侵入者』


『排除』


「ジェスさん?」


『……侵食対象』


「今」


「きれいにした」


『……』


「シーさん」


「待ってって言ったのに」


『管理者命令』


『待機』


『侵入者』


『防衛規定』


「そっか」


「シーさん」


「約束破ったんじゃないんだね」


『……』


『肯定』


 アルフレッド。


 少し。


 ほっとする。


⸻


「侵食率」


『48.6%』


「増えた」


 ノエル。


「昨日47.8でした」


「侵入者が」


「扉開けたから?」


『可能性あり』


「残り」


「三日ない?」


『中枢侵食限界』


『推定――』


 音。


『約四十六時間』


「二日」


 ガルド。


「さらに縮んだ」


「……」


 アルフレッド。


 扉。


 見る。


「明日」


「じゃ」


「遅い?」


『現状進行率一定なら』


『明日――対応可能』


「でも」


「また誰か来たら」


「だから」


 ガルド。


「見張り置く」


「ここに?」


「ああ」


「俺たちの誰か」


「いや」


 ノエル。


「村から」


「二名交代」


「さらに」


「立入禁止」


「標識」


「警告」


「作ります」


「それでも入る人」


「いますよね」


 アルフレッド。


 全員。


 ジェス。


 見る。


「……いますね」


⸻


 ジェス。


 担架。


 乗せる。


「村へ」


「連れてく?」


 アルフレッド。


「当然だ」


 ガルド。


「治療」


「それと」


「事情聴取」


 ノエル。


「盗掘目的で」


「領内の危険施設へ侵入」


「無断開放」


「重大です」


「牢屋」


「ある?」


「ありません」


「石蔵?」


 ガルド。


「怪我人だぞ」


「まず治療」


「その後」


「考える」


「うん」


⸻


 帰り。


 アルフレッド。


 歩く。


 今日は。


 背負われていない。


「アル坊」


「何?」


「さっき」


「よく止めたな」


「何を?」


「マルクが」


「ジェスへ近づこうとした時」


「あ」


「菌糸」


「見えたから」


「前なら」


「お前が一番に」


「走ってた」


「……」


「そうだった?」


「そうだ」


「成長?」


「ああ」


「少し?」


「今回は」


「普通に」


「やった」


⸻


 アルフレッド。


 嬉しそう。


 歩く。


 そして。


 前。


 A―07。


 B―03。


 見る。


「シーさん」


「助けたい」


「分かってる」


 ガルド。


「でも」


「今回は」


「もっと」


「難しい」


「うん」


「エーナナは」


「止まってた」


「ビーさんも」


「弱ってた」


「シーさんは」


「元気」


「侵食されてるけど」


「強い」


「しかも」


「四本脚」


「でかい」


「うん」


「だから」


「掃除する前に」


「押さえないと」


「そうだ」


 アルフレッド。


 B―03。


 見る。


「ビーさんなら?」


『C―12推定出力』


『当機単独制圧――困難』


「エーナナと二人」


『補助可能』


「人間」


「縄」


「罠」


「使う」


 ヘルマン。


「なら」


「固定具」


「作るか」


「固定具?」


「足」


「四本」


「一本ずつ」


「動きを」


「殺す」


 アルフレッド。


 目。


 輝く。


「それ!」


「顔」


 ガルド。


「何?」


「仕事見つけた時の」


「エッダと同じ」


「また?」


⸻


 村。


 夕方。


 ジェス。


 治療。


 マルタ。


「何したら」


「こんなことになる!」


「遺跡……」


「開けて……」


「馬鹿!」


「はい……」


「怪我人に」


「怒鳴るなよ」


 ガルド。


「怪我する前に」


「馬鹿やったんだろ!」


「正論だな」


「で?」


「菌糸」


「体内まで」


「入ってた」


 マルタ。


 手。


 止まる。


「アル坊が?」


「ああ」


「掃除した」


「……」


 マルタ。


 アルフレッド。


 見る。


「頭」


「少しだけ」


「吐き気」


「なし」


「今日はもう」


「使いません」


「よろしい」


⸻


 夜。


 会議。


 第二浄化塔。


 C―12。


 救出計画。


 机。


 上。


 簡単。


 絵。


 四本脚。


「こんな?」


 アルフレッド。


 描く。


「猫?」


 リーナ。


 横。


「シーさん」


「猫なの?」


「違うと思う」


「じゃあ」


「犬?」


「機械」


「機械って」


「四本脚あるの?」


「あるみたい」


「変なの」


⸻


 ヘルマン。


 図。


 見る。


「四本」


「全部押さえるのは」


「無理」


「二本」


「動かなくする」


「残り」


