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男爵家四男の辺境開拓記 ~不遇スキル《修繕》と《清掃》で、みんなの帰る場所を作ります~  作者: 和泉發仙
第二章 灰境

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34/53

十一日前に開いた門

第二章 灰境


第34話 十一日前に開いた門


前書き


知らなかったから。


困っていたから。


誰かを助けたかったから。


間違いというものは、


悪意だけから生まれるわけではありません。


むしろ時には。


「何とかしたい」


その気持ちこそが、


閉じていた扉を、


開けてしまうこともあるのです。


⸻


「十一日前……」


 アルフレッドは。


 ノエルが広げた木板を、じっと見ていた。


 第三旧居住区。


 昨冬。


 三十一名。


 現在。


 この村へ来ているのは八人。


 そして。


 十一日前。


 五人が地下へ入った。


 戻っていない。


「クララさん」


「はい」


「その五人が地下へ入ったのって」


「灰が増える前なんですよね?」


 クララは。


 膝の上で両手を握った。


「はい」


「どれくらい前?」


「……前日の夕方です」


「次の日に?」


「森が」


「変わりました」


 声が。


 少し震える。


「朝起きた時には」


「村の西側が」


「灰色になっていました」


「木も」


「家も」


「畑も」


「まるで」


「一晩で」


「何年も放っておかれたように……」


 アルフレッドは。


 黙って聞いていた。


⸻


 朝。


 急遽。


 村の広場に。


 簡単な話し合いの場が作られていた。


 アルフレッド。


 ガルド。


 ノエル。


 バルド。


 グレゴール。


 クララ。


 ハンナ。


 オスカー。


 そして。


 少し体調を戻したヨーゼフ。


 A―07。


 B―03。


 セルマも。


 少し離れた椅子へ座っている。


 マルタは。


 ヨーゼフの後ろ。


「無理するんじゃないよ」


「分かっとる」


「分かってない奴がそう言うんだ」


「わしは六十二だ」


「だから何だ」


「年寄り扱いするな」


「病人扱いしてるんだよ」


「……」


「反論は?」


「ない」


「よろしい」


 アルフレッドは。


 少しだけ笑った。


 だが。


 すぐに表情を戻す。


「ヨーゼフさん」


「何じゃ」


「昨日」


「地下だけは急ぐなって」


「言いましたよね」


「……ああ」


「昔の人も」


「同じことをしたって」


 ヨーゼフは。


 しばらく。


 地面を見た。


「昔の人」


 違う。


「わしらじゃ」


 アルフレッドが。


 目を瞬く。


「え?」


「十一日前」


「地下を開けたのは」


「わしらの村の者じゃ」


⸻


 風。


 誰も話さない。


「どうして」


 アルフレッドが尋ねた。


 責める声ではない。


 ただ。


 理由を知ろうとしている。


「水じゃ」


 ヨーゼフが答えた。


「水?」


「あの日より」


「少し前から」


「井戸がおかしくなった」


 アルフレッドの表情が変わる。


 自分たちの村と。


 同じ。


「灰色の粒?」


 ヨーゼフが。


 驚いたように少年を見る。


「知っておるのか」


「僕たちの井戸にも出ました」


「……そうか」


 老人は。


 目を閉じる。


「最初は」


「ほんの少しじゃった」


「桶の底へ」


「粉のようなものが沈む」


「味が変わった」


「家畜が飲まなくなった」


「それから」


「子どもが腹を壊した」


 クララが。


 顔を伏せる。


「次に」


「畑じゃ」


「西側から」


「作物が駄目になった」


「根が黒くなった」


「葉が灰色になった」


「何をしても」


「戻らん」


 アルフレッドは。


 自分の指を見る。


 《清掃》。


 もし。


 自分がそこにいたら。


 きっと。


 使おうとした。


「それで」


「地下に?」


「昔話があった」


 ヨーゼフ。


「銀の手が」


「水を清める」


「黒の盾が」


「道を守る」


「お前たちが連れてきた」


「あの二つじゃ」


 A―07。


 B―03。


「じゃあ」


「昔の人は」


「地下に浄化施設があるって」


「知ってた?」


「名前までは知らん」


「だが」


「地下には」


「水を治すものがある」


「そう」


「伝わっておった」


⸻


「開けてはいけないとも」


「伝わっていたんですよね?」


 ノエルが尋ねる。


「……ああ」


「なぜ開けたのです?」


 ヨーゼフは。


 答えなかった。


 代わりに。


 クララが。


 小さく言った。


「赤ちゃんが」


「いました」


 アルフレッド。


 クララを見る。


「ルゥ?」


「違います」


 首を横に振る。


「別の家の子です」


「まだ」


「三歳でした」


 声。


 さらに小さくなる。


