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ドリームライド〜異世界創造、夢の旅〜  作者: 神谷 夢


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第5話 スキル

ドリームライド ~異世界創造・夢の旅~


第5話 スキル


朝。


海は制服に着替えながら、昨夜の表示を思い出していた。


⸻


LEVEL:2


未使用SP:3


NEXT PHASE:LEVEL 5


⸻


「あと三つ……」


レベルを上げるには、


動く。


学ぶ。


新しいことをする。


それが大事らしい。


しかも、現実でやったことも向こうに反映される。


なら。


今日一日、


どこまで増やせるか試してみたい。


玄関で靴を履きながら、いつものように自転車へ手を伸ばす。


そこで止まった。


「……いや」


昨日、河川敷で試した。


歩けば百メートルで1DP。


自転車なら、それより効率が落ちる。


海は自転車から手を離した。


「今日は歩くか」


「珍しいわね」


後ろから彩の声。


「何が?」


「いつも自転車でしょ」


「ちょっと自主練」


「遅刻しないでよ」


「分かってる」


海はバッグを肩に掛け、家を出た。


⸻


百メートル。


⸻


《DP +1》


⸻


さらに百メートル。


⸻


《DP +1》


⸻


「よし」


朝からDPが増えていく。


昨日までは、


学校へ行くための道だった。


今は違う。


歩く。


走る。


身体を使う。


それだけでも、


ちゃんと意味がある。


人通りの少ない道へ入る。


海は少し速度を上げた。


軽いダッシュ。


急停止。


切り返し。


また走る。


部活で何度もやってきた動きだ。


ただ今日は、


一つ一つを意識して繰り返す。


しばらく進む。


住宅街を抜ける。


信号を渡る。


学校が見えてきた。


校門の少し手前まで来た時だった。


⸻


《敏捷が上昇しました》


《LEVEL進行度:0% → 3%》


⸻


「よし」


海は表示を確認すると、そのまま校門へ向かった。


⸻


「朝から何してんの?」


校門前。


悠斗が海の顔を見る。


「何が?」


「汗かいてんじゃん」


「走ってきた」


「自転車は?」


「今日は歩き」


「なんで?」


海は少し考えた。


「……自主練」


「登校で?」


「細かいこと気にすんな」


「怪しいな」


悠斗が笑う。


そこへ、眠そうな顔をした蒼太がやってきた。


「朝から元気すぎだろ……」


「お前が眠そうすぎ」


「昨日二時」


「アホ」


三人で校舎へ向かう。


階段を上がりながら、


海は蒼太を見る。


ゲーム好き。


レベル。


ステータス。


スキル。


こういうものなら、


自分より詳しい。


「なあ蒼太」


「ん?」


「ゲームで効率よくレベル上げるなら何する?」


「急にどうした?」


「いいから」


蒼太は欠伸をしながら少し考えた。


「序盤なら、新しい場所行くとか、新しい敵倒すとか、クエストやるとかじゃね?」


「同じことずっとやるより?」


「ゲームによるけど、初回ボーナスあるやつ多いじゃん」


「初回……」


海の足が少し止まった。


昨日。


歩く。


筋トレ。


同じことを繰り返していると、


LEVELは途中からほとんど上がらなくなった。


でも。


初めて構造物を作った時。


初めてロープワークを覚えた時。


一気に進んだ。


「……やっぱそういうことか」


「何が?」


「いや」


「何のゲーム始めたんだよ」


「そのうち教える」


「絶対教えろよ」


悠斗が横から口を挟む。


「カイがゲームとか珍しいな」


「ゲームじゃないけど」


「じゃあ何だよ」


海は少し笑った。


「……秘密」


「うざ」


三人の笑い声が階段に響いた。


⸻


二時間目。


体育。


「今日は五十メートル走測るぞー!」


先生の声がグラウンドに響く。


海の耳が反応した。


「ちょうどいい」


「何が?」


隣にいた悠斗が聞く。


「なんでもない」


前回の記録は六秒七。


もともと学年でも速い方だった。


サッカーでも、


スピードには自信がある。


でも今は、


LEVEL:2


になっている。


レベルアップした時、


全ステータスが一つずつ上がった。


さらに、


自分で自由に振れるSPも三つある。


まだ使ってはいない。


まずは、


今の身体がどれだけ変わったのか知りたかった。


「神谷、次」


「はい」


スタート地点へ立つ。


五十メートル先を見る。


「位置について」


腰を落とす。


「よーい」


笛。


海は飛び出した。


一歩目。


二歩目。


「……っ」


軽い。


今までだって速かった。


でも、


身体がいつもより素直に前へ出る。


そのままゴールを駆け抜けた。


先生がストップウォッチを見る。


「六秒四」


「……六・四?」


「そう」


「もう一回やっていいですか?」


「授業終わるぞ」


悠斗が横から覗き込む。


「お前、前六・七だったよな?」


「うん」


「〇・三縮んでるじゃん」


海はスタート地点を振り返った。


五十メートル。


その短い距離で、


〇・三秒。


「……本当に上がってる」


小さく呟く。


⸻


次は握力。


以前の記録は、


右が三十六キロほど。


グリップを握る。


「いきます」


力を込めた。


数字が止まる。


⸻


39.8kg


⸻


「四十近いじゃん」


悠斗が言う。


「前こんななかったよな?」


「三十六くらい」


「何したの?」


「筋トレ?」


「なんで疑問形なんだよ」


悠斗が笑う。


海も笑った。


でも、


頭の中では別のことを考えていた。


速さ。


力。


どちらも上がっている。


STATUSは、


ただゲームみたいな数字を表示しているわけじゃない。


現実の身体そのものに反映されている。


そして。


まだ使っていないものがある。


⸻


未使用SP:3


⸻


「これ使ったら……」


どこまで変わる?


楽しみだった。


同時に、


ほんの少しだけ怖かった。


⸻


三時間目。


社会。


黒板には、


道路


水道


電気


通信


と書かれていた。


「こうした、人々の生活や産業を支える設備や仕組みを社会基盤、いわゆるインフラと呼びます」


インフラ。


言葉自体は聞いたことがある。


けれど、


ちゃんと意味を考えたことはなかった。


先生が黒板へ図を描いていく。


「例えば水道なら、蛇口だけが水道ではありません」


水源。


浄水場。


水道管。


家庭。


線で繋がっていく。


「水源から水を確保して、飲める状態にして、それを各家庭へ届ける。そこまで含めて一つの仕組みです」


海は黒板をじっと見た。


――あっちは、水を出して飲んでるだけだ。


今はそれでいい。


自分一人だから。


でも。


もし人が増えたら?


町を作るなら?


