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愛の歌  作者: Dust
10章
245/250

241話 くせ者

「・・・始まったね。」

モニターの前、舜達は全員で集まって試合を見守る。

「オピスと同程度と捉えても、元々の実力なら漣のが上だったし・・・平気、だろ?」

「どうかな。条件次第じゃ負けかねないよ、オピスにしてもカプロスにしても。」

咲希の言葉に舜が答える。

モニターでは開始と共にカプロスが目にも止まらぬパンチを放とうとしている。


(みんな・・・凄かった。場馴れしていてどんな相手でもきっちり対応していく舜くん。それを模倣したかのように相手の打つ手を一つ一つ潰した雪乃。巧みなコントロールで魔弾を操り近寄せさえしない愛花。全ての試合を即終わらせてる怜奈。でも・・・私だって。)

過去に、幾度も舜に鍛えてもらった。

元々の自身の鍛錬に、経験者の金言が加わった。

それだけではない。

共に教わる事の多かった雪乃は、舜の戦いを見ながら、それをきっちり自分のものにしてみせた。

愛花も舜の心に触れて、足りなかった戦いへの心構えが、今や舜と共に並び立てる程である。


(私だって!!!見て・・・!!盗む・・・!!!)

漣の槍から炎が溢れ出す。

一見するとカプロスの目の前に炎の円の壁が出来上がり、襲いかかるかのように。

しかし―

(見えた・・・溢れ出した場所の炎の幕は厚くても、補うように炎で覆わせた場所は薄い・・・!)

その炎は槍から現れ、四方八方から真ん中へ向かって塊となっていた。

すなわち・・・四方八方の部分は槍からの供給がすぐにあるが、真ん中へはすぐには行かないはずである。

「ぶち抜く・・・!」

ど真ん中へカプロスは拳を振り降ろした。


炎の壁は攻撃としても防御としても無意味であるかのように吹き飛ばされた。

その攻撃は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「漣っ・・・!」

「ああ、決まった。」

カプロスの身体が、横へ逸れる。

「漣・・・今のお前に俺は勝てるのかな・・・?」

「・・・え?」

咲希は驚いたかのように声をあげ、画面を注視する。


カプロスの身体は横へ逸れ、バランスを崩しかける。

それを追うかのように地面に炎が走る。

あまりに速いパンチ、読めなければまともに喰らってしまいそうな程。

だから、そのパンチを誘導するかのように炎で道筋を定め―読み切ったパンチの力を槍で横へ逸らしてみせたのだ。

「元々感の鋭い子ではあったけど・・・今のは狙って誘導した。考えてそれが出来るようになったのならあの子は・・・かなりのくせ者になる。」

「でもまだやで。くせ者言うたらカプロスもなかなかのもんや。」

「オピス。・・・・・・。」

漣は流した後の槍を、身体ごと一回転して横へ叩きつけようとし―


その槍は受け止められた。

バランスを崩したかのように見えたが、何とか踏ん張りきって、今度はカプロスが槍の飛んでくる場所を読んで掴んだのだ。

「何となくその子上がったら嫌な予感するんや、カプロス、勝ちぃ!」

カプロスは掴んだ槍を引っ張りながら、振り返る。

「次は何も間に合わせん!」

だが、視線の先には誰も居ない。

突如、空に影が落ち、上空から現れた漣のかかと落としを肩に喰らう。

受け止められることすら読んで、炎となって上へ回り込んでいたのだ。


だが、カプロスはその蹴りを食らってビクともしない。

(体幹が強い・・・!)

反動で漣の方が体勢を崩しながら、炎になり、着地してカプロスを見る。

カプロスは漣を見て、地面を見て、再度漣を見て―笑った。

「俺の負けだ!」

「・・・へ?まだ終わってない・・・。」

「謙遜はいい。俺が重症を負わないようにと仕掛けていた炎を使わずに戦っているのが今だ。」

地面を走らせてた炎は、カプロスがバランスを崩しかけた時、その足を取らんと仕掛けていた。

しかし、無理に踏みとどまったその足を取ってしまうと、どんな大怪我をするか・・・漣は無意識のうちに別の手で戦うことにしたのだ。


「その武士道見事なり。武運と健闘を祈る。」

カプロスはそのまま退場して行く。

漣は呆然と地面の炎の跡を眺める。

(忘れてた訳じゃない、でも使うという選択肢か出なかった。きっと直感でこれを使ったら酷い怪我をさせると思ってしまったのだろう。つまり・・・。)

漣は拳を握り締め、今の試合を噛み締める。

「まだ強くなれる。この今はいつ思い付くかすら不安定な直感のような何かを、あの炎の誘導のように狙って起こせれば、もっと・・・!」

歓声の中、波乱な一次リーグが終わりを告げた。


そして、ニ次リーグのトーナメントの組み合わせもクジで発表されていく。

32人によるトーナメント、3回勝ち、残った4人が決勝リーグへと向かう。

漣を賞賛と共に迎え入れる愛花と、残ってトーナメントの組み合わせを見守るもの。

咲希が、愛花の元へ走って来た。

「おい、大変だ!・・・あれ?舜はこっちじゃないのか?」

「ええ、ちょっと・・・えっと・・・ええ!ちょっと!」

「愛花、何か誤魔化してる?」

「そんなことよりだ!漣!お前も大変なんだ!」

「・・・?」

漣が不思議そうな顔で咲希を見る。

「ニ次リーグ、組み合わせが発表されたが・・・!お前の初戦が・・・!」

咲希は息を整えて、続けた。


「漣の初戦は、舜なんだ・・・!」

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