表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちは一目で恋に落ちない  作者: 吉須賀 陽子
夢にしては雑なつくりのリアル
10/24

Chapter10 済み印はしっかりどうぞ

「明吉先輩、デートするつもりありません?」

「……僕は今忙しい。戯言は一人で頼むよ」


 戯言って明吉先輩、流石に酷くないっスか。ペンを走らせる先輩を横目で眺めながら、パラパラと部屋にある少女漫画を眺める。別に俺は少女漫画が好きなわけじゃないぞ。そもそもこの部屋には少女漫画と絵のサンプルの本しかないんだ。


「大体、早く帰れよ。何で僕の部屋に入り浸ってるんだ君は」


 ……それは。それは、真紀の考えたとある作戦のせいである。あいつはどうしてもるきちーに恋愛をさせたいみたいで、そのためにとにかく明吉先輩とデートをさせたいんだとか。まあ俺も、明吉先輩がるきちーとくっついてくれればすごく嬉しい。先輩も先輩で若干人間不信気味なところがあるから、そんな先輩に彼女の一人や二人――二人もいたらダメか。とにかく、彼女を作ってほしいのだ。というかこの歳になってもお付き合い一切ナシ、っていうのは問題アリだと思う。少女漫画家を目指す人としても、男としても。


「先輩。でも少女漫画においてデートって結構重要じゃないですか。そういう重要な行事は経験しといた方が良いっしょ?」

「……経験済みだ」

「はあ!?」


 ちょっと予想外な返事である。明吉先輩が、デートをしたことあるだって? ということは彼女がいるってことか? 嘘だ!


「なんで明吉先輩みたいなヤツに彼女ができて、俺にできないんスか!」

「とんだ暴言だな! いいから君は帰れ、執筆の邪魔だ!」

「明吉先輩! 彼女紹介してくださいよ!」

「うるさいな、今はもういない! いいから君は帰れ、執筆の邪魔だ!」


 ……ってーことは、元カノってことか? いやそれでも羨ましい。チクショー、俺だってちょっと頑張れば彼女の一人や二人……。


「……明吉先輩、今元カノについて詳しく聞かれるのと、今週の土曜日ちょーっと女子とどこか行くの。どっちいいっスか?」


 拳を握りながら尋ねる。俺だって……俺だって彼女くらい……!


「どっちも断る。大体な、この間の合コンもそうだが、僕は当分女と関わりたくはないんだ。あんな身勝手で面倒な生き物、こっちから願い下げだね」

「でもるきちーと漫画のネタ練ってる時は楽しそうでしたよね?」

「あれは……あの女が予想外に話についてこられたからだ。女だろうと男だろうと、ネタになりそうな話ができるのであれば利用する」


 ……うーん。この任務、難しそうだ。スマン真紀、最後の切り札使わせてもらう。


「お願いします、明吉先輩。このデート、真紀も来るんス」

「それがどうした」

「先輩とるきちーがデートすれば、真紀と俺もデートするってことになるっしょ。俺、真紀と夏祭りデートしたいな~」


 先輩の筆が止まる。俺はしめたと思いながら、顔を伏せた。演技は上手い方じゃないけど、とりあえずこのまま貫き通そう。明吉先輩が、椅子ごとこちらを向く。俺は手元の少女漫画に目線を落としたまま。でも、何となく先輩の口角が上がるのがわかった。


「……ふん、いいだろう。丁度ネタに詰まっていたところだ。君たちのデート、ネタにさせてもらうぞ」


 ニタリと笑った先輩に冷や汗をかく。……真紀、本当、申し訳ない。お前は巻き込んだが、この任務成功しそうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