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愛の歌  作者: Dust
10章
248/250

244話 調査

会場の外。

舜は出てくる人を見かけては話しかける。

「どーも、こんにちは。ちょっといい?」

「ん?あ、兄ちゃん大会出とった人やん。何負けとんねん、こっちは3ヶ月分賭けとったのに。」

「ごめんごめん、でも装置が壊れちゃ俺にはどうしようも・・・。・・・この大会、賭け、してるんだ?」

「そ、国単位でな。」

舜は少し考える。

「この国の王・・・王でいいのかな?トップは誰?」

「ああ、王だ。王国だよ。ファリン3世。」

「・・・そう。」

国が運営してる大会で不正もあった。

どこまで疑うべきか、思案する。


「で、兄ちゃんが話しかけてきた理由はなんや?」

「そうだね・・・今回の大会でいつもと違うところとか、変な人を見たとかなかった?」

「んー?特に無かったけど・・・。」

「そう、ありがとう。」

お互いにこやかに会話が終わる。

「・・・思ったより、地道にやるんだね。」

横から合流したクーユーが声をかける。

「ん、捜査の基本は足!って本で見た!」

「でもこの方法だと嗅ぎまわってるのがバレないかい?」

「どの手段でもバレるんじゃないかな。どこで誰がどう繋がってるかも分からないのに、完全に隠れ切る案なんて無いさ。」

「それもそうだが・・・下手にバレて手を打たれると面倒だよ?」

「・・・・・・んー。ちょっと悩もうかな。今の1人目で考える事も出来たし。」

2人は会場内に戻る。


「考えること?」

「そう。国で賭けが行われてる大会なんだって。じゃあ、不正を簡単に行うのも難しくないか?と。」

「咲希様の件だね。・・・つまり君は。」

「うん、国にも息がかかってるんじゃないかなと。」

突如、2人は背筋が凍ったかのような感覚に囚われた。

「お見事ですね。・・・それで、クーユー。()()()()()()()()()()()()()()

「ラミツ―そうか、君が動くか。」

クーユーが振り向きながら答える。

糸目の修道女・・・修道服の上からでもそのスタイルの良さが伺える青髪の女。


「気を付けて、彼女はラミツ。基本的に真希様以外上下はない我々の中で・・・実質的なNo.2だ。」

「・・・わざわざ目の前に現れてくれたって事は、会話は出来るんだよな?」

「ええ、もちろん。その為に来ましたから。」

微笑んでるようには見える。だが、その奥底では何を考えてるかは分からない。

「じゃあ・・・あんたらは国とグルで、国としては大会の成功で賭け金を貰いたい。だから、表向きの大会の邪魔をしないようにしつつ裏で貰う取引をしている・・・。・・・いや、違うな。違う・・・。」

舜は今手に入ってる情報だけで頭をフル回転させる。


「シュラが大会に出てるのだから、表向きで取れるならそれに越したことはないはず・・・?となると国単位ではなくて、ごく一部に息がかかっていて・・・。その二者に利点がある取り引き・・・?」

「お答えする義務はありませんが・・・()()()()がある以上、辿り着けませんよ。」

「見落とし・・・ヒントはくれるんだ。」

「ええ。真希様は素晴らしい方ですが・・・あなたがもっと素晴らしい方の可能性もありますので。」

サラッと言われた言葉に、舜は目をぱちくりする。

「場合によってはこちら側に付いてくれる・・・で、いいの?」

「さあ・・・どうでしょう。」

ふふっと微笑むその目から、少し眼光が覗いたような気がした。


「・・・それで、そっちから会いに来た理由は?」

「そうですね・・・ではお願いから行きましょうか。我々の行動に介入しないで頂きたい。代わりに、全てが終わったら邪神はお返ししますので。」

「・・・1度、咲希の故郷を滅ぼした相手にそう簡単に渡せると思うか?」

「では警告に入ります。我々の行動に介入しないでください。」

「同じ理由で、断るが。」

ラミツの眼が、少し開く。まるで、嬉しそうに。

「ラミツ!」

その背後から、誰かが駆け寄ってきた。


「!・・・ビャクシ。」

「・・・久しぶり、えっと。・・・邪神の件だよね。」

「来てたんだな。・・・・・・。」

ビャクシの立場を考えて、どう切り出そうか悩む。

「ねぇ、少しでいいから・・・邪神を譲ってくれないかな。今回は前回みたいにはきっと私がさせないから。」

「・・・・・・消える運命からの脱却、だったな。なら、条件がある。俺も立ち会うこと。」

「その位なら・・・いいよね?ラミツ。」

「判断するのは真希様ですよ。少し時間を頂きます。では・・・。」

ラミツはあっさりと帰って行く。

「・・・また、ね。」

ビャクシもその後を追っていった。


近くでは少しスタッフたちの動きが慌ただしくなっていく。

「・・・トーナメントの2回戦が始まるのか。」

「他の子達がどうなったか気になるかい?」

「いや、1回戦は問題なく勝ち上がれてるよ。・・・少し2回戦は気になるけどね。」

その予想通り、2回戦が始まろうとしている。

その内1試合は、思わぬ形で終わっていたが―。

「ロジク選手の棄権により、漣選手は不戦勝となります!」

その発表を聞きながら、漣は喜んでいいのかどうか悩んでいた。


「良かったのか?棄権で。」

「ふん、相手が舜なら試しにやり合ったが・・・それ以外には興味が無いんだ。」

ロジクは声をかけてきた相手に目を向ける。

「で、だ。僕の計画の邪魔はしないんだろうな?・・・真希。」

「勿論・・・上手くいくかはお前次第だがな。」

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