一本ずつCREATIONで水を出していたら、


どう考えても足りない。


必要なのは、


水そのものだけじゃない。


水を貯める場所。


きれいにする方法。


運ぶ仕組み。


「水を作れば終わりじゃないのか……」


その瞬間。


⸻


《DP +3》


《重要知識を理解しました》


《LEVEL進行度:3% → 10%》


⸻


「七%……」


海は表示を見る。


これまでの知識より大きい。


インフラ。


生活するための仕組み。


世界を作るなら、


かなり重要なのかもしれない。


海はノートの端に書いた。


⸻


インフラ=生活を支える仕組み


水は作るだけではなく、貯める・きれいにする・運ぶ


⸻


道路。


水。


電気。


通信。


今の荒野には、


どれもない。


「世界を創れ」


最初に見た言葉が、


少しだけ違う意味に見えてきた。


物を一個ずつ出す。


それだけじゃ、


世界にはならない。


⸻


昼休み。


海は図書室にいた。


手に取ったのは、


スポーツトレーニングの基礎


と書かれた本。


DPを稼ぎたい。


それもある。


でも体育で、


本当に自分が速くなっていることが分かった。


なら。


身体の使い方そのものを知れば、


もっと変わるかもしれない。


ページをめくる。


短距離走。


加速。


重心。


筋力。


そして、


方向転換。


海の目が止まった。


切り返す時は、


ただ進みたい方向へ身体を倒せばいいわけではない。


重心を低くする。


そして、


進みたい方向とは反対側の脚で地面を押す。


「反対側……」


右へ行くなら、


左脚。


左へ行くなら、


右脚。


サッカーでは何千回もやってきた。


でも、


考えてやったことはほとんどない。


さらに読む。


相手の動きを読む時は、


足先だけを見ているとフェイントに引っかかりやすい。


見るのは、


腰。


身体の中心。


重心。


足なら嘘をつける。


けれど、


次に身体を運ぶ方向には必ず重心が動く。


「……だからか」


黒田に何度も言われていた。


――足じゃなくて腰を見ろ。


言葉は知っていた。


でも、


その意味を今まで理解していなかった。


「だから腰見るんだ」


その瞬間。


⸻


《DP +2》


《身体操作に関する知識を理解しました》


《LEVEL進行度:10% → 14%》


⸻


海は少し笑った。


今まで教えられていたことでも、


本当に意味を理解すれば成長になる。


「今日やってみよ」


本を閉じた。


⸻


放課後。


サッカー部。


「神谷」


黒田が呼ぶ。


「はい」


「最初、守備やれ」


「俺が?」


「その嫌そうな顔やめろ」


部員たちが笑う。


相手は陸。


「抜くぞ」


「やってみろ」


陸がボールを持つ。


海は腰を落とした。


いつもなら、


ボール。


足。


そこばかりを見る。


今日は違う。


腰。


肩。


重心。


陸が右へ足を出す。


フェイント。


海は動かない。


次。


身体が、


わずかに左へ傾く。


「……左」


陸が切り返した。


海も動く。


足を出す。


ボールに触れる。


「え?」


奪った。


陸が止まる。


「今読んだ?」


「たまたま」


「もう一回」


二本目。


今度は細かい。


右。


左。


右。


海は飛び込まない。


見る。


腰。


重心。


――来る。


一歩。


陸が動いた。


海も同じ方向へ。


また、


ボールを奪う。


「マジ?」


陸が眉を寄せる。


黒田が笛を鳴らした。


「神谷」


「はい?」


「お前、守備そんな上手かったか?」


「いや……」


自分でも分からない。


ただ。


今までより、


相手が動く前の小さな変化が見える。


その時。


⸻


《感知が上昇しました》


《LEVEL進行度:14% → 17%》


⸻


「……感知」


さらに。


⸻


《技能条件を達成しました》


⸻


海の表情が変わる。


⸻


《スキル:予測 Lv.1を習得しました》


《LEVEL進行度:17% → 29%》


⸻


「十二%……」


今までより大きい。


新しい技能を覚える。


それだけ価値が高いということなのだろうか。


でも今は、


数字よりも。


予測。


