ぬるっと完成
昨日二つ投稿したのはミスです。ストック消えててびっくりしたよね。
ユイが泊まることになった、のはいいんだけど。
「……何で二人ともいるのさ」
風呂から上がったら、二人とも俺の部屋にいた。もう寝るって言ったじゃん。ちょっと作業したら寝るつもりだったんだけど。
「ユイちゃんが信用できないからかな」
「リナがイタズラするかもしれないから、見張りにきたの」
「……満足したら出ていってくれよ」
とりあえず昨日の続きを進める。途中で邪魔されたし。
「あれ、もしかして私のために頑張ってくれてるの?カイトくん。うれしいな」
「……カイトは優しいからね。たまにその優しさが、自分だけに向けられたものだって勘違いする人もいるみたいだけど」
「ユイちゃんのこと?」
「違うけど?」
「……」
全然集中できない。
「ねえカイト。今度私のために曲作ってよ」
「え?」
何で?
「ユイちゃんは別にアイドルでも歌手でも無いじゃん」
「俺もそう思うんだけど」
「別に私が歌わなくてもいいでしょ。私への想いを歌にしてくれればいいわよ」
何それ、やっぱ俺のこと好き?もしかして好きな男って俺だった?でもちょっと重いな。そんなんだっけユイ。
「ちょっと重すぎない?そういうのあんまり流行らないと思うけどなあ」
「想いって言われても困るんだけど」
「今日私にしたこと、全部勢い任せだったってこと?」
めっちゃ眼光が鋭いっす、ユイさん。怖いよ。
「……いや。想いが溢れすぎてさ。困っちまうなって」
マジで何だこれ。何でこうなったんだよ。俺悪いことしたかな。
「ねえカイトくん。あんまり束縛されるの好きじゃないでしょ?現役アイドルとか、ちょうどいい距離感で恋愛できるんじゃない?」
「……アイドルが恋愛しちゃダメだろ」
「会えない寂しさが募って、結局別れちゃうんじゃ無い?特に尽くしてくれる幼馴染がいると、いつも隣にいるありがたみを知っちゃってるもんね?」
知っちゃってるんでしょうか。
「……なあ二人とも」
「「なに?」」
「……俺が色々よくない態度をとったのはわかってるけどさ。一旦リナの曲をちゃんと作って、事務所に売り込むところまで、集中させてくれよ」
「……その後ちゃんと話をしなさいよ?」
「大丈夫だよカイトくん。私が根回ししとくから。今私の機嫌を損ねると大変だって、皆わかってるからね」
……とりあえず、保留にしてもらった。普通に考えりゃユイを裏切れないんだけどね。リナ可愛いし。あと俺の出世チャンスだし。俺、もしかしてちょっと悪いやつなんだろうか。
……二週間後。とりあえず仮で完成した。リナに繋げてもらって、あの白スーツの社長に直で売り込むことができたので、今日は色々相談することになった。
「うむ。久しぶりだ」
「お久しぶりです。あの、いきなりですけど、一つ聞いてもいいですか」
「簡潔にね」
「俺のことを知ってて、リナをよこしたんですか?」
「当然。色々調べた上で、金のこともあるから問題は起きないだろうと判断した」
「私の気分転換のためにってことですよね」
「君は趣味が少ないからな。試しにと思ってやってみたら、当たったわけだ。どうせあのままじゃ歌えないことが露見して、面倒なことになっていたからな」
え?俺って博打感覚だったの?
「短期間のうちに、想定外に仲良くなったみたいだが……」
何も言えない。だって今も腕組まれてるもん。リナに。
「腹が膨れてなきゃいいさ。内でも変に縛って逃亡されても敵わんからな」
「一回ありましたね」
「……意外とやんちゃだよな。リナって」
「私の新たな魅力発見だねー」
「長くなってしまったが、本題に入る。もらったサンプルは良かった。あのまま最終調整に入ってくれ。後日担当から連絡が入る」
「おお!ありがとうございます」
「やったね」
「それはそれとして、君をデフロストとしてクレジットするわけだが、君は今個人で活動しているよな?」
「そうですね」
「うん。要は、うちの専属音楽プロデューサーにならないか、ということなんだ。税制面や経費面で有利になる。確実に仕事をもらえるという点も強みだ」
どうなんだろ。なんか騙されてるような気もするんだけど。
「報酬も、それなりに期待してもらって構わない。正直に言おう。ユイくんを引き抜いて独立されると困るからこそ、こちらとしても、好待遇にせざるを得ない状況にあるんだ」
俺がユイと仲良くなったから、俺を飼っておけばちょうどいい楔になるだろうってこと?
「ユイはどう思う?」
「育ててもらった恩はあるからね。それを返すまではここで働くつもり。だから、カイトも一緒にいてくれると嬉しいかな」
「……もう少し考え……」
「……そういえば、うちの桃井芽衣って知ってるかい」
「え?ああ、一応知ってますよ。正直あんまり詳しくないですけど、有名どころですからね」
確か小柄な、可愛い系の子だよな。同い年だった気がする。バラエティでちょこちょこ見かけたような。
「そうか。彼女も実は君のファンでね。ぜひ一緒に仕事してもらいたいと思ってるんだが」
「……一緒に住むんですか?」
ろりっ子と住んでいいんですか?
「いや。住みはしないがね。まあ、そうだね。プライベートでの付き合いには、口出しできないかな」
「これからよろしくお願いします!」
チャンスは無限大だもんな。
「……」
あっ、勢いでやっちゃった。リナの視線が冷たい。何なら組んでる腕を捻られてる。痛いよ。痛い痛い。
重い女に合わせるなら、ちょいクズぐらいの方が無理がないですよね。え?ちょっとじゃない?




