二十六話
「あのさ、エマ。久しぶりにうちの兄と話さない?いま帰ってきてるの。」
テリーザからそんな誘いが来たのは放課後だった。
「エイダンさんが?確か今は警察官だよね」
「そうそう、なんか話聞きたいんだって。協力してくれる?」
特に何か用があるわけでもない。お小遣いにも余裕がある。だけどアンジェラはどうしよう。アンジェラには遠慮してもらおうとしたら、むしろ人数が多い方がいいと言われ、その日はテリーザと三人で喫茶店に向かった。
そこにはテリーザの兄、エイダンと見知らぬ男がいた。
「お久しぶりです。そちらは?」
「やあエマちゃん。こいつは俺の仕事仲間のカーターだよ。そっちの子はー…!?」
と、アンジェラの方を見ると、瞳を見開く。
「やあ…、これは。」
「彼女はアンジェラ。最近転校してきたの。」
「なるほど…。君、誰かに似てるって言われたことない?」
と、カーターが口を挟む。
「似てるって?もしかしてミシェルの事?」
アンジェラが普通の事みたいにそう言うから、思わずアンジェラの方を見る。
「アンジェラ…自覚あったの?」
「あるよ。みんな気にしすぎ。」
「まあ、そうかも…?」
「えーと、そろそろ話してもいいかな?」
エイダンが表情を引き締めた。
「俺たちは今調査してることがあってね、守秘義務があるから詳しくは言えないんだけど、情報収集に協力してほしいんだ。ここの食事はおごるから。」
「何を聞きたいんですか?」
「最近行方不明者とか出てないかな、身近に」
その時、自分の体が強ばったのがわかった。
「何かあるんだね?」
私はどうしよう、とアンジェラの方を見る。だけどアンジェラは何も話す様子はなく、薄い笑みを張り付けているだけだった。




