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二十八話
次の日は休日だったので学校はなかった。
エマは部屋でごろごろしていたが、お腹が空いて階下に向かう。台所に何かないか探しに行くのだ。なんて理想的な休日。エマは怠惰な休日を過ごしていた。
台所では母がコトコトと鍋を煮ていた。
「ママ、何かない?」
「もうすぐスープが出来るから待ちなさい」
「うん…」
そこでふと、エマは母に聞いてみることにした。
「あのねママ、この土地って行方不明者が多いって本当?」
「そうね、そう言われてるわね。誰から聞いたの?」
「友達」
「そう」
母は少し間を置くと、話し始めた。
「ママが学生の頃に行方不明になった子がいたわ。金髪の綺麗な子だった。その後、転校したって話が出て行方不明ではなくなった。でも、友達がその子が知らない馬車に乗るのを見たって言ったわ。それから数日後、その子は死体で発見された。むごい殺され方をしていたわ。女性として最悪の屈辱を味会わされたのがわかった。だからこの話は誰もしないの。次は自分かもしれないから。」
母は淡々と話す。だけど、その淡々とした語り口は、母が恐怖を抑えているからなのだ、と目を見て分かった。
だからエマはそれ以上何も聞けなかった。
だけどエマはー…。その話をエイダン達にしなければ、と思った。