「水を飲んで」


「熱が出て」


「何も食べられなくなって」


「薬も効かなくて」


「……」


「だから」


「みんな」


「もう」


「待てなかったんです」


⸻


 五人。


 旧居住区の男たち。


 水を直すため。


 地下へ入った。


「誰が?」


 ガルドが尋ねる。


 クララが。


 名前を挙げた。


「旧居住区のまとめ役だった」


「オルドさん」


「フィンのお父さん」


「ラウルさん」


 少し離れた場所。


 フィンの肩が。


 ぴくり。


 動いた。


 話を聞いていたらしい。


「それから」


「私の夫」


 アルフレッドが。


 クララを見る。


「……ルゥのお父さん?」


「はい」


 クララの視線が。


 赤子を抱くミアへ向かう。


「ダリオです」


 残り二人。


 若い猟師。


 石工。


 計五人。


「武器は?」


「持っていました」


「食料?」


「一日分だけ」


 ガルドの眉が。


 険しくなる。


「一日?」


「すぐ戻るつもりだったんです」


 そう。


 誰も。


 十一日も。


 帰ってこないとは。


 思っていなかった。


⸻


「その子は?」


 アルフレッドが尋ねた。


「三歳の」


「病気になった子」


 沈黙。


 クララが。


 目を伏せる。


「……亡くなりました」


 アルフレッドは。


 何も言えなかった。


 地下へ入った五人が。


 戻らないまま。


 子どもも。


 助からなかった。


 そして。


 翌日。


 灰が。


 村へ押し寄せた。


⸻


「A―07」


 ノエルが。


 銀色の番人を見る。


『確認』


「十一日前」


「第三旧居住区の封鎖機構が」


「開かれた記録はありますか?」


『照合』


 A―07の青い瞳が。


 ゆっくり明滅する。


『第一浄化施設補助記録へ接続』


 一拍。


『記録確認』


 全員。


 息を止める。


『封鎖門』


『外部手動操作』


「外部?」


『管理者権限――未使用』


「つまり」


 ノエルが言う。


「正規の方法ではなく」


「手動で開けた?」


『肯定』


「できるの?」


 アルフレッド。


『非常時解除機構』


「じゃあ」


「壊したんじゃなくて?」


『一部機構損傷あり』


『手動解除併用』


「無理やり開けたんだ」


『概ね肯定』


⸻


「人は?」


 ガルド。


「五人入った記録」


『照合』


 数秒。


『生体反応』


『五』


 クララが。


 息を呑む。


『封鎖門通過』


『内部側へ移動』


「戻った記録は?」


 一拍。


『……なし』


 フィンが。


 顔を伏せる。


 クララは。


 目を閉じた。


「中で」


「死んだ?」


 アルフレッドが。


 静かに尋ねる。


『判定不能』


「どうして?」


『封鎖区画内部』


『感知妨害』


『生命走査――制限』


「今も?」


『肯定』


 アルフレッドが。


 顔を上げる。


「じゃあ」


「死んだって決まってない」


 クララが。


 少年を見る。


「十一日です」


「うん」


「食料は」


「一日分しか」


「うん」


「それでも?」


 アルフレッドは。


 すぐには答えなかった。


「分からない」


 そして。


 正直に言った。


「でも」


「分からないなら」


「死んだって決めるのも」


「違うと思う」


 クララの唇が。


 僅かに震えた。


⸻


「もう一つ」


 ノエル。


「封鎖門を開けた後」


「侵食率は変化しましたか?」


『照合』


 A―07。


『第四浄化塔侵食』


『開門以前――』


 数字。


『61.8%』


「今は?」


『74.1%』


「十一日で」


「十二%以上……」


 ノエルが。


 帳面へ記す。


「開けた直後は?」


『急激な変動を確認』


「どれくらい?」


『開門後六時間以内』


『第三旧居住区侵食指数』


『約4.7倍』


 誰も。


 声を出さなかった。


「じゃあ」


 クララの顔が。


 青ざめる。


「私たちが」


「開けたから……?」


「待って」


 アルフレッドが言った。


「まだ決まってない」


「でも!」


「開けた後に増えた」


「それはそうだけど」


「原因が」


「開けたことなのか」


「中にあった何かなのか」


「ほかの理由なのか」


「分からないでしょう?」


 ノエルが。


 少年を見る。


「その通りです」


「時間的な関連はあります」


「ですが」


「因果関係までは確定できません」


 クララは。


 何も言わず。


 自分の手を握った。


⸻


「アル坊」


 ガルドが。


 低い声で呼ぶ。


「何?」


「行くって言うなよ」


「……」


「言うつもりだったな」


「だって五人」


「分かってる」


「生きてるかもしれない」


「それも分かってる」


「じゃあ」


「今」


「お前が行ってどうする」


 アルフレッドが止まる。


「場所」


「分からねぇ」


「内部構造」


