十五話
「ここがアンジェラさんの家…」
そこは古い屋敷だった。子供の頃、怖くて近付かないようにしていた屋敷。中は結構綺麗にしてあって、住むには支障はなさそうだった。
「よいしょっと」
アンジェラはキャロルを担いだまま玄関の鍵を閉めた。
アンジェラに閉じ込められた、と気づいたがもう遅い。
そのまま屋敷の奥ー、リビングに連れていかれる。
(すごい力、人を一人軽々担いでも平気そうなんて)
アンジェラは何者なのだろう。なぜミシェルとこんなに似ているのかも気になる。
ぐるぐると思考を巡らせていると、アンジェラがキャロルをソファに寝かせた。
「さて、見られたからにはあなたにも協力してもらうよ、エマ」
「あ…」
アンジェラに初めて名前を呼ばれた。でも私は名乗っただろうか、そう疑問を感じたが今はキャロルのことなど、他に気になる事があるのでその疑問は脇に置いて、今一番聞きたいことを聞く。
「…あなたは何者なの?」
「それを答える資格を私は保持していない。だから答えられない。でも言えるのは、私はあなたたちの敵ではないってこと」
「敵ではないって…」
「私はある人の命令でこの学園に来た。目的は言えない。だけど私はあなたの敵じゃない。それだけ覚えてて。」
「そう…なの」
ここまで連れてきておいてすべて話すつもりはないらしい。だが、敵ではないと言われてなんだかほっとしている自分がいた。なぜなのかは分からない。
「…キャロルは無事なの?」
「…この金髪の事か、彼女はもうすぐ死ぬ」
「…は!?」
「お願い、何も聞かないで。本当はあなたを巻き込むつもりはなかった。だけど、ここであなたが襲われてしまったから。保護する必要があった。あなたが傷つけられないために。私はあなたを傷つけたくないの。」
「待ってよ、分からない。死ぬって…どういうこと!?キャロルはクラスメイトなんだよ!?」
「エマ!!」
肩を掴まれる。さっきのキャロルみたいにー…。
「いやっ離して!」
アンジェラの手を振り払う。アンジェラはー…傷ついたような顔をしていた。
「あ…」
その顔を見たら、なんだか何も言えなかった。
「…怖いよね。」
彼女は困ったように笑う。
「何も話せないの。だけどお願い。私を信じて…。」
「…むりだよ」
「エマ」
その時、アンジェラの後ろに金髪が見えた。それはアンジェラに掴みかかかった。
「アンジェラ!!」
反射的に走り出し、アンジェラをかばう。
「エマ!!」
地面に叩きつけられた。
…キャロルだったそれと目が合う。それで分かった、これはもうキャロルじゃないー…。
「あああああああ」
キャロルだったナニカはそのまま、エマに襲いかかろうとした。
だができなかった。
「何してるの?」
アンジェラが止めた。
それの首に腕を掛けると、ゴキ、と音がして、そのままナニカは活動を止めた。
もう動かなくなったのを確認すると、アンジェラはエマに近付いてきた。
「あ…」
「ごめん、怖かったでしょう」
エマはもう何も言えなかった…。
◇◇◇◇◇◇
次の日、エマは普通に学校に行った。
別に平気だったわけじゃない。自分の見たことが信じられなくて、現実味がなかったから、実感がないのだ。
だけど、教室でアンジェラに会った瞬間、あれは現実だったのだ、と急に思った。
「アンジェラさん…」
「おはよう、エマ。…今日一緒に帰らない?話したい事があるの」




