242話 裏
雑多に置かれた物の中で、人影がゆらりと動く。
入口には倒れた係員。その人影が不法侵入したのは明らかだった。
「・・・やはり・・・・・・最初から・・・。」
「最初から、なぁに?」
バッと人影が振り返る。
「君は・・・。」
「この2人を倒してまで探したいものがあったの?クーユーさん。」
入口から舜がクーユーへ向かって歩く。
「君と同じ事を確認しに来たんだと思うよ。」
「成程?それで結果は?」
「・・・あの抽選は仕組まれていた。私、シュラ、ロジクが簡単に2次リーグに行けそうなことも。咲希様が選ばれなかったことも、全部。」
「そう・・・で、それをやった犯人に目処は?」
舜の目は鋭くクーユーを見つめている。
「・・・真希様、あるいはラミツが手を回したか・・・・・・。心当たりとしてはこの2人、どちらも十道聖だ。」
「そうだな、俺もこんな事して得があるのはお前らが怪しいと睨んでいた・・・。」
お前らの言葉から、まだクーユーを疑っていると表明するが如く、舜は更にその視線でクーユーを刺し貫く。
「私は何も聞いてない・・・と言っても、なかなか疑いは晴れないだろうな。それに・・・裏で動くのであれば、何を企んでいるのかは私も気になっている。どうだい?私の監視も含めて、手を組まないかい?」
クーユーも真っ直ぐ舜の視線を返す。
ぶつかり合う視線の中で、舜は数秒沈黙を保った。
数分後。
何事も無かったかのように舜は愛花の元に帰ってくる。
「あ、舜兄―。」
「舜くん舜くん舜くん舜くん!!!!!!」
それを見ると同時に漣がすっ飛んでくる。
「なになになになに?」
「次のトーナメント表がまずいの!!見て!!!」
漣が紙を舜に渡す。
勝ち残った4人が決勝へ行く2次リーグ。
トーナメント形式であるため、すなわち4グループに分かれ、そのトーナメントに勝ったものが決勝へと向かえる。
1グループ目に、その一番最初に、舜と漣が並んでいる。
更に同じグループにロジクとオピスの名もあった。
「おー・・・割ととんでもないグループ。」
「とんでもないなんてものじゃないよ!!折角今まで同士討ちが無かったのに!!」
「5人勝ち上がった時点で1つは確実にぶつかったし・・・。」
他のグループに目を逸らして・・・。
「雪乃はまあ、決勝行けるな。で、シュラも確定だ。・・・・・・。」
舜は愛花に目をやる。
「・・・・・・どっちが強いんだろうね?」
漣ももう一個の同士討ちを思い描き、呟く。
「学生時代の成績は基本怜奈ちゃんが上でしたけど・・・魔力操作なら私の勝ちでしたよ!」
もう一個の同士討ち。残ったブロックにある名前。
愛花と怜奈の片方が、決勝へは行けない。
「舜兄的には・・・どっちのが都合がいいとかあります?」
「この前お願いした通りだよ。」
この前耳打ちされた内容。
その内の1つ、お願いされていた事。
「じゃあ・・・頑張るから、応援しててね舜兄!」
「勿論!」
「・・・お願い?」
漣だけが不思議そうに首を傾げる。
「漣ちゃん、私、優勝するね!」
「うわっ、急に宣戦布告された!?」
漣は少し勢いに負けかけたが、それでも強い意志を胸に言い返す。
「私だって、舜くんに勝って、決勝まで勝って、決勝でも勝つ!!!」
ビシッと指を指したその挑戦者に、舜は嬉しそうに微笑んだ。
暫く日程が空き。
それぞれがそれぞれの出来ることをして過ごす。
オピスが普段以上の鍛錬を積んでいるという記事が出て、漣は部屋に篭もり、何かをしている。
一方で怜奈や雪乃は普段と変わらずに過ごしている。
「・・・いいのか?こんな時まで私の鍛錬に付き合って。」
「・・・ん。・・・そんな数日単位で変わらない。」
怜奈は咲希の腕立ての上で本を読みながら、雪乃が料理を作ってる音を聞いている。
「・・・最近、隊長が作らないな。」
「無理強い・・・するもんでも・・・ないだろ・・・。」
「・・・・・・ちょっと恋しくなっただけ。」
「それより・・・あいつはどこで何してるんだ・・・?」
舜は朝早く出ては夜遅く帰る日が多かった。
そうして日にちが過ぎ去っていき。
ついに、決勝へと向かうための戦いが幕を開ける―




