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三十四話

アンジェラの家に来るのは二回目だった。

そこで私はアンジェラが男と二人暮らししている、と言った担任の言葉を思い出した。

近くに来ると、二人で住むには大きいその屋敷がのし掛かってきそうに感じた。

アンジェラが玄関口のドアに手をかけると、鍵が閉まっていた。

「なんだ、まだ帰ってないの」

その言葉を聞いて、少なくともアンジェラが誰かと一緒に住んでいる、というのは本当だと分かった。

いや、でもアンジェラは未成年だ。親や保護者と同居するのは当たり前だ、と切り替えようとする。だけど、男と二人暮らししている、という担任の言葉が頭をぐるぐると巡って駄目だった。

私がそんなことを考えているとは知らず、アンジェラは鍵を開ける。がちゃり、と音がしたのではっと前を向くと、アンジェラが扉をこちらに開けていた。


「いらっしゃい。来るのは二回目だよね。」

「うん」

アンジェラにリビングに通される。

「そこ座って」

促されるまま、ソファに座ると、その真ん前にミシェルも座る。

「お茶いる?」

「いらない、それより、話してくれる?早く帰らないと母が心配するの。前に言ったでしょう、このあたりは人さらいが出るの」

「そう、その人さらいの話。その話、本当にそうなのって言ったら、納得する?」

「…するわ」

だって、もう巻き込まれているのだ。クラスメイトはいなくなっているし、私自身も狙われている。母の話もある。納得するしかない。

「このあたりでは人さらいが出る。だけどその首謀者は、この土地の領主って言ったら信じる?」

「え…。」

この土地を治めるのは、幼子でも知っている。恋愛劇の悲劇のヒロイン、エリー・ボアストーンの家。

ボアストーン家だ。


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