Chapter6 議論、のちに口論
「君は男のキャラが薄いと言ったな」
猩々さんの入れたお茶をすすりながら頷く。この間の一方的な――私は一方的だとは思っていないのだけれど――悪口は、私が悪いらしい。まあ考えてみれば、あそこで調子に乗ってベラベラ意見を言った私も悪くないわけじゃないっていうか、まあ、うん。
真紀に一部始終を話せば、それはアンタが悪いと怒られ、相模くんの耳に入り、るきちーが謝った方が良いかもなと言われ。そうしてしぶしぶ謝罪をしたが「なんか」で片づけられた。
その事実にイライラするまま家に入れられる。時計は午後五時半。私と真紀と相模くんにお茶を手渡して、突然質問を始めた猩々さんを凝視してみる。
「ではどうすれば良いと考える」
挙句これである。この間は私の意見を聞いてブチ切れたくせにさ。本当、どこまでも自分の事しか考えない奴だ。鳴海さんとは正反対。ぴらり、と絵が描かれた紙を手渡される。ちくしょー、絵上手いな。可愛い主人公じゃないですか。
「今回、主人公は少女漫画オタクなんだ」
「それなら少女漫画のヒーロー系男子はどうですか。王道の中の非王道をいくなら性格が悪い感じで、あ、ドSとかじゃなくて本当に性格がクズっていうか」
「……詳しく聞かせてくれ」
姉のせいで少女漫画が好きになった男の子。少女漫画のような恋愛に憧れて、いつも学園の王子様を演じている。しかし実際はネガティブ思考、皮肉屋でネチネチうるさい。そんなお相手さんはどうですかね、と紙の端を借りイメージ台詞を書き込みつつ説明する。
「成程な。皆が好きになりたくない王子……面白い。ライバル役に本物の王子を入れるのもいいかもしれん」
「王子vs偽王子ってことですか!? じゃあその王子は天然ポジティブとかどうでしょう。主人公の憧れだった人とか」
「その王子は主人公の友人が好きで主人公に近づいたところを相手が勘違い、か! じゃあ友人はどうなる?」
「サバサバ系美少女ですよ!」
「サバサバ系美少女か!」
見事にハモって、相模くんが噴き出した。私は思いっきり彼を睨み付ける。良いところだったのにさ。
「悪いってるきちー、睨むなよ。ただいつの間にかるきちーも乗せられてるし、仲良しだなあって思っただけだからさー」
私が口を開く前に、猩々さんが反論する。
「誰と誰が仲良しなんだ。この女と僕が、とか言ったら潰すぞ」
「ひー怖。真紀、逃げよう! 俺ら菓子買ってきまーす」
猩々さんのおい! という言葉から逃げるように、真紀と相模くんは扉へと向かっていく。何なんだあいつら。結局問い詰めてないけど、やっぱり付き合ってんのかな。新たなネタの予感にワクワクしながら、ふと眠気に襲われた私はあくびを零した。




