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二十九話
次の日、学校でエマはとなりのクラスに行き、テリーザに話しかけた。教室のドアの近くで待っていると、廊下にテリーザが出てきたので用件を伝える。
「テリーザ、エイダンさんたちに話してほしい事があって…」
「…どういうこと?聞かせてくれる?」
「神の花嫁の話なんだけど…」
母のした話をテリーザに伝えた。
するとテリーザの顔色が変わった。
「分かった、兄に伝えておくわ」
話しおわった、と思って振り向くと、目の前に担任がいた。まずい、厳しいんだよな、とエマは怒られる覚悟をした。
「エマ・ジョーンズ。授業が始まるぎりぎりまでおしゃべりは感心しないね」
「すみません先生。」
「いいわ、早く教室に入りなさい」
だが、責められなかった。そのまま教室に入り、普通に授業を受けさせて貰えた。エマはなんだかそれが変な感じだった。
(先生の機嫌がよかったのかも、機嫌が悪いと生徒にきつく当たるものね)
エマはあまりこの担任が好きではなかった。そのあたりの線引きがあまりちゃんとしていない所があって、こういうところが苦手だった。
エマはこの時安心していた。テリーザに伝えるべきことは伝えたという安心感が、勘をにぶらせていた。
呑気な顔のエマを誰かが見つめている事なんて、気付いてなかったのである。