「分からねぇ」


「侵食」


「七十四%」


「門を開けたら」


「さらに悪化する可能性がある」


「そこへ」


「十二歳の領主を」


「突っ込ませるわけにはいかねぇ」


「でも」


「助けるなとは言ってない」


 アルフレッドの顔が。


 上がった。


「準備する」


「情報を集める」


「安全な入口を探す」


「中の状態を調べる」


「それからだ」


「……うん」


「順番を間違えるな」


「うん」


 ガルドは。


 それ以上。


 何も言わなかった。


⸻


「B―03」


 ノエルが。


 巨大な番人を見る。


『確認』


「あなたは」


「十一日前」


「第三旧居住区地下にいましたか?」


『記録照合』


 一瞬。


 青い瞳が。


 赤く揺れる。


『記録領域――損傷』


「覚えていない?」


『部分記録あり』


 全員。


 B―03を見る。


『十一日前』


『封鎖門』


『警告』


『未登録生体――五』


「五人!」


 クララが。


 身体を起こす。


『停止命令――実行』


「止めようとしたの?」


『肯定』


「それで?」


『……』


 B―03の声が。


 乱れる。


『侵食反応』


『急上昇』


『防衛区画――異常』


『通信断』


『……』


『次記録』


『侵食率――』


 停止。


『68.9%』


「その間が」


「ないのか」


 ガルド。


『記録欠損』


 やはり。


 重要なところが。


 消えている。


「五人とは」


「戦った?」


 アルフレッドが尋ねる。


『不明』


「傷つけた?」


『不明』


「……」


 B―03が。


 僅かに。


 頭を下げる。


『回答不能』


『謝罪』


「いいよ」


 アルフレッド。


「ビーさんも」


「侵されてたんでしょう?」


『肯定』


「なら」


「ビーさんが悪いって」


「まだ決まってない」


『……了解』


⸻


「ところで」


 ノエルが。


 昨日の記録を見る。


「十一日前の開閉履歴には」


「開いた記録しかないのですか?」


 A―07。


『照合』


 青い光。


『開放』


『十三分四十七秒』


「十三分?」


『その後』


『封鎖機構――閉鎖』


「閉じた?」


 アルフレッドが。


 驚く。


『肯定』


「誰が?」


『自動閉鎖』


「じゃあ」


「五人は」


「閉じ込められた?」


『可能性――高』


 クララの顔が。


 完全に強張った。


「開ければ」


「出られる?」


 アルフレッドが尋ねる。


『可能』


「じゃあ――」


「待て」


 今度は。


 ノエル。


「開けた場合」


「侵食が再び急増する可能性があります」


『肯定』


「つまり」


 ガルドが。


 腕を組む。


「中に生きてる奴がいても」


「助けるために門を開けたら」


「外がもっと酷くなるかもしれねぇ」


「……」


 誰も。


 簡単な答えを出せなかった。


⸻


「別の入口」


 セルマが。


 静かに言った。


 全員が。


 彼女を見る。


「門を」


「開けなくても」


「中を見る方法はないのでしょうか」


 アルフレッドの目が。


 大きくなる。


「エーナナ!」


『確認』


「ある?」


『検索』


 A―07。


 停止。


『封鎖区画』


『保守観測路――』


 音声。


 乱れる。


『一箇所』


「ある!」


 ノエルが。


 身を乗り出す。


「どこです?」


『第一浄化施設より』


『北西保守枝路』


『観測井へ接続』


「中に入れる?」


『否定』


「見るだけ?」


『肯定』


「それでいい」


 ガルドが。


 即答した。


「まずそこだ」


⸻


「距離は?」


『徒歩――約一時間十二分』


「安全性」


『不明』


「またか」


『長期間未点検』


「でも」


 アルフレッドが言う。


「門は開けなくていい」


『肯定』


「第四浄化塔にも行かない?」


『経路上――非接触』


「なら」


 ガルド。


 頷く。


「調べる価値はある」


 アルフレッドが。


 口を開く。


「僕も」


「待て」


「まだ何も――」


「今度は」


 ガルドが。


 少し考える。


「行かせる」


 アルフレッドが。


 逆に固まった。


「え?」


「どうした」


「止められると思ってた」


「俺だって」


「何でも反対するわけじゃねぇ」


「本当に?」


「帰るか?」


「行きます!」


 即答。


「ただし」


「条件」


「分かってます」


「聞け」


「はい」


「観測井まで」


「それより先へ行かない」


「うん」


「扉を開けない」


「うん」


「《修繕》も《清掃》も」


「俺が許可するまで使わない」


「うん」


「何か声が聞こえても」


「勝手に走らない」


「……」


「そこ」


「一番大事だ」


「はい」


⸻


「今日は?」


 アルフレッド。


「行かねぇ」


「え」


「今から準備だ」


「食料」


「水」


「縄」