その言葉の方が気になった。


二つ目のスキル。


ロープワークとは全く違う。


「これ……使えるのか?」


⸻


練習の最後。


紅白戦。


海はFWへ戻った。


ゼロ対ゼロ。


悠斗が中盤でボールを持つ。


海は前線。


DFが二人。


いつもなら、


速さを使って裏へ抜ける。


でも今日は。


相手を見る。


右のDF。


左のDF。


腰。


重心。


視線。


そして。


「……予測」


小さく呟いた。


その瞬間。


視界に、


薄い青色の線が浮かんだ。


「……え?」


右のDFから、


海へ寄ってくる線。


左のDFからは、


中央へ絞る線。


その外側。


一瞬だけ空く場所。


「そこ……!」


海は、


いつもとは違う方向へ走った。


「カイ?」


悠斗が一瞬だけ驚く。


それでも、


すぐにパスが出る。


長年一緒にやってきた。


海が走れば、


悠斗は合わせる。


ボールが空いた場所へ転がる。


DFが動く。


さっき見えた線と、


ほとんど同じ。


「マジか……!」


海は一気に加速した。


ゴール前。


GKが出る。


今度は予測を使う余裕もない。


右足を振り抜く。


ボールが、


ゴール右隅へ突き刺さった。


「っしゃ!」


ネットが揺れる。


悠斗が駆け寄ってくる。


「今の何?」


「何が?」


「いつもなら真ん中走るだろ」


「空いてたから」


「最初から分かってた?」


海は少し迷った。


「……なんとなく」


悠斗が眉を寄せる。


「最近その“なんとなく”当たりすぎじゃね?」


「才能じゃね?」


「うざ」


肩を叩かれる。


海は笑った。


その時。


⸻


《スキル:予測 Lv.1の使用に成功しました》


《LEVEL進行度:29% → 35%》


⸻


「使えた……」


覚えただけじゃない。


自分の意思で、


実際に使えた。


海の胸が高鳴った。


⸻


練習後。


悠斗たちと別れ、


海は朝凪駅方面へ歩いていた。


今日は少し遠回りして帰るつもりだった。


歩けばDPも増える。


でも、


頭の中は別のことでいっぱいだった。


五十メートル。


握力。


感知。


そして、


予測。


今まで数字だったものが、


少しずつ本当の力になっている。


さらに。


未使用SPが三つ。


「どこに振ろうかな……」


筋力。


敏捷。


感知。


考えながら歩く。


夕方の駅前。


学生。


会社員。


買い物帰りの人。


その時。


「ちょっと、いいってば」


聞き覚えのある声がした。


海は足を止めた。


少し先。


大通りから一本入った場所。


二人の男。


その間に、


制服姿の女の子。


「……美緒?」


海の表情が変わる。


桜井美緒が、


二人の男に進路を塞がれていた。


「だから、行かないって言ってるでしょ」


「ちょっとだけじゃん」


「連絡先くらいいいじゃん」


「嫌です」


美緒が横へ避ける。


男も動く。


また道を塞ぐ。


海の中から、


SPのことが一瞬で消えた。


二人。


年上。


自分より体格も大きい。


胸の奥が、


少しだけ速くなる。


それでも。


海は二人の方へ歩いた。


「……何やってんすか」


男たちが振り返る。


美緒も海を見る。


「カイ?」


その顔に、


わずかな安堵が浮かんだ。


「知り合い?」


明るい髪の男が聞く。


「同じ学校です」


「じゃあ関係なくね?」


「嫌がってるでしょ」


「別に嫌がってねえし」


「嫌って言ってるじゃん」


美緒が言い返す。


男の顔から笑みが消えた。


「お前、中坊?」


「そうですけど」


「生意気だな」


男が一歩近づく。


海は少しだけ身体を固くした。


サッカーとは違う。


相手が何をしてくるか分からない。


「カイ、もういいよ」


美緒が言う。


「大丈夫」


海はそう返した。


怖くないわけじゃない。


でも。


ここで美緒を置いて帰る方が、


海には無理だった。


「帰ろう」


美緒へ声をかけた瞬間。


男が海の肩を掴んだ。


「お前に聞いてねえんだよ」


海が振り返る。


次の瞬間。


拳。


「――っ!」


身体が動いた。


半歩。


拳が顔の横を抜ける。


「……え?」


海自身が驚いた。


もう一発。


今度は、


肩の動きが先に見える。