「ビーさん」


「押さえる」


「エーナナ」


「菌糸」


「切る」


「ガルドさんたち」


「縄」


「僕」


「中枢」


「《清掃》」


「そう」


 ノエル。


「役割分担」


「一人」


「一つ」


「アルフレッド様は」


「最後だけ」


「うん」


「最初から」


「《清掃》を」


「使わない」


「うん」


⸻


「問題」


 ガルド。


「精神干渉」


「遮断面」


「五個」


「今回」


「必要人数」


「多い」


「エーナナ」


「ビーさん」


「不要」


「人間」


「僕」


「ガルドさん」


「ベルン」


「マルク」


「ヘルマン」


「ノエルさん」


「六人」


「一個足りない」


「私は」


 ノエル。


「外」


「扉側に残ります」


「なら五」


「ちょうど」


「でも」


「侵入者」


「また来たら?」


「見張り」


「置く」


⸻


 セルマ。


 少し。


 遠く。


 聞く。


「縄」


 口。


 出す。


「何?」


 アルフレッド。


「四本脚」


「全部」


「地面へ」


「押さえるのではなく」


「二本」


「互いに」


「動きを邪魔するよう」


「繋げば」


「……」


 ヘルマン。


 止まる。


「前脚」


「左右?」


「はい」


「短く」


「繋げる」


「走ろうとすると」


「自分の脚同士」


「引っ張り合う」


「……」


 ガルド。


「それ」


「使えるかもな」


「誰に教わった?」


 アルフレッド。


「昔」


「馬を」


「逃げないように」


「繋ぐ方法」


「見たことがあります」


 セルマ。


 小さく。


「奴隷商人が」


 部屋。


 一瞬。


 静か。


「……そう」


 アルフレッド。


 それ以上。


 聞かない。


 ヘルマン。


「よし」


「試す」


⸻


 縄。


 太い。


 革。


 金具。


 輪。


「四本脚」


 実物。


 ない。


 だから。


 椅子。


 四脚。


「これで」


 練習?」


 リーナ。


「蹴られないから」


 ベルン。


「安全だな」


 椅子。


 前脚。


 二本。


 短い。


 縄。


 繋ぐ。


「動かして」


 セルマ。


 ベルン。


 椅子。


 持つ。


「前へ」


 がた。


 片脚。


 出す。


 反対。


 引く。


「動きにくい」


「でも」


「切られたら?」


「だから」


「太い縄」


「二重」


 ヘルマン。


 金具。


 追加。


「これなら」


「数秒」


「稼げる」


「数秒」


 アルフレッド。


「十分?」


「お前が」


「中枢の菌糸を」


「消すまで」


「分からない」


「じゃあ」


「十秒」


「目標」


 アルフレッド。


 自分。


 手。


 見る。


「十秒で」


「終わらせる」


⸻


 ガルド。


 少年。


 見る。


「できるか」


「分からない」


「よし」


「よしなの?」


「分からねぇことを」


「できるって」


「言わなくなった」


「……」


「そこ」


「褒めてる?」


「かなり」


「やった」


⸻


 会議。


 終わる。


 明日。


 第二浄化塔。


 C―12。


 救出。


 失敗した場合。


 撤退。


 完全侵食。


 その場合。


 破壊も。


 選択肢。


 誰も。


 言いたくない。


 でも。


 書く。


 ノエル。


 記録。


 する。


「最悪の場合」


「C―12を」


「停止させる」


「うん」


 アルフレッド。


 小さく。


 答える。


 助けたい。


 でも。


 村へ。


 連れて帰って。


 人を殺したら。


 それは。


 助けたことには。


 ならない。


⸻


 深夜。


 第二浄化塔。


 C―12。


 座る。


 四本脚。


 折る。


『管理者命令』


『待機』


 赤。


 瞳。


 強く。


 なる。


『侵食率――49.7%』


『待機』


『排除』


『待機』


『排除』


 外。


 倒れていた。


 ジェス。


 もう。


 いない。


 代わり。


 地面。


 血。


 少し。


 残る。


 その匂い。


 森。


 奥。


 何か。


 嗅ぐ。


 灰色。


 狼。


 一匹。


 木陰。


 現れる。


 次。


 二匹。


 三匹。


 五匹。


 菌糸。


 顔。


 覆う。


 そして。


 山から。


 流れる。


 灰色の水。


 飲む。


 一斉。


 頭。


 上げる。


 赤い。


 瞳。


 第二浄化塔。


 方向。


 向く。


⸻


第46話 先に来た者たち 了

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