Chapter12 夢見る瞳に映る現実
「……私達、外で待ってていいかな」
「えっ、真紀ってそんなビビりだっけ?」
「……金払ってまで怖い思いする必要はないっしょ?」
「何だ相模、大学生になってまだこんな子供だましが怖いのか?」
入り口の前で佇む二人を無理やり押し込む。どうやらこのお化け屋敷は二人ずつで入場するようだから、真紀と相模くんをくっつけるチャンスだ。猩々さんもニヤニヤしながら頷いている。
「猩々さん、私たちも入りましょう」
「ああ」
急いで二人の後を追おうとするも、係の人に止められてしまった。
「すみません、少し待ってくださいねー」
えっ何で止められたの!? こんな所で止められては、二人の様子を見ることなんてできやしない。ちらりと係の人へ視線を送るも、人数が、とか定員が、とか言われるばかり。しばらくして、お待たせしましたの声と共に私たちは駆け込んだ。案の定、二人の姿は見えない。
「くそ、あの係員め……」
「仕方ない……おい夜月、お化け屋敷らしいネタについて考えながら行くぞ。南と相模の代わりだ」
「お化け屋敷らしいネタねぇ……」
今まで読んだ少女漫画を頭の中で展開しつつ考える。大抵の少女漫画で、主人公は怖がる。まあ確かに怖がる女の子の方が可愛いかも知れない。強気な子がホラー怖いとかギャップあっていいし。……ホラー好きで悪かったな。
「やっぱり無難に怖がるのが良いんじゃないですか?」
「それじゃありがちすぎないか」
「なら怖がってるけど怖くないふりをするとか?」
猩々さんはいまいちピンと来ていないような顔をしている。これもダメか。じゃあどんな主人公ならいいんだよ。全然怖がらない主人公か? 可愛くなくね?
「……いや、いっそ怖がらない主人公でもいいかもしれない」
「それだと可愛くはなりませんよね」
「別に、ホラー好きでも可愛くないわけではないだろ。僕ならギャーギャー騒ぐ女よりマシだと思うがな。……ああ、雪乃なら騒いでも可愛いが」
……ふぅん。そっか。そんなもんか。突然出てきた雪乃に小さく溜息を吐く。でもそっか、鳴海さんもうるさいの嫌いだもんなぁ。鳴海さんとお化け屋敷か。どっちも怖がらないで終わりそうだな。今隣にいるのが鳴海さんだったら、煩くないお前が相手でよかったとか言ってくれるのかな。
「……まあ、煩くない君が相手でよかったよ」
「……え」
「何だよその顔は。間抜けな顔を向けるな不快だ」
「まっ、間抜けって何ですか失礼な!」
本当、失礼すぎるこの男。さっき少しでも鳴海さんと重なって見えたのは、絶対勘違いだ。ありえない。というか鳴海さんと猩々さんに似てるところがあるとか許さないし信じない!
「おい、さっさと出るぞ。君は何をしてもトロいな」
きっと私の目がおかしいんだ。それしか理由がない。