横へ。


また、


当たらない。


「てめっ……!」


男が苛立つ。


海は距離を取る。


心臓は速い。


怖い。


でも。


相手の動きが、


妙にはっきり見える。


その時。


薄い青色の線が浮かんだ。


「……!」


男の肩。


腰。


踏み出す足。


その先。


⸻


《予測 Lv.1》


⸻


海は線から外れた。


拳が空を切る。


「なんだこいつ!」


男が声を荒げる。


その瞬間。


もう一本。


横から伸びる青い線。


海が振り向く。


黒いパーカーの男が、


後ろから腕を伸ばしていた。


一歩下がる。


男の手が、


空を掴んだ。


「っ!」


右。


左。


後ろ。


海は相手の動きを見て、


その先から外れる。


昼の一対一と似ていた。


違うのは、


飛んでくるのがボールではなく、


拳だということ。


だから、


海も必死だった。


「カイ!」


美緒の声。


一瞬だけそちらを見る。


その隙に、


男が腕を振った。


海は反射的に頭を下げる。


拳が髪をかすめた。


「危なっ……!」


余裕なんてない。


それでも。


当たらない。


男たちの方が、


次第に焦り始める。


「なんで当たんねえんだよ!」


海だって聞きたい。


でも、


一つだけ分かる。


昨日までより、


見える。


昨日までより、


動ける。


そして。


今日覚えた予測が、


確かに役に立っている。


その時。


「何してるんですか!」


大きな声が飛んだ。


近くの店から、


男性が出てくる。


「警察呼びますよ!」


通行人も足を止め始めた。


男二人が顔を見合わせる。


「……チッ」


「行こうぜ」


海を睨みながら、


二人は大通りへ離れていった。


海は、


姿が見えなくなるまで動かなかった。


そして。


「……はぁ」


大きく息を吐く。


手が少し震えている。


避けられた。


でも、


普通に怖かった。


「カイ」


美緒が近づく。


「大丈夫?」


「……俺?」


「当たり前でしょ」


「俺は大丈夫」


「ほんと?」


「うん」


海は笑おうとした。


少し引きつった。


美緒がそれを見て、


小さく笑う。


「怖かったんじゃん」


「そりゃ怖いだろ」


「全然そう見えなかった」


「めちゃくちゃ怖かったって」


美緒は少し黙った。


それから。


「……ありがとう」


「別に」


「別にじゃない」


「困ってたから来ただけ」


「それでも」


美緒がもう一度、


海を見る。


「ありがと、カイ」


「……おう」


その時。


青白い文字が浮かんだ。


⸻


《特殊行動を確認しました》


《他者を救助しました》


⸻


続けて。


⸻


《DP +20》


《精神が上昇しました》


《LEVEL進行度:35% → 42%》


⸻


さらに。


⸻


《救助行動ボーナス》


《他者への貢献を確認しました》


《LEVEL経験値を獲得しました》


《LEVEL進行度:42% → 62%》


⸻


「……六十二」


海の目が大きくなる。


一日の中で、


学んだ。


試した。


能力が上がった。


スキルを覚えた。


そのスキルを使った。


そして、


美緒を助けた。


気づけば、


Lv.3まで半分を大きく超えている。


「カイ?」


美緒が首を傾げる。


「あ……いや」


「また?」


「今のはほんとに何でもない」


「絶対嘘」


海は少し笑った。


二人は並んで歩き始める。


視界の端には、


まだ数字が残っていた。


⸻


LEVEL:2


LEVEL進行度:62%


⸻


海はそれを見て、


小さく息を吐いた。


レベルを上げたい。


それは変わらない。


でも。


さっき美緒の前へ出た時、


経験値のことなんて一度も考えなかった。


その行動が、


今日一番大きな成長として返ってきた。


海は隣を歩く美緒を見る。


「何?」


「いや」


「またそれ?」


海は少しだけ笑った。


「……無事でよかったなって」


美緒が一瞬、


目を丸くした。


「急に何それ」


「別に」


「それ禁止」


「なんでだよ」


今度は、


二人とも笑った。

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