十三話
アンジェラと別れて、家に向かう途中だった。三叉路から歩いて10メートルくらいの林から何か影が出てきた。
「えっ…?」
エマは身構えた。何かの獣かと思ったからだ。だけど、野生の獣にしてはサイズが大きい。海の近くのこのあたりにはあまり大型の獣はいないし。
だけどそれは、よく見ると人に見えた。金色の髪をしていて、大きさは…そう、エマと同じくらいの年頃の、少女…。
それはふらふらしていて、あたりを見回していた。
エマは動けなかった。あまりにも異様だったから。
そこでまごついていると、それと目があった。そして、それはエマの方にすごい早さで迫ってきた。
「…まぁ!えまあ!」
「キャアアアっ!」
それは青い瞳をしていた。そして、気付いたら至近距離にいて、エマの肩を掴んでいた。
「たす、たすけ…わたし…わたしは…」
「痛い!」
ぎりりと爪が食い込むほど強く肩を掴まれる。
それはぼそぼそと喋っているが、よく聞き取れない。
「かみのはなよめに…なってはいけないわ…!」
「え…?」
聞き取れたのはそれだけだった。だって次の瞬間、それは横から思い切り蹴られて地面に倒されていたから。
「うっ!」
地面にそれが伏したのを見て、すぐにそれを蹴ったものを確認した。
「大丈夫?」
「あ…アンジェラさん!」
「それ、何?」
「分からない…」
地面に伏して唸っていたそれは、よく見ると女性だった。着ているのは学校の制服に見える。
アンジェラに庇われながらそれから距離をとる。金髪のそれは今体勢を建て直そうとして、乱れた髪の隙間からアンジェラを視認したのがわかった。
「ミシェル…!」
アンジェラを見て、そう言った。




