実は海斗は……
1日を終えて学校から戻ってきたのだが、結局リナは朝と全く同じ格好のまま、リビングでゴロゴロしていた。
「ただいま」
「おかえり〜」
「そういえばリナ。お昼はなにを食べたの」
「んー?棚のカップ麺勝手にもらっちゃったよー。ダメだった?」
まあ変に外出して目立つのもまずいのか?アイドルだし。
「いや、構わないけど、栄養管理とか大丈夫なのかなって気になって」
「大丈夫だよ。どうせ今更だしね」
まあそんな感じはする。まだ出会って1日だけど。
「……そっか。それはそうとリナ。これからユイが来て晩飯を作ってくれるんだよ。今日だけじゃなくて、しばらく作ってくれることになった」
「へえ。まるで通い妻だね。……カイトくんとユイちゃんってそんなに仲良いんだね?」
急に真顔になるリナ。ずっとにへらにへらしてて(それはそれで可愛かったが)締まりのなかった顔だったけど、やっぱりアイドルだな。綺麗な顔をしてる。
「まあ。幼馴染だしな。昔から、ユイはずっと俺の世話焼いてくれてるんだ。……ユイが苦手なのか?ちょっと口うるさいけど、優しいやつなんだぜ?」
「ううん。もし付き合ってるんなら、私邪魔かなって思っただけ。ごめんね」
そう言って笑顔に戻るリナ。
「そっか。それならいいんだ。というかそんな話じゃなくて、ユイが来るから、せめてもうちょっとマシな格好に着替えてくれって言いたかったんだよ。またうるさく言われるぞ?」
「うーん。私、部屋着ってジャージしかないんだよね。寝る時もこれだし」
「なんでだよ。せめて何かないのか?外出用でもいいからさ」
「えー……あ、そうだ!カイトくん。なんか適当なTシャツとズボンを貸してよ。それ着たら解決じゃん」
「え。俺のって、男ものだけど?」
「そりゃそうでしょ?」
なに言ってるの?みたいな顔で首を傾げるリナ。え?俺がおかしいのか?
「……まあ、うん。ちょっと待ってて」
普段着てるやつ……ではなく、もう着なくなった古着を持ってきた。と言っても全然傷んでないやつだけど。
で、着替えてきてもらった。
「ちょっと大きいかな。でもゆったりしてて悪くないかも」
「うん。まあ、いいんじゃない」
なんか彼氏の服を着てる彼女みたいになってるけど。まあ、俺は困らないし。
「いいわけないでしょ!!」
「ユイ!?」
突然ユイが部屋に入ってきてびっくりした。
「そんなカイトの服を着るなんて!わ、私だって、まだ……」
「……何?ユイが何って?」
「ふーん。やっぱりそうなんじゃん」
なんだよ。はっきり話せよお前ら。
「それで、今日の晩御飯はなんなの?ユイちゃん」
「え?ハンバーグだけど」
「マジで?やった」
嬉しい。大好物だ。ユイのハンバーグ、マジで美味いんだよな。
「……なんでハンバーグなの?」
「え。……別にいいじゃない。リナはハンバーグ嫌い?」
「ううん」
「じゃあいいでしょ。待ってて。すぐに作り始めるから」
「おう」
「うん」
……3、40分経った後。
「おお、マジで美味そう!いただきます」
「本当だね。私もいただきまーす」
「はいはい。落ち着いて食べなよ」
「……うまい!」
うまい!そしてすごく落ち着く味。母さんのよりもよっぽど母の味って感じだ。
「うん。美味しい。ユイちゃんお料理上手だね」
「ありがとう。おかわりもあるわよ」
「おかわり!」
「はいはい。落ち着きなさいってば」
……ああ美味かった。たらふく食べた後は、しばらくテレビを見ながら、三人で談笑した。
「お、もうこんな時間か。ユイ。いくら隣とはいえ、もうそろそろ帰らないとまずいだろ」
「えー?もうちょっといたらダメ?」
「ダメ。おじさんとおばさんは別に気にしないだろうけど、やっぱり線引きはいるだろ」
「……リナと同棲しておいて線引きも何もないと思うけどね。まあいいわ。また明日来るわね」
「おう。また明日な」
「ばいばい、ユイちゃん」
「……ねえカイトくん。カイトくんもそろそろ部屋に戻ったほうがいいんじゃない?用事とかないの?」
「え?まあ課題はあるけど」
「学校の課題だけ?」
「まあ、そうかな」
「……そっか。課題頑張ってね」
「ああ。ありがとう」
「そうだ。また、風呂は先に入ってもらって構わないから。好きなタイミングで沸かして、出たら教えて」
「うん。ありがとう」
自室に戻った。
「用事か。たしかにいい加減これを終わらせないとな〜」
新曲の発表。ネットで音楽プロデューサーとしてデビューしてはや一年。明るくチアフルな歌詞と曲調を武器にして、ネットで期待の大型新人ともてはやされるようになった。のだが。
「そろそろ前の曲出して四ヶ月近いもんな。いい加減出さないと、ファンが少しずつ離れて行っちゃうかもしれないし」
そろそろ頑張りたい。でも、何もいいアイデアが浮かばない。
「せめて何か、曲のイメージを固めるところぐらいしていきたいんだけどなあ」
何かないかなあ。きっかけ。こういう歌を作って、こういう人に聞かせたい、みたいな。
「主人公は、実はネットで有名な配信者として活動している」←なんやその出力。配信者はよくわからないので、構成上使いやすかった音楽プロデューサーになりました。