「灯り」


「昨日地下から帰ったばかりだろ」


「でも」


「焦るな」


 ガルドが。


 真っ直ぐ少年を見る。


「中で十一日待ってる奴がいるかもしれねぇ」


「だからこそ」


「一回で」


「ちゃんと届く準備をする」


「……うん」


 アルフレッドは。


 頷いた。


⸻


 その日の午後。


 観測井へ向かうため。


 準備が始まった。


 A―07。


 経路確認。


 B―03。


 今回は。


 村へ残す。


「どうして?」


 アルフレッドが尋ねる。


「通路が狭い」


 ガルド。


「こいつ」


「引っ掛かる」


『全幅――通行制限超過』


「ビーさん大きいもんね」


『肯定』


「気にしてない?」


『問題なし』


「よかった」


 B―03は。


 見張り台の補助と。


 村の防衛。


 A―07が。


 探索隊へ。


⸻


 ヘルマンは。


 A―07の右肩へ付けた鉤を。


 さらに調整していた。


「昨日」


「荷車引いたせいで」


「ここが削れとる」


「壊れた?」


 アルフレッド。


「まだじゃ」


「だから」


「壊れる前に直す」


 ヘルマン。


 鉄片を。


 薄く追加。


「修繕じゃない?」


「補強じゃ」


「違うの?」


「違う」


「壊れてから戻すのがお前」


「壊れる前に」


「壊れにくくするのが」


「わしら職人の仕事でもある」


 アルフレッドが。


 少し考える。


「……それ」


「僕よりすごくない?」


「ようやく分かったか」


「ヘルマンさん嬉しそう」


「うるさい」


⸻


 夕方。


 ミアが。


 家の前まで歩けるようになった。


 まだ。


 クララに支えられている。


「領主様」


「ミアちゃん」


「身体大丈夫?」


「はい」


「本当?」


 後ろから。


 マルタ。


「今日は家の前だけだ!」


「大丈夫じゃないみたい」


「すみません……」


 ミアは。


 それでも。


 アルフレッドへ頭を下げた。


「みんなを」


「助けてくれて」


「僕は行ってないよ」


「でも」


 ミアは。


 小さく笑った。


「お姉ちゃんが」


「ここなら」


「助けてくれるって」


「言ってました」


 アルフレッドは。


 少し困った顔になった。


「まだ」


「助けられてない人もいる」


「……」


「五人」


 ミアの表情が。


 変わる。


「ダリオお兄ちゃん……」


「うん」


「探す」


 アルフレッドは言った。


「絶対?」


 その言葉。


 アルフレッドが。


 一瞬止まる。


 ガルドなら。


 絶対はない。


 そう言う。


「……見つけるまで」


「できることをする」


 ミアは。


 少しだけ。


 首を傾げた。


 そして。


「はい」


 頷いた。


⸻


 夜。


 明日の探索隊。


 アルフレッド。


 ガルド。


 ベルン。


 マルク。


 A―07。


 五名。


 目的。


 封鎖区画。


 保守観測井。


 中へは入らない。


 門を開けない。


 生命反応。


 あるいは。


 痕跡。


 それを確認するだけ。


「確認するだけ」


 ノエルが。


 三回言った。


「分かってます」


「本当に?」


「はい」


「声が聞こえても?」


「走らない」


「手が見えても?」


「勝手に開けない」


「助けてと言われても?」


 アルフレッドが。


 黙った。


 長い。


 沈黙。


「……ガルドさんと相談する」


「よろしい」


 ノエルが。


 ようやく頷いた。


⸻


 その頃。


 地下。


 第一浄化施設。


 A―07とは別の。


 古い機構が。


 断続的に。


 信号を拾っていた。


『封鎖区画』


『内部通信――』


 ざっ。


『受……信……』


 途切れる。


 また。


 数分後。


『……信……』


 弱い。


 あまりにも。


 弱い。


 機械音なのか。


 ただの故障なのか。


 判別できない。


 それでも。


 補助機構は。


 繰り返し。


 解析を続ける。


『音声成分――検出』


 ざざ。


『……だ……』


『……れ……』


 そして。


 一瞬だけ。


 言葉になった。


『……誰か……』


 沈黙。


 数十秒。


『……外に……』


 再び。


 途切れる。


 最後。


 かすかな。


 声。


『……いるのか……?』


 その直後。


 第一浄化施設。


 停止していた表示の一つへ。


 新しい文字が。


 浮かび上がった。


『封鎖区画内部』


『微弱生命反応――』


 一。


 表示。


 消える。


 数秒後。


 また。


『微弱生命反応――1』


 五人いたはずの。


 封鎖区画。


 その奥で。


 少なくとも。


 一つ。


 まだ。


 消えていない反応があった。


⸻


第34話 十一日前に開いた門 了

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